狩猟やジビエを通じて、人生の血肉を得たり得なかったりするwebサイト。貧乏がなんだ!
猟銃の取得って難しい?
いいえ、難しくはありません。ただ、多少面倒ではありますけど・・・。
ここでは、「よし、ハンターになろう!」と思い立った人の参考になりそうなことを書いていきます。
2月20日
まず銃に興味がわいた。
マテリアルスナイパーというフラッシュゲームを遊んでいた時。
「・・・そういや日本でも銃って持てたよなぁ」
東南アジア放浪中も、何度か射撃場でピストルをぶっぱなして遊んだことがあります。カンボジアのプノンペンにいた時には、戦争で歩兵が使うようなごっついマシンガンみたいな銃を撃ったことも。ミリオタとまではいかないまでも、銃には以前からある程度の興味はありました。なんだかんだいって、銃はやはり男のロマンだったりなかったりするのです。あんな戦争用の銃はいらないとしても、銃を、日本で・・・。
この時、まっ先に頭に浮かんだのが「猟銃」でした。実は父親の友人に和歌山の猟師さんがいて、小さい頃によく鴨やら猪やらの肉を持ってきてくれていました。おいしかったなぁ、鴨鍋。また食べたいなぁ。
・・・・そうか、自分で獲ってくりゃいいんだ。よし、狩りをしよう。猟師になろう!
この日からしばらく、猟銃の所持についてあれこれ調べ、申請する銃はエアライフル(=2種猟銃)に決めました。威力は低いものの、散弾銃(=1種猟銃)より命中精度が高く、ランニングコストも安いうえに手続きも簡単だというのが魅力でした。
4月5日
地元の警察署へ出向く。
猟銃を所持するには、まず所轄署の生活安全課という部署にて「猟銃等初心者講習会」の受講を申請する必要があるそうな。てなわけで、やってきました生活安全課。くっ、何も悪いことなんかしてないのにドキドキするぜ・・・!
担当官は、40半ばぐらいであろうかという、なんかつかみ所のないおっちゃん警察官。外見的な特徴もこれといってなく中肉中背、話し方も淡々としていて何を考えているかわかりにくい。
「あの、猟銃等初心者講習会の受講申請に来たんですけど・・・」
「ん、ああ。じゃ、ちょっとこっちでお話聞かせてもらえますか」
と、部屋のすみっこにある埃をかぶったデスクに座らされ、担当官の準備が終わるまでしばらく待つことに。警察署の内部に入ったのは今回が初めてだったんですが、「・・・被害者は・・・どこで・・・」などという会話が漏れ聞こえてきたり、後ろを見れば「取調室1」とプレートが掲げられているドアがあったり、棚には「DV被害状況」というタイトルのファイルがずらっと並んでいたり。ぱっと見は市役所のような雰囲気だけど、よくよく周囲を見てみると、やはりここは警察署なんだな、と実感しました。そうこうしているうちに担当官が資料を携えて目の前に着席。質疑応答?が始まりました。
「猟銃を所持したいということですけど、どんな目的で?」
「昔猟師の人にもらった鴨とか猪とかの味を思い出しまして、自分でも獲れるようになったらいいな、と」
「趣味ってことなら、別に狩りじゃなくてもねぇ? 鴨にしたって、スーパーとかで売ってますよ?」
「いやー、スーパーとかの合鴨なんかはなんか味がいまひとつなんですよねぇ。やっぱり天然ものじゃないと!」
といった感じの内容だったのですが、銃を所持する動機を特に強く聞かれました。これがいい加減だったりあいまいだったりすると申請自体を受け付けてもらえないそうで、「申請が受理されるまで4回足を運んだ」だの「門前払いされた」だのといった話を聞きますが、僕の場合はそういったこともなく、その後さらに家族構成だとか前科あるかないかだとか年収だとかそういった質問攻勢を受け、その日のうちに申請が受理されました。
ただし! 今回はただ「申請が受理された」というだけであって、まだ「申請が通った」わけではないのが日本一銃所持に厳しいとされる大阪府のつらいところ。他府県では「受理される=申請が通る」だそうですが、大阪だとその前に公安委員会の身辺調査があり、それにパスしないと申請が通らないのです! チクショー! 僕何も悪いことしてません!(たぶん)
6月8日
連絡がないので催促の電話を入れてみる
申請が受理されてから約2ヶ月間、何の音沙汰もないので、一度やんわりと催促してみました。あくまでもマイルドに、おとなしく、ジェントリーに英国紳士のように、です。ここで怒り狂ってしまっては、「こんな奴に銃なんか持たせたら何をしでかすかわからん!」などといった印象を持たれてしまうかもしれません。短気は損気。もう2、3週間で裁定が下るということなので、もうちょっとの辛抱です。
6月21日
初心者講習会受講決定!
