【物理ヤバイ】撃ち上げ、撃ち下ろし時の着弾点の変化【理解不能】

公開日: : 最終更新日:2016/10/31 射撃

計算

人間を強引に「理論派」「感覚派」に分けるとすれば、僕は後者、感覚派の方に入るのはまずまちがいないように思います。

世の中を「こんな感じ」「大体」といったふうに捉えていて、小難しいことや細かいことにはあまり興味がわかない一方、理論派のシューターさんなんかになると、射撃に関係するデータや学問にものすごく詳しかったりします。やはり僕と正反対。

僕はおおざっぱなのはこれはこれで悪くないと思うんですけどね。差というよりは違いですよ単に。たまに細かくないことも気にならない場合もあって、大事なことをスルーしたのに気づいて後で頭抱えたりしてますが。orz

ゼロイン

そんないい加減な僕でも、銃猟をする以上銃のゼロインはさすがに避けて通れません。

銃のゼロインと参考になるソフトについては過去に空気銃猟で重要なゼロイン測定できる無料ソフト「Hawke ChairGun Pro」で触れていますが、おおまかに言うと、

「銃の弾道は重力の影響で放物線を描いて飛んでいるので、よく使う距離などを基準にして、その地点での着弾を0として設定する」

というもの。

サイト越しの視線を水平とすると銃口の角度は重力の影響を考えてやや上を向いていて、銃弾の放物線と視線の交わる場所をゼロインとして設定します。

僕は散弾銃のM870も空気銃のレインストームも50mでゼロインしてあります。上の画像でいうとA地点です。

(放物線なので厳密にはゼロインは2ヶ所になりますが、空気銃で50mメインだと第一ゼロインは10mあたりになり、まず使うことがないので基本ないものとしています)

獲物の小さい空気銃の方がわかりやすいので僕のレインストームを例に挙げると、18gr(18グレイン≒1.16グラム)のペレット(空気銃弾)で50mでゼロインした場合、30mの地点ではゼロインした50m地点より2cm強高いところを飛んでいるのです。

これは小さな鳥、ヒヨやスズメなんかを狙う場合は無視できなくなってくる数字。2cm強だと小鳥の頭ひとつぶんぐらいはあるので、ヘッドショットを狙った場合は頭上をかすめて外れる、という計算になります。

弾道は角度によっても変化します。重力の影響が変わるからです。

空気銃撃ち下ろし着弾変化

上の図は距離50mで15°の撃ち下ろしをイメージしたもの。視線とか銃口の角度とかはめんどうなので端折ってますよ。

水平射撃でAの地点に着弾する場合、このケースだと着弾点はAの上、Bらへんにずれることになります。下向きということで重力の影響が軽くなるのが原因だとと考えられます。

空気銃撃ち上げ着弾変化

では逆。今度は15°の撃ち上げです。いいですか、撃ち上げですよ?

着弾位置はBかCか、どちらでしょうか!? 正解は…

Bなのです!

ナンデエエェェ(´д`)ェェエエ工

ウソこくでねえ! オラが貧乏人だから騙そうってもそうはいかねえど、このアホ! ヽ(`Д´)ノ

と、当初は思ったものです。

だって、ねえ? 撃ち上げと撃ち下ろしですよ? 正反対じゃないですか、なのになんで同じ結果? それが本当だと宇宙の法則が乱れるんじゃないですか?

なんぞや

そういった点に触れているサイトもありまして、たとえばこちらのページの「ライフルに関するFAQ42」にはこうあります。

ライフルに関するFAQ42

長距離射撃にて、撃ち上げ、撃ち下ろしでは水平射撃した時と着弾点が異なると書いてあるが、実際にはどう違うのか?上に当たるのか?下に当たるのか?どの程度の差があるのか?

