狩猟ヒヤリハットその7 猟銃紛失・見失いはこうして起こる!

公開日: : 最終更新日:2017/01/08 狩猟ヒヤリハット・事故

捜索!

猟銃に関するトラブルといえば誤射などの他損事故を思い起こしがちですが、地味に「紛失」というのも個人的には気になるところ。

ちょっと変わったところでは、去年の11月15日。狩猟解禁の日に起こった

カモ猟の男性が猟銃紛失 長岡 信濃川でボートが転覆

15日午前5時半すぎ、長岡市中之島中条の信濃川で小型ボートが転覆し、カモ猟に来ていた県外の50代男性が猟銃1丁を川に落とした。男性は付近にいた警察官に猟銃を紛失したと届け出た。

見附署によると、猟銃に弾は装填(そうてん)されていなかった。15日は狩猟解禁日で、男性は4人で訪れていた。4人はいずれも川に転落したが、自力で岸にはい上がり、けがはなかった。

同署などは十数人態勢で2台のボートに乗り川の中を捜索したが見つからず、午後4時ごろ、この日の捜索を打ち切った。

http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20161116291511.htmlより

というような例も。カモ回収にゴムボートを使う気になれないのはこういうのも理由のひとつ。水の上に体を持っていくのは恐いですねー。僕は特殊な訓練を受けているわけでもないですし…。

スポンサーリンク

しかし、猟銃紛失事案でメジャー(?)なものといえば、やはり「置き忘れ」ではないかと考えられます。

こちらはかなり前、2004年の事例。

28日午前11時ごろ、滋賀県安曇川町南古賀の山中で狩猟を行っていた同町内の自営業の男性(53)から「山中で猟銃がなくなった」と今津署に通報があった。
同署によると、猟銃には実弾4発が入っているといい、置き忘れと盗難の両面で署員約20人が山中を捜索している。

同署によると、男性は同日午前9時ごろからシカの駆除を行い、山中の立木にライフル銃(銃身58センチ)を立てかけていったん自分の車に戻った。
男性は午前10時ごろに銃を置いた場所に戻った後、銃を取るのを忘れて別の場所に移ったという。約半時間後に銃の置き忘れに気付いて現場に戻ったが、銃はなくなっていたという。

http://www.kyoto-np.co.jp/kp/topics/2004mar/28/W20040328MWB1S200000054.htmlより

1件目はともかく2件目の事案については突っ込みどころ満載ではありますが、狩猟なり登山なりで山へ入って、銃ではなくても何かを置き忘れてきた。という経験を持つ方は少なくないんじゃないかと思います。

ハンターの間で人気の高いモーラナイフにはこういった蛍光オレンジのモデルがありますが、この色彩はそういった置き忘れ事案への対策。山中で非常によく目立つ色合いで誘目性アップ、置き忘れに気づきやすくしようという趣旨のものです。

それでは、そういった対策のなされていない「猟銃」を山中に置いてみるとどうなるか。実験してみました。

猟銃置き忘れ事案

さて、この画像のどこかにM870が横たわっています。それはどこでしょうか!? 制限時間は2秒!

ちっちっブブー! はい終了。では正解は!

・・・・・・・・・・。

あっるぇええええ? どこに置いたっけ? 見当たらんぞ? (゚д゚;)

と、このザマです。

この範囲内にある、とわかっていてもこうなります。黒のシンセストックでもこの有様なので、カモ柄の銃だと倍率ドン、さらに倍といったところでしょう。

猟銃置き忘れ事案

本当の正解はこちら。赤○のあたりに銃床があります。で、左下に向かって銃身が走るような感じ。でも、ほぼ見えませんね。

置いたときは普通にぽんと置いたものの、落ち葉の多い場所で風が吹いたりすると葉っぱが覆い被さって姿を隠してしまう、なんかは普通に起こりえます。

この発見しにくさは以前にも実際に味わったことがあります。

獲物をしとめてその場で大バラシをする時。余裕で目の届く範囲、獲物から3mほどの前方に置いて作業し、すべての処置を終えてさあ帰ろうとなった頃。置いた記憶のある場所に銃が見当たらないのです!!! Σ(゚д゚;)

…誰かが来て持っていった? いやそんなはずはない、誰も来てない。置いた場所がちがう? いやそれも考えにくい。ここにある…はず。

結局、銃は置いたその場にありました。が、その見つけにくいこと!