仕事を終え、携帯を見てみると一本の留守電が。担当官さんからでした。申請が通ったので、一度署まで来てくれ、とのこと。
っしゃあぁー!
喜び勇んで生安課へ突撃し、受講票と試験用のテキストを受け取りました。(画像一枚目が講習会概要、二枚目がテキスト類。今回警察署で受け取ったテキストは一番左の「猟銃等取扱読本」)
講習会午後からの試験、これが本番。これに合格しないと猟銃は手に入らないのです。猟銃等取扱読本は正規テキストだけあって、関係法令などすべてが載ってはいるものの、それだけに覚えるべき量が膨大で、要点もまとまっていません。はっきり言って僕のような物覚えの悪い人間には覚えきれません! ということで、ネットで当たりをつけていた試験用の別売テキストを2冊取り寄せました。まん中の「銃砲所持許可取得の要点」は猟銃等取扱読本の内容のうち、重要なところをまとめたもの。そして右の「猟銃等講習会試験対策例題集Ⅱ」は、言うなれば過去問。以前に出題された試験問題を分析し、今後出題されそうな形に再構成して模擬試験の形にしてあるものです。
講習会は7月の26日、それまでは勉強あるのみ! これまた大阪はかなりの難関だそうなので気は抜けません!
7月26日
いよいよ講習会当日!
猟銃等初心者講習会は二部構成になっていて、午前の講習が終われば、午後にいよいよ試験、という形です。しかし、仕事がなんだかんだといそがしく、まともに勉強の時間が取れたのはここ数日ぐらい。鳥獣保護法はともかく、銃刀法と火薬等取締法関連がかなり怪しいなぁ・・・。覚えるべき数字が多すぎるってんだよまったく。(x_x)
まぁ、過去問では最後の方は80点ぐらい取れてたし、なんとかなるっしょ!
・・・・・と、思っていたのですが。
ふたを開けてビックリ。全20問中14問の正答で合格の四択方式なのですが、いきなり1問目から7問連続でわからない! わからないところは飛ばしつつ、ひととおり全問終えてみたところ、自信があるのは20問中6問程度。とりあえず答えは書いたものの自信がないのが5問、残り9問は空欄・・・。過去問よりめっちゃむずいじゃないですかやだー!
とりあえず最初に戻り、四択のうち正答としてありえそうにないものを外し、より正答に近そうなものを残し、さらに残ったもの同士を検討、わからなくても四択なのであてずっぽうでも確率は25%、空欄にはせず何かしら番号を埋めていく・・・といった作業に没頭しているうちに、制限時間の1時間はあっというまに終わってしまいました。しかも試験終了時にはまだ2問が空欄だったので、適当にアとかイとか書きました。これは・・・落ちた、かな? orz
(※もうちょっと「猟銃等取扱読本」を読んでおくべきでした。「銃砲所持許可取得の要点」でまとめきれていなかったところがたくさん出てきたのが、今回とまどった一番の要因でした。)
8月6日
ついに運命の電話が・・・!
試験から10日ほど経ったある日、担当官さんから電話が。結果の知らせかな。ふっ、たぶん落ちてるんですっかり忘れてた。
「ああ、spinickerさんこんにちわ。試験の結果なんですけどね・・・」(ちょっと溜めが入る)
「はぁ」(どうせあかんのやろなぁ)
「いちおう、合格ということで」
「・・・マジっすか!」
「おめでとうございます。渡す書類とかもあるんで、一度来てもらえますか?」
えせジェントルマンの化けの皮がはがれましたが、合格したのでどうでもいいです。しかし自分では受かってる確率は30%あるかないかぐらいだろうと思っていたので、うれしいと言うよりは意外でした。そして助かりました。今回落ちていたら次は来年、しかもその来年の試験も年3回あるうちの最初の1回についてはもう定員オーバーだそうで、次いつ受講できるか定かではない状態だったのです。いやぁ、よかったよかった! ^^
電話を切ったあとは署へ向かい、講習修了証明書(合格証)を受け取りました。
買う銃を決めたら、その銃のスペックや形状がわかるカタログなどの資料を持ってきてくれとのこと。それが次のミッションです!