答え

どちらの場合も、上に着弾します。

(一部抜粋)

…(´・ω・`)

また、こちらのページのレス番号12169には、こうあります。

50mでゼロを合わせた時点で、水平な照準線に対して、銃身は僅かに撃ち上げなので、計算は物凄く複雑ですが、近似的には、撃ち上げ角度をθとすると、

y=x×cos(θ)

x:標的までの距離
y:着弾点の算出基準となる距離

になります。

例えば上に30度で50mのところに有る標的を狙うと

50×cos(30度)=43.3

となり、着弾点は43.3mの水平位置の的を撃った場合の着弾点と同じになります。

ちなみに、公式はcosなので、θはプラスでもマイナスでも、同じ結果になります。
つまり、30度の撃ち下げと、30度の撃ち上げとでは、着弾点は同じ量だけ上に行くわけです。

アホは僕だったのでした。orz

計算で出せるんですね。要するに、銃弾にかかる重力が最大になるのは地面と水平の時で、それより角度が上でも下でも軽減される。ということなのか。

感覚派なので理論を駆使する数学とか物理とかは昔っから超苦手ではあったんですけど、それにしても…賢い人って…賢いなぁ。(´・ω・`)

上図の場合は50mで15°の撃ち上げなので、こちらのサイトで関数をcosθ、角度を15°として計算すると、出てくる値は0.96592582628907。これに50をかけると48.3という数字が出てきます。50m地点で48.3m地点の弾道と同じ。ほんのちょっとだけ上ですね。

スポンサーリンク

そもそもなんでそんな疑問をもったのかといえば、2年目にヒヨ撃ちをやっていた時、狙ったところよりも上に当たっている個体がかなり多かった、というのがスタート地点なので、経験則からしてもどうやら正しいらしいのはわかります。ヒヨ撃ちはたいてい撃ち上げですから。

今思えば誤差の範囲のような気がしないでもないですが、そのおかげで知らなかったことを知れたので、まぁよしとしましょうか。塞翁が馬。

これから始めようという人は僕の屍を踏み越えて行ってください。撃ち上げでも撃ち下ろしでも着弾は上です。大物猟だとそれほど気にしなくていいような感じですけど。

…けど今でも心のどこかでは、実は僕が正しくて物理の方がまちがってるんじゃないかと、ほんのちょっと思ったりしています。なんか納得いかん。(´・ω・`)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

