バックショット(大粒散弾)禁止?日本猟用資材工業会の見解はこちら

公開日: : 狩猟よもやま話

6粒9粒

銃猟をやっている人であればこれまでにも耳にしていたであろう、バックショットの使用制限に関する話。大型獣に使用する大粒散弾ですね。

内容については地域ごとにいくつかのパターンがあったようですが、先猟期の途中から、日猟が都道府県猟友会とその構成員に対して、バックショット使用に関するまた別の通知を出していたようです。こないだ知り合いハンターに聞いて調べて初めて知りました。(; ゚Д゚)

僕は今のところバックショット使用は考えていないのであまり関係のない話なんですけど、使ってみたい、あるいは愛用している、という人には聞き捨てならないトピックでしょう。

で、この件について、装弾など猟具の元締めである一般社団法人 日本猟用資材工業会(SAAMA)から、以下のような声明が出されています。

(以下の引用文はすべて日本猟用資材工業会「大粒散弾実包 6粒・9粒・15粒」に関するお知らせより)

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「大粒散弾実包 6粒・9粒・15粒」に関するお知らせ

平成29年2月9日付けにて(一社)大日本猟友会が構成員に対し「大粒散弾(6・9・15粒)の使用を禁止について(通知)」(日猟発54号)を発行されました。

その内容は(一社)大日本猟友会構成員の他損死亡事故の原因は当工業会会員会社が製造・輸入販売している「狩猟用大粒散弾」とするものです。その内容は科学的、法的に実証されたものではなく人的過失責任を使用した大粒散弾実包に転嫁したものと考えます。

この通知により当工業会へ全国の多くの銃砲火薬店、ユーザーの方々よりお問い合わせを頂戴いたしております。その際に当工業会がお問い合わせに対しご説明申し上げている内容を広く知って頂きたくホームページに掲載します。

使用禁止。表記にするとさらっとした感じですが、おそらく侃々諤々もめたはず。事故の原因は弾にあるとされたことが納得いかなかったようです。悪いのは弾やのうてそんな状況で撃ったやつちゃうんかい、というのが日本猟用資材工業会の言い分。なのでその内容をウェブサイトに掲載しますよ、と。

で、バックショット使用は違法なの?

結論からいうと違法ではありません。現況、バックショットの使用は法で制限されているわけではないからです。日猟が言ってるだけです(言わせたのは公安だろうけど)。

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1) 大粒散弾実包「6粒・9粒・15粒」の使用は法律違反ではありません。

狩猟・有害鳥獣駆除に使用できます。

猟銃を使用した他損死亡事故で工場製「大粒散弾実包」そのものを原因とする判例はありません。よって関係省庁より製造・輸入販売及び使用に関する自粛、禁止の要請・指導はありません。

2) 個人が購入した「大粒散弾実包」を所持・貯蔵していても違法ではありません。

火薬類取締法に順じた取扱をお願いします。

規則第15条1項表8にある数量;実包と空包の合計800発
規則第16条5項;堅固な設備に収納し施錠して保管

残火薬類の措置「法第22条」;狩猟者登録を受けたものが登録証の有効期限が満了した際の残火薬は満了の日から1年間は適法に所持できるが1年を経過したときは遅滞無く譲渡または廃棄をしなければならない。

3) 使用上の注意事項

*ハーフライフリングの銃での使用はしないでください。近距離で散開度が大きくなり跳弾など思わぬ事故の原因となる可能性があります。
*ハーフライフリング銃身は適合するサボッットスラグ・スラグ弾専用銃身です。

*矢先を必ず確認し、バックストップの有無・跳弾の可能性がある障害物等に十分に気をつけて使用してください。

4) 所持・貯蔵している実包を処分したい場合は

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づく廃棄;この法律で認定された認定販売店(一般社団法人日本火薬商組合連合会に加盟する銃砲火薬店)で廃棄は簡単にできます。(有料)

なんぞや

不思議なのが、日猟の通知では「6粒・9粒・15粒」と、バックショット内の粒の数を指定しているところ。その粒数のバックショットで事故が起きたからそう書いてるのか? それともバックショットの一般的な粒数をイメージしてのことかな?

でも、実際にはバックショットには8粒とか27粒とか38粒とかもあるんですけどね。他に10とか12とかもあると聞いたことがあります。

対象が6・9・15粒オンリーであるなら、それ以外の粒数なら問題ないのか、ということになりますわな。( ・ω・)

まぁそんなこんなで使うのは違法じゃないけど、注意事項と関連法は守ってくれよと。火取法についても触れていますね。

でも、矢先確認の複雑さもさることながら、バックショットは特に跳弾が危険だと聞いています。円形なのでどの方向にも跳ねやすく、大粒なので威力も高いのがこういう「自粛要請」が出ることになった要因のひとつ。

ちなみにうちの支部では、このことに関する通達はありませんでした。少なくとも、今年の狩猟者登録で班長さんと話した中では出てきませんでした。

日猟から各都道府県猟友会本部には届いてるんだろうけど、そこから各支部までは届いていないのかもしれないし、支部まで来てるけど支部長さんの意向で班長さんに言ってないのかもしれません。班長さんの判断で僕に知らせていないとか。

