狩猟の質問「合鴨とマガモの味の違いは?」に答えます!
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最終更新日:2016/12/22
狩猟の質問答えます!
こうして狩猟ブログをやっているといろいろと質問が来まして、答えられたり答えられなかったりいろいろあります。
そのうち「当ブログに寄せられた質問集」みたいなコーナーをやれれば同じような疑問を抱えてる人向けにもいいかな、とも考えてたのですが、ネタそのものに困っているわけでもないのですっかり忘れてまして、こないだ新たに来た質問でやっと思い出しました。orz
その質問というのがタイトルにもある「合鴨とマガモの味の違いは?」というもの。
これから始めようという人はやはり思うのでしょう。「天然もののマガモはさぞかし美味なんだろうなぁ」と。かく言う僕がそうでした、誰よりも。
…クックック。それでは全力でお答えしようじゃないですか。ただし残念ながら、ご希望に添える答えができるかはわかりかねますがね。( ̄ー ̄)
そもそも合鴨とは?
「マガモ」「カルガモ」といったように「アイガモ」という種類の鴨がいる、と思っている知人がいましたが、そうではありません。アイガモとはこういう鴨です。
アイガモ(合鴨)は、野生のマガモとそれを家禽化したアヒルとの交雑交配種のこと。また「アイガモ農法」等では、マガモとアヒルの交配種のほか、カルガモとアヒルとの交配種にも用いられる用語である。
つまりマガモやカルガモ、アヒルといった大ガモをごった煮みたいにかけ合わせた鴨のこと。鴨の合いの子なので合鴨。鴨は自然下でも割と簡単に他種間で交雑が起こるようなので、飼育下だとなおのことなんでしょう。
ちなみにアヒルはマガモを家禽、ようするに家畜の鳥バージョンに飼い慣らしたものです。
合鴨にもいろいろな外観があって、ほとんどアヒルのもの、ほとんどマガモのもの、そしてこんなふうに何が何やらわからないものまでいます。
でもまぁ、肉を取る目的で飼育されているものはほぼアヒルなんだろうなぁ。アヒルは体格いいですからね。肉もいっぱい取れる。
肝心の味は?
単刀直入に言いましょうか。合鴨の勝ちです。
じゃあなんで狩猟なんてやってんだ、と言われたら、やっぱり獲る楽しみも大きいから。
作戦が狙いどおりはまった、難しい射撃を決めた、犬がいい芸を見せた。そのへんも狩猟の醍醐味のひとつであって、そんなことやこんなこと、はたまた猟友にほめられた自分の活躍を思い出してニヤニヤしながら、その時に獲った獲物を鍋にして一杯やる。こればっかりは買ってきた合鴨ではできません。
けど、普通に日本で生まれ育ってずっと市販の食品を食べてきた人間が、そういう思い入れ抜きで純粋に肉の食味だけでジャッジした時…。まぁ100人中95人までは合鴨に軍配を上げるでしょうね。
やわらかくて鴨テイストもほどよく残り、かつ脂の味わい深さもしっかり感じられ、羽の一枚骨片のひとかけらも入っていない合鴨。
大なり小なりの鴨臭さ(≒強すぎる鴨テイスト)があって肉も硬く、処理がうまくいかないと血の匂いもきつい、というかうまくいっても個体差によってはどうあがいてもマズい要素が除けない、よほど気をつけないと筆毛や軟骨の一つ二つ三つ四つは残るマガモ(というかジビエ鴨)。
ジビエ鴨については個体差や処理がうまくかみ合えば素晴らしい味の一羽に出会うこともありますが、確率はそう高くありません。同じ製品であれば均等な品質を得られる市販肉とは対極。
「プロの料理人が作るジビエ料理はおいしい!」という話は聞きます。
しかしそれはその料理人の腕がいいのが主な理由であって、「ジビエだからおいしい」わけではなく、「ジビエなのにおいしい」とするのが正解でしょう。
同じ腕で同じコスト、同じ労力をかけるのであれば、ジビエと流通肉のどちらがより現代日本人の口に合うようになるかといえば…どう考えても流通肉です。
↑以前に『現役猟師が抱くジビエブームへの疑問!ジビエは本当に「おいしい」のか? 』という記事を書いています。
あれから2年ほど経験を積んでることになるんですけど、その思いは当時と変わっていません。というより強くなっています。
以前は食べ物は天然ものをありがたがる風潮が主流だったように思います。でも今では技術の進歩と高カロリーの食品を好む現代人の嗜好が相まって、今ではそうも言えなくなっているように感じられます。
特に動物質の食品に関しては、
「天然ものが養殖ものよりうまいと思っているなら、まずはそのふざけた幻想をぶち殺す! ( ゚д゚) 」
なんて世の中になってきました。サケとかもそうですね。養殖ものの方がよく脂が乗るからでしょう。
と、いったところを「合鴨とマガモの味の違いは?」の回答とさせていただきます。m(_ _)m
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Comment
私も養殖肉に一票!
