猪の視力=0.1程度。彼らから人間はどう見えているのか?

公開日: : 狩猟よもやま話

メガネ

狩猟を始める以前に、動物の一般知識として「獣類は視覚がよくないかわりに聴覚や嗅覚が鋭い、鳥類は逆に視覚はいいけど聴覚や嗅覚はいまいち」というのが自分の中にありました。今でもこれは概ね当たってると思います。

実際、農研機構(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)のウェブサイトにも、

イノシシで視力を調べたものはないが、ブタでは0.1を下回る程度。これは100m離れた位置から直径1.5mのドーナツ型の円環に開いた30cmのすき間が識別できる程度、つまり100m先から人間をみわけるのに十分な視力である(江口 2003)。 夜目はあまり利かないと考えられている(江口 2003)。

http://www.naro.affrc.go.jp/org/narc/chougai/ino-HP/ino-eco.htmより

とあり、やはり目はあまりよくない様子。
が、一方で「100m先から人間をみわけるのに十分な視力」ともあって、ここが引っ掛かっているのです。

森林における0.1の視力とは

僕は極度の近視です。直近に測定した結果では、左は0.1程度(Cの一番上がかろうじて見える)、右はそれ未満(Cの一番上が判別不可)。眼鏡が手放せません。裸眼の両眼合計で0.1程度ってとこでしょうか(矯正視力はともに1.2)。

で、裸眼だと眼鏡を探すのすら難儀するこの視力。過去、狩猟中に山でひっくり返って眼鏡が落ちた時に裸眼であたりを見回すことになりましたが、当然ながら何が何やらまったくわかりません。すぐ近くに落ちていた眼鏡を発見するのにたっぷり2分はかかりました。

0.1であんなザマなので、「100m先から人間をみわけるのに十分な視力」と言われてもどうも信じられないんですよねえ。僕の裸眼で100m先の人間を判別できるとは思えない。普段の行動範囲である町中ならまだしも、山中だとぜんぜん見える気がしない。(´・ω・`)

じゃあシシはどうなんだ。と考えた際のいい実例に先の猟期で直面しました。

猪の視力

単独で忍び猟中、ゆるやかな上りの50mないぐらいの距離で、木々の切れ間に何やら動くものを発見。一頭のシシでした。こちらにはまだ気づいておらず、ゆっくりと僕から見て右から左へと歩いています。大チャンス!

猪の視力

ここでシシの視力のことを考えます。0.1程度。目が悪い。この距離でこの森の中なら多少速く動いてもわからんだろう。

そこですちゃっと素早く挙銃、狙いをつけると。スコープが切り取る円の中で立ち止まり、シシもこっちを見ていました。気づかれた!?

シシの視力

ほぼ同時に、はじかれたように来た方向へダッシュで戻るシシ。そしてさらにその先から届く複数の足音。どうやら姿の見えていたシシは群れの先頭だったようです。

ものの数秒ですべてのシシは見えなくなり、大チャンスは一瞬にしてついえました。orz

結論:0.1は0.1でも熟練度が違うらしい

僕は自分の0.1をイメージして彼らの視力を推測してましたが、どうもそういうものではないようです。動くものにはどうやら敏感な様子。

同じ0.1は0.1かもしれないけど、僕は普段は1.2であって、0.1で過ごすことはほぼないのに対して、彼らは常に0.1。眼鏡をかけないシシにはそれが普通、慣れているわけです。

しかも僕の場合だと、上で「普段の行動範囲である町中ならまだしも、山中だとぜんぜん見える気がしない」と先述しましたが、彼らにとっては山中こそが普段の行動範囲。バレたのも当然なのかもしれません。(´・ω・`)

僕でなくても、視力の悪い人ならほぼ全員が矯正して日常生活を送っているはず。だから0.1という数字は「まともには見えない視力」と捉えがちですが、何千年何万年、何代にもわたって野生で0.1の世界で生きてきた動物たちからしてみれば、まあそれで事足りているから生き延びてこられたわけで。甘く見ていました。

ということで、シシもシカも、0.1という数字で連想するよりは意外と見えている様子。僕みたいにうかつに動くことなく、こちらに気づいていない個体に出会ったら、挙銃は逃げられてしまわない程度にゆっくり慎重に急いで行いましょう。

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