僕もあこがれてたEOTechホロサイトの精度がちょっと信用を失った件
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最終更新日:2016/10/17
猟具・猟装
僕の周囲を見回してみると、大物猟をやっている猟師はみな何かしらの光学機器をのっけて猟にのぞんでいます。
アイアンサイトオンリーの人は皆無。いたらかっこいいんですけどね。やはり光学サイトの利便性は誰もが認めるところであるようです。
比較的近距離での射撃が多いシシ猟では等倍のドットサイト、逆に遠距離射撃の機会が少なくないシカ猟では低倍率スコープ。といった構成が人気のもよう。僕はサイトロンジャパンのドットサイトSD-33を使ってどっちもやってますよ!(・∀・)
数あるドットサイト系製品のなかでも、お高いお値段が目を引くのがEOTech社のホロサイトシリーズ。戦闘機のヘッドアップディスプレイと同様のホログラフィック方式でドットを投影しているのでそう呼ばれているようです。
僕はえのは.netさんのこのページにあるEOTechホロサイトの動画を見てから、これが欲しくてたまりませんでした。すげーよさそう!
が、EOTech製ホロサイトはだいたい10万円弱の実売価格。ヘタすりゃ僕のM870より高い。買えるかハゲ。orz
個人輸入って手もあるかもしれんけど、高価なものほど故障とかが気になります。いきなり壊れたりしたらどこが補償してくれるんだと。
となるとやっぱり10万出して国内で正規品買うしかないのか、だと無理だなー。
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などとウジウジしてる間にショッキングなニュースが。
なんとEOTech社を傘下におさめているL-3 Communications社がアメリカ政府に詐欺で訴えられたというじゃないですか! な、なんだってー!!!
米政府が「EOTech」L-3 Communications 社を「詐欺」で提訴。30 億円超の賠償金で和解。
L-3 to Pay $25.6 Million in Gun-Sight Fraud Settlement
なぜそんなことになったのかというと、EOTech社のホロサイトに温度変化で照準が狂うという問題があり、同社はそのことに気づきながらも何の対策も施していない。というのが原因であるようです。
「温度変化で照準が狂う」米特殊作戦軍、EOTech ホロサイトの精度問題を指摘。大手代理店の出荷が停止
米海軍海上戦センター (NSWC: Naval Surface Warfare Center)で特殊作戦部隊の武器計画管理を務めるSOF-WPMO (Special Operations Forces – Weapons Program Management Office) は、L-3 EOTech社の HWS(ホログラフィック・ウェポン・サイト)ECOS シリーズの対象機種が、周囲温度 摂氏約22.8度(華氏73度)の環境下で、ゼロイン調整を行っても、メーカーが定めていた動作温度:摂氏-40度~50度(華氏40度~122度)の範囲内で、約4MOAの照準点変動が生じる
(中略)
また、パララックスフリーを謳いながらも、周囲温度状況によって4~6MOAの視差がある点も指摘している。
困りまんなぁ。ワシらガキの使いやおまへんねんでぇ!? ああん!? ( ゚д゚)、ペッ
SOF-WPMO は、2015年3月にL-3 EOTech社に対しこの問題ついての注意を行ったが、同社からの正式な回答が無いまま、6月に EOTech 公式サイトの仕様マニュアルから“動作温度”の項目が削除された。
また、公式サイトのFAQページには“温度変化”と“視差”についての注意項目が追加されたようだ。これにより、指摘された問題を同社が認める形となったが、未だ具体的な改善策は提示されてはいない。
(中略)
親会社である L3 Communications は、8月上旬の四半期報告書でこの問題に言及しており、和解金 2,600万米ドル(約31億円)の準備についても触れられている。訴訟問題へと発展する前に、米政府や各取引機関と和解へ持ち込もうという狙いのようだが、マニュアルなどの改訂を行ったとはいえ全ユーザーに対して公式なアナウンスを行っておらず、HWS の問題点を広く認知させる必要があるとして SOF-WPMO は SOUM を発表する流れとなったようだ。
悪いお人やで、EOTechはん。この落とし前、どないつけてくれはりますのんや? (ꐦ°᷄д°᷅)
・・・などとEOTechの製品を持っていない僕が責めるのもおかしな話ですが、普通に考えればけっこうな問題になりそうなことをしでかしたようです。知らん顔してマニュアルを書き換えたりユーザーに通知しなかったり、というところがダメダメですな。
その後、こちらのページによると、アメリカでは「ご希望があれば購入金額+送料手数料その他もろもろとして15ドルを返金します」というようなことになったようですが、世界各地のユーザーにはどうなっているんでしょうね?

