疑問解決!貧相な冬の針葉樹林でシカは何を食べているのか?

公開日: : 最終更新日:2015/12/22 狩猟よもやま話

冬の鹿

昨年から装薬銃での大物猟をするようになって冬山にも分け入るようになりましたが、入れば入るほど不思議で仕方なかったことがあります。

それは、「シカは何を食べて暮らしているのか」。

僕の考えとしては

『奈良県某村の山はスギ・ヒノキの林だらけ → でもシカいっぱいいる → シカがいる以上何かを食べているはず → でもスギ林の中にある植物はとても限られている → 葉が丸々残っている植物もないではないが、おそらくシカが嫌いな植物だろう → では何を食べてる???』

といったところでした。

林床にあるものといえばスギやヒノキの枯れ枝や枯れ葉、シカに食べられて丸坊主になったなんらかの植物(もう食べるところがない)、やや丸っこくて厚い葉のついた、鹿が食べた跡のない灌木、場所によってはササの群生・・・ぐらい。

青い物でまともに残っているのは局所的に存在するササとシカが好まないであろう、まったく食痕のない植物ぐらいなのです、奈良県某村では。

ササはまぁ食べるのかもしれない、けど食べられそうなもので残っているものといえばもうそれぐらいしか思いつかないんだけどなぁ。

なのにシカはササのない針葉樹林でも普通にみかける。何が目的であんな寒々しいところにいるんだろう。(´・ω・`)

といったことが気になってググってみたら、どこかの研究員さんが同じ事を考えていたのか、調査結果をネットに上げてくれていました! ありがとうございます! (・∀・)

今回参考にしたのはこちらのページ。

大阪府北摂地域におけるニホンジカの食性

冬の鹿の餌

同ページに掲載されていた、季節ごとのシカの第一胃内容物の割合を表した図がこちら。

ちなみに「ササ・タケ以外のグラミノイド」とはイネ科やカヤツリグサ科の仲間。ススキとかそのへんのカラスムギとか、あんな形の植物のことのようです。非同化部とは植物の葉以外の箇所。茎とか根とか枝とか。

シカの食性は分布する地域によって差が大きいとのことなので、奈良県某村のシカがこれと同じであるかは定かではないですが、参考にはなるはず。

これによると、冬のシカの食物はやはりササ・タケ類が1位となっています。やはり! ササは場所によっちゃアホほど生えてるしなぁ。これは納得。

ビックリしたのが2位。「枯れ葉」。枯れてても食うんかい! (゚д゚;)

まぁ、牛も干し草なんか食べてるし、考えてみりゃなるほどとも思うけど、そうか。針葉樹の枯れ葉なんかでもいいのならそりゃスギ林にでもどこにでも居るだろうし、もっと栄養のあるものが欲しくて人里の畑にも来るよなぁ。

他にも「高知県本山町におけるニホンジカの胃内容物」なんて参考になるページもあり、調べてみるとなかなか面白いものです。

獲物の食性を知ることができれば居場所の推定も可能、そうなると猟果にもいい影響があるはず。

もういい歳なので、ただやみくもに猟場を歩くだけではなく、これからも調べられることは調べて猟に活かしていこうかと思います。(`・ω・´)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ヒヨドリ

混獲注意!おいしいおいしいヒヨドリと間違えそうな鳥たち

wikipediaより[/caption] 例年、1~2月にはヒヨドリを専門に狙う日を少なく

記事を読む

エゾシカ衛生処理マニュアル

ハンターの解体新書「エゾシカ衛生処理マニュアル」が改訂されました!

ツイッターの方では先ほどツイートしましたが・・・平成18年に発表され、充実した内容から好評を博した、

記事を読む

出猟一回あたりのコストを確認してみた(初版)

どんな趣味を楽しむにしても、コスト面を度外視するというわけにはなかなかいきません。それは狩猟

記事を読む

狩りバカ日誌2015年2月1日

たとえばこんな休日を。もし、あなたがハンターになったら(装薬銃編)

5:09 起床 あなたは目を覚ました。アラームが鳴る6分前。それだけ今日の巻き狩りが楽しみだっ

記事を読む

yeah!

次の猟期が待ちきれない人に送る、ちょっと早く解禁を迎える方法

もう言ってる間にお盆ですね。お盆といえばうちの支部では狩猟者登録申請の時期です! なんだかん

記事を読む

yeah!

至上の達成感。狩猟における二番目の目標を1シーズン継続できた件

次猟期が近づいてきて、居ても立ってもいられなくなったハンターはどういった行動を取るか。

記事を読む

地図

初出猟前の予行演習。詳細なハンターマップの見方はここで学ぼう!

もうすぐ8月。当地では盆ぐらいにその年度の狩猟者登録があるので、8月半ばあたりになるとグッと

記事を読む

apemanの安物トレイルカメラを獣道に仕掛けてみた結果。

正解?不正解?見た・聞いた・思った「シカの生態」

奈良県はシカのメッカみたいなとこで、当地での単独忍び猟の主な獲物はやはりシカになります。シシ

記事を読む

メガネ

猪の視力=0.1程度。彼らから人間はどう見えているのか?

狩猟を始める以前に、動物の一般知識として「獣類は視覚がよくないかわりに聴覚や嗅覚が鋭い、鳥類

記事を読む

2014第一回猟場見回り01

これから始めるハンター予備軍の味方、狩猟セミナー紹介!

僕の場合は「うまいカモ鍋が食べたい!」と思い立ち、そのまま勢いに任せて、主に"銃の所持"関連

記事を読む

Comment

  1. monndou_n より:

    1カ月ぶりぐらいに田舎の畑に行きましたが、新しい獣道が何本も出来て、糞だらけでした。斜面も、草刈りした後みたいです。
    やっと、標識が来たので、箱罠を設置して来たのですが、まだ入っていない様です。(入ったら、連絡をくれる様に地元の人に頼んでます)
    現状、10頭ぐらいの群れで襲撃に来るらしいので、鹿は取り放題ですよ。

    • spinicker より:

      雑食のイノシシの方が植物しか食べないシカより増えてよさそうなのになぁ、と思ってましたが、シカは植物であればたいていのものは食べられるようなので、激増するにはやはりそれなりの適性があるということですかね。
      しかし聞けば聞くほど罠もおもしろそうだなぁ。( ̄∇ ̄;)

  2. ほいぽい より:

    今年の冬に鹿に柵を壊された後の果樹園での鹿害ですが、
    桃の木の場合、皮を剥がして食べてみるがまずくて吐き捨て、マーキングはして置く程度で済ませていました
    無花果の木は芽と枝についていた未完熟果を綺麗に根こそぎ食べていましたね。
    木通の芽は口の届く範囲はガジガジ、葡萄の木は遠くて口が届かないが苗木をガジガジ
    ・・・鹿も奈良のシカの様に、普通に夜の街中でも人も車も恐れず群れでやってくる様になりましたね
    最近では柵や網の破壊以外にもハウスや不織布を破って食べる知恵ある被害もあるそうです。
    ・・・この害獣を守る法が、果たして必要なのだろうか?

    • spinicker より:

      シカは個体数が大きく増えているので、今までは見向きもしなかった植物にも適応し始めてるんだとか。尾瀬だったと思いますが、今までは食べなかった植物の根っこが食べれることに気づいて文字通り根こそぎやられてるんだとか。

      ハンターも新規参入者より去っていく人の方が多い状態は変わらないので、夜撃ちの全面解禁だとか猟期の大幅な延長なんかを検討するべきな気がします(それでもまだ人間が押される概況ではあると思いますが)。

spinicker へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

もうかりまっかPC01

PAGE TOP ↑