何入れる?安物ライフルレストに詰めるブツ

何入れる?安物ガンレストに詰めるブツ

いくら僕がびんぼーであっても、猟銃を扱う以上は最低限の射撃練習はしなければなりません。けど銃の維持っ

記事を読む

FEGS社と築地コラム

今なお輝くガンスミスの金言。故・築地恵氏の銃&射撃コラム

こんなブログを閲覧しているような物好きな人は、たいていの場合は銃か狩猟のどちらか、あるいはそ

記事を読む

ターゲット

射場でついつい的紙を買ってしまう人に贈る、簡単自作的紙

朝夕はめっきり涼しくなってきて、コオロギの鳴き声にも張りが増してきたように思う今日この頃。秋

記事を読む

スラッグ射撃

サイトの調整ついでに評判のソーベストレとブリネッキを試してみた

M870につけているSD-33のマウントはサドルマウント。銃のシリアルナンバーをかくす形で装

記事を読む

超格安スコープ。visionkingのVS1.25-5x26Lのスラッグ射撃レビュー

超格安スコープ。visionking VS1.25-5x26Lのスラッグ射撃レビュー

格安スコープお遍路の旅、第二弾。今回はちうごくのVisionkingというメーカーの「VS1

記事を読む

長野県営総合射撃場

景色よすぎるだろ!天空の射撃場、長野県営総合射撃場

数日前に、エースハンターの修理に対応してくれる銃砲店として山梨県のサワエンタープライズさんを

記事を読む

バイポッドいらず!たいていの猟場でレスト射撃が可能になる方法

画像はhttp://www.harrisbipods.com/より[/caption] 僕は

記事を読む

ターゲット

実践的な射撃練習。M870でランニングターゲット射撃に行ってきた。

猟期がいよいよ間近にせまってきました。 ハンターたちは散歩の時間が近づいてきた犬みたいにソワソ

記事を読む

青年部&たんぽぽの会 第3回合同射撃研修会

最近がんばってる大阪府猟友会の青年&女子射撃研修会に行ってきた。

今年の7月19日に「おいでませ、大阪府猟友会!毎年こんな若者向けイベントやってます! 」で紹介した「

記事を読む

初心者射撃研修会

社団法人主催だから安心!猟銃初心者・所持希望者向け無料講習会

昨今のジビエ・狩猟ブーム、とまで言うと大げさかもしれませんが、ちょっとずつ日の当たる場所へ生

記事を読む

Comment

  1. 55G より:

    今晩は、いつも参考にさせて頂いてます。
    この弾道計算ソフトにアップル版があること知らずに数年過ごしました(笑)
    早速アイパッドにいれて活用させて頂きます。

    • spinicker より:

      こんばんは!

      そういう僕は今知りましたw 空気銃は「だいたい30mで+3cm、40mで+2cm、50mで±0、60mで-4cm」とだけ覚えて比較的近距離でやってます。(・∀・)

  2. monndou_n より:

    射撃は、いろいろと難しいですね。本で射撃の理論は読みましたが、理解できませんでした。
    私の場合、立射で50m先の狙った所へ着弾させる方が大変です。上へ行ったり、下へ行ったり左へ行ったり。
    先日、サイト合わせで射撃場に行くと、地方の猟友会の方々が来られて、ライフルを撃っていましたが、撃つたびに聞こえてくるこえは、弾痕不明。(的紙50m)
    猟と射撃は違うのでしょうが、そんだけ外せば、ライフルの意味ないよ。と思ってしまいました。

    • spinicker より:

      空気銃から入ったので、僕も立射になじみが薄くて最初はとまどいました。空気銃の鳥撃ちはモノが小さく、たいてい何かに依託して撃つので・・・

      50m射撃といえば日曜に京北へランニングターゲット射撃に行ってきました。50m先の移動標的を狙うやつです。また近々upします。
      そのRTの時にもライフルの人はいましたが、速いですねライフルの弾は。銃声が鳴ると同時に土煙が上がってます。狙いも正確でうらやましい。

      その猟友会の人、ライフルの50m静的で弾痕不明というのは・・・。たぶん照準が狂ってたんでしょう。そう思いたい。(´・ω・`)

  3. ゆうり より:

    はじめまして。いつも楽しく、また勉強させていただきながら拝読しております。
    撃ち上げ撃ち下ろしとも着弾は上なんですね!
    射撃場でしか撃った事がなく、勉強になります。
    水平の場合は弾は真下に引っ張られますが、上狙うときも下狙うときも弾は斜め下に引っ張られるから、どちらの場合も重力の影響が少し小さくなるみたいな感覚でしょうか(笑
    弾着の場所じゃなくて弾速の方に力が働くというか。。

    • spinicker より:

      はじめまして!(・∀・)

      角度つけての射撃練習というのは国内では難しいので、なかなかわからないものですよね。大物相手で100m以内ぐらいであれば、常識的な仰角俯角ならそれほど気にしなくていいぐらいの差ではあるみたいですけど、的の小さい鳥相手だと頭に入れておいた方がよさそう。

      >水平の場合は弾は真下に引っ張られますが、上狙うときも下狙うときも弾は斜め下に引っ張られるから、
      なんかちょっと理解できた気がします。なるほど。(・∀・)

  4. Naoo より:

    いつも楽しみに拝見させて頂いてます。
    以前ご紹介された「Hawke ChairGun Pro」をスマホに入れて弾道計算とかしてますが、
    撃ち上げでは狙いより下に着弾するものとばかり思ってました。
    これを知ってるのと知らないとでは大きな違いですね。
    ほんと助かりました。

    • spinicker より:

      僕も最初は撃ち上げは下に着弾だと思ってました。というか、それが当然のことだとして疑ってすらいませんでした。物理ヤバイ。
      猟友にも同じく下に着弾だと思っている人がいたので、他にもいるはずだと考えて記事にしてみました。お役に立てたのであれば幸いです。(・∀・)

  5. ltchughes より:

     何とまぁ、目から鱗です。計算式を見ても、未だに納得出来ません。

     が、そういうコトなら、昨年、全然当たらなかったのが納得出来ます。見当違いの事をしていたんですね~。

     今年こそ、頑張ります!!