画像はhttp://news.militaryblog.jp/e709644.htmlより
こちらの製品が対象。高い商品でこういうことがあるとへこみますね・・・ orz
しかし一方で、こちらのブログなどには「それほど気にしなくていいんじゃないか」という情報もあります。
米国の軍機関がEOTechの特定機種について、気温差により4MOA以上の照準誤差が生じると言う実験結果を受けて、L3社を提訴したとの情報が有ります。
当店から自衛隊関係に販売しているEXPS3-0が、その特定機種SU-231A / PEQに該当する為自衛隊の検査機関で独自調査(一定温度差による照準誤差)を行った様です。
結果的に200m程度の射程において、特筆すべき変化が見られなかったとの調査報告を頂きました。
米国の訴訟問題はさておき、国内の環境下で狩猟や射撃をする上で、問題は有りません。
実際、同じ猟隊にEOTechを使っている人がいますが、毎年シシをたくさん撃っておられます。てゆーかたぶん捕獲数は隊でもかなり上だったはず。純粋に射撃の腕もすごい人ではありますけど。
でもこういうのはやっぱりなんか気になりますよね。10万円という値札がつくような製品となるとなおさら。
もしこれから買おうとしている人がいたら、こういった話があった。ということをちょっと思い出してみてください。
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Comment
この前、師匠と話していたのですが、もし、鹿がイノシシが銃で撃ち返して来て反撃してきたらと。そうなれば、私は確実にハンターにはなって無かったと思います。
軍隊は、敵が撃ち返して来るから高額な賠償金の支払いになったのかなと思います。正直、アサルトライフルでそこまで精密射撃が出来るのか疑問ですが。
このスコープ、狙いやすく良さそうなのですが、残念ながら私の銃には付ける事が出来なさそうです。レールが10ミリで、60ミリぐらい離れた前後に一コマづつしか挟みこめません。アダプターを付けると、物凄く目線が高くなってしまいます。めっちゃ不便です。
シシの突進ですらビクビクしてるってのに、撃ち返してきたら・・・僕もハンターはできないです。鉄砲は偉大なり。
頬づけの位置が高くなりすぎると使いにくいですね。SD-33はその点高すぎず低すぎず、M870のサドルマウントで使う分にはいい感じで運用できています。欲を言えばもうちょっと前の方でセットしたかったかな。。。
メイドインジャパンでも、燃費偽装とかペテン企業も有りますが、基本は欧米や大陸性よりは信用できると思います。ディオン光学(高額?)マーチ1-10倍を強くお勧めします。私、買えないですが!(ガン告知されたら保険金で買います。でっ、猟場で死にます)
僕もやはり「MADE IN JAPAN」の刻印には頼もしさを感じる方です。日本のものづくりは価格競争の面で不利みたいですが、質はやはりいいですね。ドットサイトとかスコープとかの光学製品はOEMとして海外にもたくさん出してるようでびっくり。
マーチスコープですか、はっはっは。僕はまちがってもオーナーになることはないでしょう。逆立ちしても無理とはこのことだ。orz
僕もまぁ、天寿を全うできないのであれば、好きなことをやってる最中に死ぬのが一番ましかなぁ。末期ガンの母を看取ったのでガンは・・・おそろしい。orz
う~ん、4~6MOAですか。大雑把に、100メートルで12センチ~18センチですか?死にますね。。。多くは200メートル以上で発砲しますから、20~40センチもずれたら人間に当てられませんし、こちらが死にますね。絶対使いたくないです。。。
orz
でも、まぁスラッグで狩猟する場合は50メートルまでとか?そう考えますと、特に問題無さそうですね。米軍と違ってゼロ調整した気温と使用環境の気温とは、そこまで差はありませんし。
これを機に、安く買いたたくというのはいかがでしょう?
これは想像ですが、動作保証温度のうち、上端か下端近辺のかなり極端な温度域でないとずれは出ないんじゃないかと考えてます。同じ仕組みの製品はかなり以前から市販されていて、問題が発覚したのはつい最近ですし。真冬の北海道とかじゃなかったら、日本の狩猟シーンではそこまで気にしなくていいんじゃないかという気がしています。
とはいっても、値段が値段なので・・・なんか気持ち悪いといえば気持ち悪い。( ̄∇ ̄;)
イオテックのホロサイトは本当に視界もクリアでいいと思います。
お金に余裕があればブースターと併用するともっと良いと思います
色々な猟師さんの装備を見て教えてもらって今のグリーンレーザーサイトとリーパーズの4倍スコープに落ち着きました。
~25メートルはレーザーサイトで狙って25~はスコープで目標を確認して撃つ様にしてます。一番大事な事は誤射をしない事だと思うんですよね。
以前も鹿撃ちに行った時、先輩猟師が「鹿が居る!」って言うので双眼鏡で確認したら白い軍手で河原で野菜洗ってるおじいちゃんだったし、
イノシシ撃ちに行った時も「イノシシ出た!撃て!」っていうのでスコープで確認したらその人の甲斐犬でした
確認の為の光学装置って大事だと思います
人間の脳ってわりといい加減みたいですしねぇ。たとえば視界の端に白いものがチラッと映ったら、たとえ同じものであってもその場所が昼下がりの住宅街であれば洗濯物か何か、真夜中の心霊スポットであれば幽霊になったりするんでしょう。「獲りたい獲りたい」で歩いていると誤認率高まりそう。
誤射なんかやってしまうとその後永遠に銃猟からはおさらばですからね。車の「かもしれない運転」と同じように「かもしれない狩猟」ぐらいがいいのかもしれません。