「新 ヤマケイポケットガイド④ 山菜・木の実」書評!

公開日: : 書評

ふきのとう

むかしむかしあるところに居たという、いわゆる職業猟師、本物の猟師は普段から山里、あるいは山中に暮らし、獲物を追うとなると何日も山を歩いたといいます。

対して、僕のようないわゆる今時の「日曜猟師」「サンデーハンター」は、街中に居を構えてなんらかの職に就き、休日にのみ山に入って、まぁ長くても日の出から日の入りまでですね、銃猟だと。それぐらいで帰ります。

当たり前ですが、そういった昔の職業猟師とサンデーハンターな我々では山の知識は雲泥の差。以前の書評で取り上げた動物の痕跡なんかもそのひとつです。

動物のフィールドサインと同じぐらい知りたいと思っていたのが、植物のことです。獲物となる動物たちはどんな植物を食べているのか。それを知っていれば、植生で獲物の存在が予測できたりもするでしょう。

加えるなら、「人間の食用になる植物」も知りたいと思っていました。野いちごなんかはたまに見つけたらつまんで食べたりもしますが、それ以外となるとあまり知りません、猟師のはしくれのくせに!

山歩きの必携図鑑

そこで探してきたのがこの「新 ヤマケイポケットガイド④ 山菜・木の実」です!

やはり山歩きで使うものなので携帯に便利な小さな物を探していたのですが、これはちょうど僕の手のひらサイズ。成人男性にしては指が短い方なのでかなりの小ささです、ナイス!

山菜・木の実図鑑目次

目次も親切。後半には山菜ならではの料理法なんかもあって、ただの図鑑におさまっていません。タイトルは「山菜・木の実」のくせに、タイトルにはない「毒草」も紹介されていて、いい意味でびっくりしました。

ちなみに、うちの近所に生えていて食べれそうだなと思っていた実は「ヨウシュヤマゴボウ」という、毒のある植物でした。あぶねぇ! 小さいお子さんのいるご家庭では要注意ですね、子供は何するかわかりません・・・ (x_x)

山菜のページ

こちらは山菜のページ。本のサイズは小さいながらも、特徴をよくとらえた写真が1~3枚ほどうまく配置されていて見にくさを感じません。テキストも基本的な情報+注意点がきっちり記載されていて助かります。

そして何よりありがたいのが、写真を撮影した日付けが併記されているところ。その植物がその草姿になるのはいつごろか、収穫できるのはいつごろか。というのが一発でわかります。詳しくない人間にはありがたい配慮です。

果実のページ

こちらは果実のページ。これも見やすいですが、掲載量が山菜にくらべると若干少ないです。食用になる実そのものが多くないのかな。

個人的評価 ★★★★★★★★☆☆(8/10点)

9点に近い8点です! なんせ出版元は「山と渓谷社」ですからね、さすがです! (・∀・)

よくできたいい図鑑だと思うのでぜいたくな言い方になりますが、注文をつけるとすれば、遭難したときなんかのためにその場で食べられるような「生食」できるものを多く載せてほしかった。

山菜はおひたしだとか天ぷらだとか、果実は果実酒にして食用とする。というパターンが多くて、ちょっとだけ残念。でも山菜って基本そんなもんですよね、仕方ないか。

あと、これもぜいたくな注文ですが、「毒草」を載せてくれているのなら、「薬草」もちょっとでも扱ってくれればハンターからすると非常に助かるのですが・・・鎮痛とか止血とか消毒とか。なんでもかんでも求めすぎか、さすがに。そのうち薬草図鑑も買おうかな。

と、重箱の隅をつついてしまいましたが、それも出来がいいことの裏返し。買ってよかった図鑑のひとつです、おすすめできます! (^∇^*)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

田舎暮らし&移住者必読!?「山で暮らす愉しみと基本の技術」書評!

先立つものはありませんが、山里への移住熱はふつふつと、を通り越してブクブクと沸騰中です。

記事を読む

山怪

「山怪 山人が語る不思議な話」書評!

山を歩く、それも休日の明るい登山道などではなく、薄暗い森の中で単独忍び猟なんかをしていると、時として

記事を読む

狩猟専門誌「けもの道」

狩猟専門誌 月刊「けもの道」書評!

狩猟人口の減少を受けて、かつての狩猟専門誌「狩猟界」が休刊になったのが2009年。その跡を継

記事を読む

どんぐりノート

「ひろってうれしい 知ってたのしい どんぐりノート」書評!

秋という季節はいろんな言葉で修飾される季節。「読書の秋」だとか「スポーツの秋」だとか。「天高

記事を読む

うまいぞ!鹿肉

「うまいぞ!シカ肉」書評!

猪の肉(シシ肉)がおいしいのは有名、だけど鹿の肉ってのはちょっと評価が分かれる。うまい個体は

記事を読む

料理人のためのジビエガイド01

「料理人のためのジビエガイド」書評!

もうすぐ猟期、というのは口が酸っぱくなるほど言ってることですが、実はもうすぐ僕の誕生日でもあるのです

記事を読む

哺乳類のフィールドサイン観察ガイド内容

「哺乳類のフィールドサイン観察ガイド」書評!

ハンターになるまではそれほど意識しなかったことですが、ハンターになってから注意しながら猟場を歩いてい

記事を読む

河内地方

猛虎弁マスターにも最適。「河内弁大辞典 やぃ われ!」書評!

おとんがテレビに映ったAKB48のライブの様子を見ていた時。 おとん:のつこつする

記事を読む

Comment

  1. フォレスト より:

    私も山菜とキノコのハンドブックをずいぶん前に購入して山へ持ち出していましたが、キノコは本だけでは確信を持てず、毒に当たれば強烈ですので怖くて食したことがありません。キノコにチャレンジしたことはあるのでしょうか。

    • spinicker より:

      キノコはおそろしいですね! 手を出したことはありませんw なんであんなオーバーキルなやつがそのへんに生えてるんでしょうかね! ^ ^;

  2. みみみ より:

     今、笠取に来ています。早すぎて、門が閉まっています!
     
     ダイビングのインストしてますので、この会社の海の生物関連、持っています。見やすいですよね。

    • spinicker より:

      ヤマケイシリーズはなんか評判いいですね。他のも買ってみようかな。。。

      僕も以前、ほんのちょっとだけダイビングやってました(半分だまされたようなもんですが)! 白浜で何度か潜っただけですけど・・・ ^ ^;
      ウルバリンどんな感じでしたか? レポート期待してます! ^ ^

  3. みみみ より:

    http://ameblo.jp/dr-mimimi/
     
     残念ながらエアチャージの問題で、レポートできるほどの結局は得られませんでした。
     
     来月あたり、頑張ります!

    • spinicker より:

      お住まい北陸なんですね。伊勢原じゃなくて笠取にお越しということは石川県もしくは富山県とお見受けしました! ^ ^;

      ブログ拝見させていただきました。エアの問題は残念でしたね。でも着弾はまとまっているようで何よりです! エアライフルは精度が命ですからね・・・
      僕の場合、記事のネタが似たものになるとなんとなく書きにくくなってしまうのでひとさまのブログは意識的に訪問を控えているのですが、たまにのぞかせていただきます。 m(_ _)m

spinicker へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

もうかりまっかPC01

PAGE TOP ↑