(1種猟銃の場合は、このタイミングで射撃教習が入ります。教習射撃の様子はこちら!)
9月12日
購入する銃を決め、担当官さんに伝える
大阪でエアライフルに強い銃砲店を見つけられなかったので、ネットに活路を見いだすことにしました。そしてたどり着いたのがE銃砲店。ここで扱っているAR6というエアライフルに目をつけました。商品の詳細がわかるページをプリントアウトし、生安課へ。スペックによっては、許可が下りない場合もあるそうです。ついでに、銃の保管に必要になるガンロッカーも購入しました。また、この段階で譲渡承諾書ももらえました。
9月20日
OKをもらい、所持許可申請用の書類を受け取る
どうやらスペック上は問題がなかったらしく、無事に担当官さんからOKをもらい、所持許可申請に必要な書類の指示を受け取りました。これらをすべて準備して提出しなければなりません。手数料は9000円。難しくはないけど面倒だなぁ・・・。
(警:警察署でもらう 役:役場でもらう 自:自分で用意する 店:銃砲店が用意する)
なかでも厄介なのが、同居している家族に銃所持に同意している旨を書いてもらう「同居親族書」。母が亡くなってから実家に戻っている僕は、なんとしても父親を説得しなければなりません。なぁに、いざとなったら力ずくでも・・・クックック
9月26日
所持許可申請の提出
と思ったら、実は父も僕が生まれる以前にハンターをやっていたとのことで、昔をなつかしがりつつあっさりと銃所持に同意してもらえました。知らなかったぜ・・・。その他の必要書類もすべて準備し、いよいよ所持許可申請を提出! ここで再度公安委員会の身辺調査が入り、例によってパスしないと許可が下りません。
10月11日
担当官さんの家庭訪問
9月20日に話をもらっていたとおりに、部下を1人連れた担当官さんがうちにやってきました。家庭状況とガンロッカーの設置状況を確認、いちばん最初に警察署で受けたような聞き取り調査を終えたのちに、ご近所へ僕の評判を聞き込みに回ります。
なにを隠そう、これが一番緊張しました。あまり親しいとはいえないご近所さんに「この家のこいつが銃なんか買おうとしてやがる!」というのが知られてしまうのです。巷では、忘れたころに猟銃による犯罪が起こっています。あまりいい気はしないでしょうし、賛成か反対かどちらかでいえば反対する人の方が多いはずです。 町内会のドブさらいには毎年参加してるけど、ああ、もっとご近所さんに媚びておくんだった・・・! 大丈夫かな? 許可もらえるかな? orz
11月7日
ついに許可が下りた!
携帯が鳴った。警察署の番号。1コールで出る。
「もしもし!」
「ああ、スピニッカーさんおはようございます」
「・・・所持許可ですか?」
「ええ、下りましたので、また都合のいい日に署まで来てください」
イィィィィィヤッフゥウウーーーーー!!!!!! ありがとうご近所さん!
しかしまだ終わりではないのです。この所持許可証は完全ではありません。これを銃砲店に郵送し、許可が下りたことを証明してはじめて銃を譲渡してもらえるのです。そしてその銃を生安課へ持参し、確認欄にチェックを入れてもらうことで一連の手続きがすべて完了します。それまではこの許可証は完全な許可証として機能しないのです。さぁ、もう少し! 銃ははやく欲しいので今日中に代金の振り込みと所持許可証の郵送を済ませます。あぁ気が逸る!
11月18日
銃キタ━━━━!
動物園のクマのようにうろうろしながら、朝からインターフォンが鳴るのを待つ僕。本人限定郵便とやらで今日届くはず・・・!
”ピンポーン”
きたあああああああ! は、ハンコどこだ! あった! 今いくよおおおおお! ガチャッ!
「目覚めよ」
「・・・・・。」
宗教の勧誘でした。銃は夕方に届きました。
嗚呼、これが夢にまで見た僕の銃・・・! すげぇ! かっちょええ!
11月19日
完全無欠の所持許可証ゲット!
昨日とどいた銃を早速生安課へ持ち込み、チェックを入れてもらいました。これで終了です! ハンター活動はこれからですが、まずはおつかれさまでした!