狩猟ヒヤリハットその16 ハンターの冷静さを奪う意外な存在
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狩猟ヒヤリハット・事故
猟犬は巻き狩りにおいてなくてはならない存在。人じゃないけどある意味人より重要な役回りを担っている、ハンターの仲間です。
しかし、時と場合によっては仲間であるはずの猟犬のためにハンターが危機におちいることだってあるのです。
2018年3月11日。この年の猟期にデビューした若い猟犬が、シカの群れを追っていました。
犬の居場所を表すドッグナビのマーカーは山中を縦横無尽に駆け巡り…。山のふもとの川原で動かなくなりました。
川を渡って撒かれたのかとしばらく待っていたのですが、5分、10分、20分…。ずっとその場にとどまったまま。
僕がもっとも近いところにいたので、様子を見に行くことにしました。
待ち場から現場までの所要は15分ほど。その間もマーカーの位置は変わらず。そして、現場を見下ろせるところまで来てみると…
犬は一頭のシカにとりついて肉を食らっているところでした。
しかも、シカはわずかに身じろぎしています。まだ息があるようです。
犬が獲物にとりついているところに遭うのも初めてなら、もちろんその獲物がまだ生きていることだって初めて。
早く止めを入れないと! けど現場の河原はまだかなり下。この切り立った斜面のどこをどう降りればいいのか…。
なんとか降りれそうなところを見つけたけど、犬がいるのと反対側。さらに時間を費やし、焦りはつのっていきます。獲物がまだ生きている。これ以上苦しませたくない。はやく、早く…!
冷静さを失いつつあったので、川がいつもより増水していることはそこで初めて気がつきました。
どうする? 歩いて渡れるのかこれ? …いや、難しそうだ。ここから撃つか? まわりには家はないけど…あかん。犬がかぶりついてる。当たるかもしれん。じゃあどうする…!?
この時は早く止めを入れに行きたい一心。気がつくと川に入っていました。
水深は膝より少し上ぐらい、流れは思っていたより速い。水中の石には苔か何かが生えているようで、気を抜くと足を滑らせそう…!
一度スリップして尻もちつきそうになりましたが、なんとか踏みこたえてシカのもとにたどりつき、ナイフで止めを入れました。
今から思えば、深呼吸でもして、多少遠回りになったとしても犬がいる側のどこかで降りれるところを見つけるべきだったとわかります。けどその時は平常ではありませんでした。
どうすれば防げたのかというと、うーん。冷静さを失わないというのがひとつの答えなんだろうけど…失っていました。ないものねだり。ダメダメです。(´・ω・`)
では冷静さを失わないためにはどうすれば。
場数を踏んでいけば体験が多くの引き出しを作ってくれてなんとかできる、でもそれがないとなると、やはりこんな感じで体験談を頭の片隅にでも入れておく。ってのが次善策なのでしょう。
狩猟をやってるといいこと悪いこと、想像できることできないこと、いろんな目に遭います。今回は味方のせいでピンチになった巻き狩り時のお話でした。
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