    • spinicker より:

      僕は未だに物理の法則の方がまちがってるような気がして仕方ないレベルです。でもどうやらそうらしい様子。射撃道は奥が深いです。(´・ω・`)

  6. com より:

    いつも楽しく拝見させていただいています。
    気になった点が一点だけ・・・
    重力の影響云々という話が本文・コメント等に散見されますが、もし、初速と重力のみで着弾地点が決まり、空気抵抗が無視できる(完全な放物線を描く)のであれば(そして斜線と視線のなす角が十分に小さいとき)、数式からいって、撃ちおろし・打ち上げともに着弾地点は僅かに下がります。
    長くなってしまいましたが、要は、主に影響するのは空気抵抗ではないか、ということです。
    長々と失礼いたしました。

    • spinicker より:

      …( ゚д゚)

      はじめまして、拝読いただいているということで、ありがとうございます。挨拶を忘れてしまうほど難しいお話でかたまってしまいました。orz
      僕としても撃ち上げで着弾点が下がってくれれば感覚的に納得できるんですけど…。空気抵抗のあるなしで変わるとすれば、空気抵抗の関わらない宇宙空間だと撃ち上げでも下がる…? いや、下がらない? 加速する? そもそも宇宙空間は地球の重力も関係ないのか。。。何が何だか。(´;ω;`)

      実射で実験できればいいんですけど、そのためには角度つきの射場がないと無理なのがつらいところです。(´・ω・`)

  7. 似非ハンター より:

    撃ち上げでも上にずれるのは、放物線カーブがより遠射において有利な形(距離を稼ぐのに理想角度)に近くなるので、結果的に増えた重力の影響分を差し引いてもなお上方へ弾着がずれるのではないかと思うんですが、どうでしょうか?

    • spinicker より:

      誰かが「真上に撃つのが一番重力かかるけど、弾道に一番影響あるとなると水平射撃の場合」と言っていてその時は理解できたような気がしたんですけど…。今またよくわからなくなってます。(´・ω・`)
      ただ、撃ち上げでも上に当たるのは間違いないらしいので、もう理解はあきらめてそういうもんだとインプットすることにしました。orz

  8. 非常に参考になりました☆
    私も動画で同じ内容の研究動画を上げようと思っておりましたので参考になりました。
    動画から、こちらのページをリンクしておきますので、何卒よろしくお願い致します。

    • spinicker より:

      ありがとうございます!
      撃ち上げだと撃ち下げより引力強そうなもんだけど、そうじゃないんですねえ。そういうものだとはインプットしたけど、まだなんとなく騙されてるような気もしています。文系人間なのでなおさらです。(;´∀`)

  9. […] この中でエアライフル猟に関係するところはと言うと…全部! 距離は遠くまで測れたほうが良さそうだし、手ぶれ補正があったほうがいいし、素早く測れたほうが良いでしょう。狩猟で使うなら防水・防曇なども良さそうです。 さらに大きな機能の差としては高低差測定が出来ること。 エアライフルの弾道ですが、撃ち上げや撃ち下ろしなどで変化しますので、測れたほうが良いのだ。 これはみんな大好き「吾輩はプアである。」の「【物理ヤバイ】撃ち上げ、撃ち下ろし時の着弾点の変化【理解不能】」でも解説されているのだ。当然僕も大好き。 […]

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

もうかりまっかPC01

PAGE TOP ↑