売れるように(美味しく)品種改良を重ねていますからね。
但し、栄養面では養殖肉には疑問があります。鳥の胸肉に含まれる疲労回復効果のイミダペプチドは渡り鳥が長距離を飛ぶために備わった成分なので鶏舎で一生を暮らす合鴨には少ないと思います。
その辺のデータは持ってませんがあまり追求すると養殖業者からクレームがきそうですね。
味が洗練されてないのは当然っちゃ当然ですけど、栄養面ではたしかに優秀ですね。たんぱく質含有量とか。ボディビルダーにおすすめ。
イミダペプチドって初めて聞きました。その物質のおかげであれだけの距離が飛べるのかあ。ツバメとかあんな小さな体でなんで渡りなんかできるのかと常々疑問でした。
食に対する意識も変わってきて、「養殖やスーパーで売られてる魚や肉なんてホルモン剤とか打たれてるし、肥らせるために変な餌与えてるんでしょ!そんなの食べたくない。」なんて人もいますし、そんな人にはジビエって持って来いじゃないかなって思います。
猟場のすぐ近くに住んでいるおばあさんが同じようなことを言ってました。家畜はどんなもの食べさせられてるかわからなくてこわい、と。味で勝負したらジビエは惨敗するはずなので、勝負するとしたらそういうヘルシー方面ですねやっぱり。
ようやく銃猟が解禁になって初日にコガモを獲りました。
塩コショウで食べましたが、、美味いですねぇ。
マガモはまだ獲れてないので分かりませんが、合鴨はもっと美味いんですか・・衝撃的です。
個人的には「栄養面」から自給自足するために猟を始めたので、やはり手間でも安全(とは言い切れない気もしますが)なジビエを選びたいですね。
当たりコガモだったようですね! 僕のコガモに対するイメージは「味はいいけど脂の乗りがイマイチで小さいのでちょっと面倒」です。(´・ω・`)
人によっては合鴨よりジビエ鴨の方が合う、というケースがあってもおかしくないと思っていますので、もしかするとnoelaさんにとっては「合鴨よりマガモの方がおいしい!」となるかもしれませんよ。コガモが獲れるならマガモも獲れるはずなのでがんばってください! (・∀・)
どういう料理として真鴨・合鴨を食べるかによって、この結論は真逆のものになります。(きっちり長期熟成した合鴨があればまた話は変わってきますが・・・)
なぜ欧州でゲームミートとして天然の真鴨がありがたがられるかというと、熟成させた場合には真鴨のほうが血の香り、内臓の香りが圧倒的に良いからフレンチに最適だからです。
熟成させず和食にする、日本酒に合わせる場合→合鴨
熟成させ洋食にする、ワインに合わせる場合→真鴨
という使い分けを個人的にはしています!
ちなみに今年は仔鴨ばかりとれて手間がかかるなぁと思いながらじっくり熟成させています。真鴨よりおいしいと思っているので、めんどくさいけど我慢です。
本場欧州のジビエはそういうものだそうですね。血や内臓の香りと聞くとウッとなってしまいますが、そういったジビエは今のところ未賞味なので、一度食べてみたいものです。
コガモは味は悪くないんだけど、手間の割に量が少ないのと、脂の乗りが大ガモにくらべるとイマイチなことが多いので最近はあまり撃つ気がしなくなってきました。以前獲ったハシビロが超美味だったので、いずれまた機会があれば挑戦したいものです。
ハシビロ、雑食なので味の個体差(環境差)が大きいので宝くじみたいなものですね!先週1羽獲れたので、スタンダードに羽毛付き内臓付きで1ヶ月程度低温・低湿度乾燥しています。
僕は今年は巡り合わせが悪くて猟果イマイチです…。当地は今期マガモが多いように思うのでがんばります。( ・`ω・´)
マガモ・カルガモの方が勝ちですね。
ううん。どうでしょう。ジビエはやはり当たりはずれが大きいですからねえ。脂がまったく乗ってなかったり、うまく処理したと思っても血の匂いが強く残ってたり…。個体も処理も100点満点だったら合鴨とも勝負になるかな! ってぐらいが僕の認識です。てか市販の合鴨スモーク好きなんですよ僕。(;’∀’)