9年目猟師が30口径(7.62mm)空気銃を1シーズン運用した感想を語る。

延長戦のないところでは、令和二年度の猟期も終わり。当地でもシカ・シシ以外の狩猟はまた来期以降となります。
個人的に、今期は大きな変化がありました。それはストリームライン2の導入。過去に所有していたレインストーム(5.5mm・30ft/lb)からストリームライン2は30口径(7.62mm・70ft/lb)にパワーアップ。どんなもんかと楽しみにしてシーズンインしたものです。
とりあえず1シーズン使用してみて獲物もいくつか獲り、いろいろと思うところも出てきたので、30口径空気銃を検討してる方の参考になるかもしれない感想をぼつぼつと書いてきます。
結論からいうと25口径(6.35mm)でよかった
7.62mmを導入する時、使い方のイメージとしては「大型のカモがメイン(距離は80mぐらいまで)、いずれ罠も考えてるので四つ足の止めさしにも」みたいな感覚でした。
ここだけ読んでも25口径で十分な感じ。そこをあえて30口径にしたのは、カモ撃ちの際に急所をちょっと外したような時に、25口径よりは馬力ある分獲れる率上がるかなー、ってな具合でした。
たぶん、その考えは外れてはいません。けど、程度としては「そう極端には変わらない」という感じ。
30口径だからといって、カモの急所外しても楽勝で獲れるかといえば、ぜんぜんそんなことなかったのでした。orz

まずはカルガモ。30口径のストリームライン2で撃った分です。

30口径弾の傷口はこんな感じ。

ちなみにこちらは比較対象。以前使ってたレインストームで獲ったカルガモの傷口。確かに30口径のがでかいのは間違いないけど…そこまでは変わらない。

アオクビも獲れましたよ。これも30。


同じ池で二羽獲ったんですが、一羽目は50mぐらいのヘッドショット。二羽目は60mぐらいのボディショットの貫通弾。
でもこれ、わかりにくいところもあるかもしれないけど、ほとんど30口径じゃなくても獲れてる可能性が高いんですよね全部。
これは僕だけかもしれないんですが、「7.62mm」というとどうしても装薬ライフルをイメージしてしまって、実情以上のすごい威力だと思ってしまってました。けど、ここまで見てきた通り、実はそんなこたない。ペレットの大きさ分穴も大きくなった、ぐらいの感じ。そんなもん。
二羽目のアオクビはボディショットで獲ってるやんけ! と言われると確かにその通りですが、その後、同じようにカルガモのボディショットで一度半矢も出してしまっています。やはり空気銃のカモ撃ちは大口径であろうがなかろうが、急所狙いが基本。


シカも二頭ほど転がしました。
一頭はたぶん二歳の若シカで、ほんとにラッキーでした。二頭目は正面20~30mの距離で眉間のちょっと上ショット。これはかなりでかいメスの成獣。

ちょっとアレなんで加工してるけど、弾は頭蓋骨を抜けて、見る人が見たらわかるでしょうが、とどめの必要もないほどのトンコロでした。この距離でこの当たりどころでこれぐらいのターゲットであれば余裕をもって倒せる、というのはわかりました。
一方で、大口径空気銃の先輩諸氏の話を聞いていると、いくら30口径であっても、よほどいいところに当たらなければまず倒れてくれないのが普通とのこと。
理想はヘッドショット、それも正中線沿いの脳近辺。でかいオスジカであれば、たとえそこに当たっても角の基部であったりすると厚みがあるのでそれでも無理だったりするんだそうです。
空気銃でのヘッドショットに限った耐性でいうと、おおむねシシよりオスジカの方が高いと聞きました。オスジカはケンカで頭突きなんかもするんで、頭蓋骨はかなり頑丈みたい。
装薬銃だとこれもトンコロになるネックであっても難しい、バイタル(心臓や肺のあるエリア)などまず倒れない。
となると、30口径空気銃とは
「22口径より威力はあるがカモ撃ちではそう極端には猟果は変わらず、大物撃ちに使えなくもないけど、ヘッドショットでよほどいいところに当てないと半矢の可能性が高い。動けなくなっている罠の止め刺しに使うなら25口径で十二分」
という、なんとも微妙な感じのアイテムである。という結論に至りました。
もし買う前に戻れるなら、25口径をチョイスすることでしょう。(´・ω・`)
30口径空気銃はこういう人なら活用できる!?