ということで、少なくとも今のところバックショットは使おうと思えば使える、という状況。

けど、ちょっと触れたとおり、バックショットによる他損事故が多いというのも事実。人の被害にはならなくても、犬に当たるので厄介、なんてことを聞いた記憶もあります。

今後も事故が減らないようであれば、数年後には法改正が入って、今度こそ法的に使用や所持が禁じられることになってもおかしくないと考えます。

これから先、継続的にこの問題に関して状況を注視しつつ、絶対にバックショットが必要だ! というのでなければ、使用しないのがいいんじゃないかという気はしますけどね。

「獲物は逃げてもまた獲れるけど、事故を起こして失ったライセンスをまた取るのは困難」という大原則を今一度肝に銘じて猟期を楽しみましょう!(・∀・)

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Comment

  1. ltchughes より:

     毎度の事ながら私は装薬をしないのですが、、、このバックショット規制、私的に全く理解できませんでした。が、やはり根拠は無いのですね。

     こういう連中はバックショットに限らず、「何を使っても事故を起こす」人達ではないでしょうか。

     バックショットで無ければ、これらの事故はあり得なかった。そんなところを明確に示して欲しいですね。

    • spinicker より:

      法的な根拠はないですけど、まぁ過去の事故事例を鑑みてのことでしょうね。
      何を使っても事故を起こす、というのは当たらずとも遠からずって感じでしょうか。何を言っても聞かない人っていますからね…。
      でもやっぱり、そういう規制が検討されてしまうほどバックショットの事故は多いんでしょうね。具体的な数字を見てみたい気がします。

  2. 滋賀のくまさん より:

    バックショットについて最近気付いたことが、絞りが入った状態で撃つと弾かバラけるみたいで、ストレートだと50mでもそこそこまとまる様です。
    他の散弾と同じように絞った方がまとまると思っていたのでビックリ。( ̄0 ̄;

    その辺も事故が多い要因の一つかも?
    それでも結局は使う人の安全管理次第、跳弾や外れた弾が届く範囲にヤバい物が在るなら撃つべきでは無いと思う。

    規制するよりも安全管理の指導が大事なのでは!

    • spinicker より:

      まじすか! フルとかの方がまとまるんだと思ってました。まわりにもバックショット使いはいないからなー。

      安全管理が大事なのは確かだけど、それが難しくてできない人が多いのが問題なんでしょうね。臭い物には蓋でなんとかしようってことですね。(´・ω・`)

  3. 因島のトラ より:

    広島県尾道市因島でワナ猟と銃猟をしています。
    因島とお隣の瀬戸田町では、イノシシ猟には一粒玉を使用することが、申し合わせで決められています。
    違法ではありませんが、「大粒散弾実包」を水平に向けて撃つと、弾同士が干渉し合って、思わぬ方向に飛ぶ場合があります。実際の狩場で「大粒散弾実包」の矢先が安全な場所はほとんどありません。草や木がはえていない、空き地のようなところにイノシシが居るわけがありません。
    鹿猟は「大粒散弾実包」が効果があるのでしょうが、イノシシにに対してはほとんど半矢になってしまいます。
    「大粒散弾実包」を使用するグループには、危険なので参加したくありません。

    • spinicker より:

      おひさしぶりです!(・∀・)

      そういう自主規制をしているところも多いですね。シシは頑丈だってのも関係ありそう。
      バックショットはシカの単独忍びとかならそれほど危険じゃなさそうだけど、犬入れて複数人で巻き狩りとなると恐いですね…。見通しの悪いところを走るシシ猟だとよけいに。
      今回の通達でどうなるか注視していこうと思います。

  4. ヒロポン より:

    射撃場で残弾処理が出来る所がほとんど無いという事も理由の一つらしいです。

    • spinicker より:

      トラップ射場でも上限は5号ぐらいまでってところが多いですもんね。スラッグ射場で撃てるようになればいいのに。(´・ω・`)

  5. メカ枝 より:

    散弾猟は、スコープ使わない方も多く、使わせないグループもあります。スコープないと一個弾の命中率はおちます。また、スラッグなんてなかなかあたらないからそういうときはもうバックショットだよというベテランもいます。スラッグ使うようなひとは年季が経てばかなりの率でライフルに移行するでしょう。つまり、実際の散弾の大物猟では、スコープなしバックショットを使ってる人が多いのが、結果として件数の多さに反映するんじゃないですかねえ。

    • spinicker より:

      ごぶさたいたしております。(・∀・)

      犬ありシシ撃ちメインの人はスコープはおろかドットサイトすらなし、アイアンサイトやリブだけでやってる人も少なくないみたいですね。人をケガさせるのもこわいけど、お犬様に当たりそうでおそろしいです。どれぐらいの距離で撃ってるんでしょうかね?

      そういや、知り合い猟師で「シカの流しでも50mぐらまでいなら12粒が一番獲れる」っていう人もいました。一粒でもいいところに入れば倒れるんだとか。単独猟で時間かけて狙えるのであれば、まだ危険は少ないでしょうけど…

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