今、解かれし封印。2014年に射獲した四年ものカルガモを食べてみた
公開日:
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最終更新日:2018/05/04
ジビエ・ワイルド料理

去年の10月に「大丈夫?真空パック済み冷凍ジビエ(鹿肉・二年もの)を食べてみた」という記事をupしまして、結論としては「ぜんぜんいける!」という結果になりました。
それはそれで一段落して、つい先日のこと。
冷凍食品をもらいすぎたのでちょっと持って行ってくれ、という要請を父親から受けて、実家(といっても車で1分ほどですが)の冷凍庫をあさっていた時。
…なんか見覚えのある物体がすみっこの方にはさまっているのを発見しました。

おっ、カモ。なぜこんなところに。
…ってか、待てよ? 引っ越したのはいつだ? 実家にいた頃から猟はやってたけど。。。
おそるおそる日付を見てみると…

oh… (´・ω・`)
四年四ヶ月ほどの永き眠りについていたカルガモを発掘しました。RPGとかだと「我が眠りをさまたげるのは貴様か」とか言われる展開です。orz
完全に腐ってるとかならあきらめないと仕方ないけど、たぶんそんなことはないはず。真空もきっちりできてるみたいだし。命を奪った者として、四年もののカモを胃袋に収めないと!
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状態観察

解凍して現状の把握に入ります。
やはり腐ったりはしていません。さすがは真空パックといったところ。
が、家庭用の冷凍庫ということで、たしか-18℃ぐらいまでしか下がらなかったはず。シカ肉を二年冷凍しておくことはできても、それ以上、数年単位となると厳しいようで、見ての通り色合いはあまりいいとは言えません…。(´・ω・`)
こういう業務用の冷凍庫だと-60℃で冷凍できるんですって奥さん! そういやうちの支部の班長ちには確かこういうのがあったはず。本体も高額なら電気代も普通じゃないだろうけど、暮らし向きに余裕のある、デキる猟師は持ってるみたいですよ。。。

僕はできない猟師なのでノーマル冷凍庫。そこへ四年以上ほったらかしにしていたのはさすがによろしくなかったようで、うーむ。切り開いてのぞいてみた肉の色も、普通の状態より灰色がかっています。
ただまぁ、思っていたほど悪くもないようですけどね。
あと気づいた点といえば、やけに水っぽいというか、水気が染み出していたところ。そして水気が出たぶんなのか、張りがなくしなびているような様子。
においもかいでみました。これは悪い意味で生臭くない感じ。カモ臭も肉のにおいもものすごく乏しい。
生臭さっていうのははある意味、肉のにおいの象徴みたいなものです。生肉は生臭くて当然なのです。しかしそのにおいがしない。
大げさに言うと、なんか作り物みたいな印象を受けました。見た目は肉だけど実は肉じゃない、肉らしさが流れ出てしまった抜け殻、みたいな。

さらに切りそろえていきます。
脂乗り、ほぼゼロ! (´;ω;`)ブワッ
…そりゃそうだろうなぁ。脂乗ってたらまっ先に食べてるはず。脂乗ってないからこそ奥にしまい込まれて記憶の地平線の向こうへ行ってしまったわけだし。

とにもかくにも、とりあえずは食べてみてから。鍋の準備にかかります。レシピはだいたいいつも通り。白菜忘れたけど。。。
関連記事:鴨鍋を作ってみた。

肉つきのモモを煮出してダシを取って、と。

か、完成…。
ううん。食べる前なのになぜか食い散らかした後みたいに見えるのは気のせい、なんでしょうね。白菜が入っているともうちょっと色合いもよかったんだろうけど。
何はともあれ食べてみます。ぱくっと。
・・・・・ (´へ`;)
脂ないせいで超ぱっさぱさのカスカス。それは最初からわかってたけど、あと、ものっそい血の味がします。てか血の味しかしません。ただただ血の味。血の味以外のカモらしさはどっかいってしまってます。
こう考えると、肉の生臭さって、肉のうま味でもあるんじゃないかという気がしないでもありません。鼻で味わうとまずいけど、舌に変換するとうまみになるというか。
魚でもうまい魚、カマスとか特に生臭いし。なんかそんなのがあるのかも。
ただ、ダシの風味はそこまで悪くなかったのは助かりました。状態がよくなさそうだったのでちょっと濃いめの味付けにしたのも奏功して、ダシとネギとしめじで血の味を中和しつつなんとか完食に成功。いい経験になりました。
やはりジビエは新鮮なうちに!
今回の結論から言うと、四年もののカモは食べられなくもない。けどやっぱりしまい込んだのを忘れずほどほどの時期で出して食べるのが一番。という結果になりました。
経験上では二年もののシカはOKで四年もののカモはダメダメ、ということに。
一回だけだと信頼できる結果とは言いにくいけど、かといって四年とか三年とか、こんな感じの実験を何度もやろうという気にはなれないですねー。
「まずくなるかもしれないけどやってみたらやっぱりまずかった」というのは、手を血で汚した者としては気乗りがしません。やはり忘れずしっかり管理するのが一番です。
脂乗ってなかったり、状態のよくない獲物は消費が後回しになりがちだけど、忘れてしまうとこういうことにつながります。すると、状態のよくないのが、さらに劣悪なコンディションになってしまいます。獲物にも申し訳ない。
状態のよくない個体は、だからこそ先に、新鮮なうちに消費して、忘れることなどないぐらい状態のいい、楽しみな個体を後回しにする。とかが案外いいのかもしれませんね。(・∀・)
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Comment
非常に興味深いネタ、ありがとうございます。私も3年前のイノシシを発掘しました。真空パックの中に一部、空気が閉じ込められているところがありまして、その周囲の肉は、ダメになっていました。
普段食べる鶏肉は、スーパーで安くなっているときに沢山買ってきて、冷凍します。さすがに真空パックは、パックのコストと時間的労力的コストが高く付きますので、100均の安価なジップロックに入れ、水を入れて空気が残らないようにして冷凍しています。グレーズみたいに冷凍焼けから守ってくれます。
シシ肉などはサランラップで包んでから、真空パックして冷凍しています。調べてみましたら、マイナス20度でも酸化が進むんですね。ディープフリーザーは安くても15万前後。これは手が出せません。。。
空気に触れないようにするために水で満たして冷凍、というのは思いついたことありませんでした。発想の転換ですね。一度僕もやってみたいと思います!(・∀・)