どういう人であれば30口径をすすめられるかというと、たとえば、よく遠射をする人。僕自身カモ撃ちはだいたい80m以内、たいていは50m以内で勝負するのであんまりわからないけど、遠射にはペレットの重い大口径の方が、風の影響を受けなくて安定すると教えてもらいました。
次に、初の空気銃だけど、カモ(というか大型狩猟鳥)を獲って獲って獲りまくりたい! それ以外はどうでもいい! って人。極端な差はないとはいえ、22口径より効くのは間違いないですからね。用途がバッチリ決まっていて変更がないのなら、30口径の方が猟果は上がるでしょう。
あとは…家族との約束で装薬銃は持てないので、空気銃で大物猟をしてみたい。なんて人もいるかもしれないけど、おすすめはできないですね。倒せないことはなくても、半矢になる可能性を考えると。
30口径空気銃のデメリット

まだ1シーズン使っただけなので何もかもわかったとは言えません。
けど、その短い間でも痛感したのが、まず燃費の悪さ。レインストームの時は一発あたりの消費エアは1気圧強でした。
対して、ストリームライン2はだいたい3倍、3気圧ぐらいを消費します。エアタンク充填にしてもハンドポンプ充填にしても、労力は22口径よりはかなり跳ね上がります。
関連用品が高いのも見逃せません。おもにペレット。
僕はJSBばっか使ってまして、それでいうとざっくり計算で22口径なら8円前後でした。国内の銃砲店から買うとして。
で、30口径になるとどうなるかというと、だいたい20円前後になります。2.5倍。
クレー射撃用の散弾が安いのなら40円ぐらいなので、45grの鉛の粒2粒≒散弾実包一発になるわけです。用途が別だから一緒にはならないけど、なんだかなあ。(´・ω・`)
海外から個人輸入すればかなり安くなります、確かに。しかしみんな考えることは同じみたいで、よく売り切れてるんですよね。欲しい時に買えなかったり。地味にストレスになりました。
検索かけて、おっ出てきた! と思ったら、1缶150発で100ユーロ以上とかね。ぼったくりプライスのものも目立ちます。それでも買う人がいるってことなんでしょう。
ううむ。ここまで書いてみて、25口径というか、やっぱ以前と同じ22でもよかったかな、という気がしてきた。22ならまだヒヨ撃ちでも使えるし。ヒヨうめえ。カモだって十分獲れてたわけだし。
大口径を使ってみたかった、同じ口径を買い直すのも能がないしな。とか考えてたんですが、なぜ狩猟用のプレチャージ空気銃で22口径がまず世に出回ったのかがわかった気がします。バランスが、使い勝手がいいんだわ。ちゃんと理由があったってことか。
2012年から空気銃猟を始めて9年目。自分に最適な口径を導き出すには9年では不十分だったみたいです、僕の場合。
これを読んでいる方は、自分の環境と想定している用途をうまく照らし合わせてみて、僕の屍を越え踏み越えた先で、ベストな口径の一挺を手にしてください。orz
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Comment
こんにちは、ご無沙汰してます。
シカシシ以外は今期も終了しましたね。
結果的には22~25口径で良かったなぁという事ですね。
30口径は罠の止め刺しに良いかな?などとも思いましたが、
近距離から確実に狙えるなら22口径でも使えるかもしれませんね。
私は今期は空気銃の出番がありませんでした。
更新時期だったのと換えたい機種が出たので手放してしまいました。
エースハンター5.5㎜、良い銃でしたけど、ポンピングの回数が面倒だなと思い始めてまして。
世の中PCPが主流になってますが、私はその流れから外れ、スプリング銃にしようかと。
1回のコッキングで済みますし、PCPのように残圧による弾道の変化もありませんし、
私が求めるのがキジバトヒヨドリ等なので充分だと。
昨今のPCPは装薬銃とまではいかなくてもそれなりに力が強くなりましたね。
そんな力は要らないなぁというのも頭にありまして。
スプリング銃は4㎏超えの重いのが多かったんですが、
最近トウキ〇ウジ〇ウホウが取り扱いを始めたスペイン、コメタ社のスプリング銃が安くて軽くて良いなというのがありましてね。
昨年末に、年明けに日本で発売されるという情報をとあるブロ友から仕入れていて、それで気にしてたんです。
18lb/ftなので昔の空気銃レベルですけどね。
余計な出費やその他の出費が重なってその空気銃が2~3本買えそうなほど出て行ってしまい、
まだ購入には至ってませんがそのうち購入したいな、と。
そういう鳥猟の猟場がなかなか見つからなくて困ってもいるんですけどね。
今期もお互い無事故無違反で終わることを祈ります。
四つ足はあとちょっと残ってますからね。
ヒヨ撃ちでスプリング銃使ってる人はけっこういますね。二の矢なんか必要ないし遠射もしないし、とても理にかなっている。その時が来れば買いましょう!(・∀・)
ハイパワーPCPもしょせんはPCPであって、やはり餅は餅屋というべきかなんというべきか。装薬銃がわりに使うには半端な感じがします、たとえ30口径でも。
猟期終わるのはさびしいけど、新しい車が20日前後に来るので、それ楽しみに過ごしますw