森の中は薄暗いのでなおさらです。しかも前述のように、落ち葉がかぶさりでもして銃の輪郭がハッキリしなくなると、それだけでそこにある銃を銃だと認識しにくくなってしまうのです。置き忘れてくるのは相当のうっかり者だとしても、発見に手間取ってしまう、というのは十分に考えられることでしょう。

そんな時に一部分でも目立つ色があれば、落ち葉のすき間からでも視認性はぐっと高まります。

射場では本体をオレンジに着色してる銃を見かけたり、

こんなふうに照準器そのものに目立つ色を採用したり、個人や企業がいろいろと対策を考えています。

と、さっきから物知りげな顔をしてなんやかんや言っている僕自身がまだ未対策でして。orz

手っ取り早くこんな感じのテープを何カ所かに巻いて対策する予定です。

わかる人にはわかる、わからない人にはこの先もわかってもらいたくない、銃の見失い体験。

テープを巻くだけなら数百円ですし、他にもいい方法はあるでしょう。時間と心の消耗を防ぐ意味でも打てる対策は打っておきましょう!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

増殖

狩猟ヒヤリハット体験その5 増殖する銃禁

狩猟をする上で注意しないといけない点はいろいろありますが、その中でも上位にくるのが「許可され

記事を読む

狩猟ヒヤリハットその13 鵜呑みにできない、ベテランのアドバイス

猟期まで1ヶ月を切ったこの時期。いよいよハンターはじっとしていられなくなってきているであろう

記事を読む

こける

狩猟中の負傷ワースト5(2017年度まで)を挙げていこうと思う。

その昔、「傷は男の勲章」なんて言葉がありました。もしかしたら今でもあるのかもしれませんが。

記事を読む

吉作落とし

怪談より怖い実話。昔話「吉作落とし」で単独猟の危険を再認識する

テクノロジーが進んでも、先人の知恵というものには、ゴミ箱に突っ込んでふたをするのはもったいな

記事を読む

狩りバカ日誌2017年11月26日

無事に終猟するために。狩猟中の滑落死亡事故のブログから学ぶこと

一般的に猟期は11月15日~2月15日ということになっていて、昨日で終猟という地域も少なくな

記事を読む

子供は神出鬼没

狩猟ヒヤリハット体験その1 子供は神出鬼没

銃猟ハンターであれば、公道(発射した弾丸が公道上を通過する場合も含む)での発砲は禁止である。

記事を読む

なんぞや

恵庭市盤尻の誤射事故が不可解な点だらけなのでまとめてみる

今年も猟銃の死亡事故が起こってしまいました。 誤射被害で職員死亡、森林管理局の悲痛

記事を読む

高圧電線

狩猟ヒヤリハット体験その4  体験と西伊豆の事故から学ぶ電気柵

先月19日に西伊豆町で違法に設置された電気柵で2名が死亡した事故から1ヶ月あまり。その後、今

記事を読む

ひも

トラブルになるかも?秋の猟場ロケハンは「ビニールひも」に注意!

順調に気温も下がり、すっかり秋めいてきました。一回や二回は暑さが戻るんじゃないかと思ってたん

記事を読む

タイーホ

狩猟中の事故紹介その3 他損事故事例

狩猟事故紹介シリーズ、最終回は自分以外の人間に危害を加えてしまう「他損事故」の事例、日猟会報

記事を読む

Comment

  1. ltchughes より:

     いやぁもう、私なんぞ、背負った銃を探しました!

     罠を仕掛ける際、錆び付いシャベルを見失います。枯れ葉と同じ色なのでしょっちゅうです。貴記事でヒントを頂きました。明るいオレンジに塗ります!ありがとうございます!

    • spinicker より:

      僕も鹿を吊るすハンガーを山中に忘れていったことがあります。茶色いのでバッチリ保護色でした。orz
      幸い次週に回収できましたが、これからも起こりうることなのでこちらも何か対策を施したいと思います。(´・ω・`)

ltchughes へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

もうかりまっかPC01

PAGE TOP ↑