あなたは獲物をばらせますか?屠殺解体に正面から向き合った書籍5点
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暮らしよもやま話
狩猟に興味を持ったとしてもなかなか最初の一歩を踏み出せない理由は人それぞれ。お金であったり、家族の反対であったり。
知人に「動物の解体するのなんか無理」という理由で狩猟を始められない、という人がいます。
僕などは海でカレイやキスやチヌなんかを釣ってきて天ぷらにしたり刺身にしたり、ハンターになる前は魚を獲ってさばいて食べて、ということをしていたので、その延長という感じで狩猟の獲物解体についてもそれほど抵抗はありませんでした。
人によっては動物の解体に抵抗がある、というのは理解できます。てか、普通はそうでしょうよ。(-_-)
焼き肉好きな人であろうが頭ではわかってる人であろうが、実際に自分の手を真っ赤に濡らしてシカの腹を切り開いて腸を引っぱり出して…なんてのは、リアルに想像すればするほどウッてなってもおかしくありません。
狩猟にトライしてみたいけど獲物の解体が…。という人は、世に出ている良書を紐解くことで、もしかすると考え方が変わったりするかもしれません。僕も気になっている書籍5作をピックアップしてみました。
(以下引用部分はリンク先商品ページより)
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spinickerが読んでみたい屠殺解体関連書籍
世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR (角川文庫)
「食べるために動物を殺すことを可哀相と思ったり、屠畜に従事する人を残酷と感じるのは、日本だけなの?」 アメリカ、インド、エジプト、チェコ、モンゴル、バリ、韓国、東京、沖縄。世界の屠畜現場を徹底取材!!
気になりますねぇ。どうなんでしょうかそのへん。たとえば遊牧民は家畜が財産であり直接の食料であったりするわけだけど、彼らはどういうスタンスで羊や山羊に接してるんだろうか?
その切り口、視点がハンター的にも耳目を惹かれる一冊です。
うちは精肉店(農山漁村文化協会)
大阪・貝塚市の北出精肉店では代々、牛の肥育から屠畜、精肉までを営んできた。牛は屠畜・解体され、肉や太鼓となって生まれ変わる。2011年秋、精肉店での屠畜・解体は幕を閉じた。その最後の仕事が、はじまる。いのちをつなぐ家族の仕事をつづったドキュメンタリー写真絵本!
上のもそうだけど、このページの書籍は気にはなっていても実際に購入したわけじゃないという本。あらすじやレビューから内容を思い浮かべることになりますが、この作品については「ドキュメンタリー写真絵本」という印象的な売り込み文句が手に取ってみたくなる一冊。
作家であり写真家でもある著者が文も写真も一手にまとめているのでニュアンスの齟齬もないだろうし、貝塚といえば南河内からもそう遠くない場所。僕にとってはなじみの深い地名でもあります。
ちなみに著者は、この精肉店を題材にした映画「ある精肉店のはなし」にもプロデューサーとして制作しているとのこと。こちらも評価が高いようです。
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ドキュメント 屠場 (岩波新書)
屠場-.そこは鍛え上げられた職人芸が,商品としての食肉の味と価値を左右する世界だ.日本人の肉食の歴史とともに歩んできた労働現場の実像と,いわれなき職業差別と身分差別にさらされながら,合理化の波に抗して伝統の技と熟練を守りつづける誇り高き労働者たちの気概を,反骨のルポライターが描く.
お堅いことで有名な岩波書店が扱う屠場の話。それだけでなんかもう興味津々です。
他の書籍のレビューにも同じような記述はあったけど
「魚市場の築地は観光名所になってるほどなのに、東京食肉市場がそうじゃないのはなんでなんだぜ」
というのはある種の真実を含んでますね。
飼い喰い――三匹の豚とわたし(岩波書店)
自分で豚を飼って、つぶして、食べてみたい――。世界各地の屠畜現場を取材してきた著者が抱いた、どうしても「肉になる前」が知りたいという欲望。廃屋を借りて豚小屋建設、受精から立ち会った三匹を育て、食べる会を開くまで、「軒先豚飼い」を通じて現代の大規模養豚、畜産の本質に迫る、前人未踏の体験ルポ。
一発目の世界屠畜紀行と同じ作者なんで紹介しようかどうか迷いました。でもこれも超気になるので紹介。てかこれも岩波か。表紙ではわからんかったぞ。
先に言っとくと、僕は無理です。殺せません。絶対情が移るに決まってる…orz
けどこれが鶏だったら…たぶんできるな。この差はなんだ。ハンターってなんだ。そしてこの作者はどう思ったんだろうか。
絵本 いのちをいただく みいちゃんがお肉になる日 (講談社の創作絵本)
坂本さんは、食肉センターで牛を“とく”仕事をしています。息子のしのぶくんは、小学校の授業参観で、お父さんの仕事について、うつむきながら「普通の肉屋です」と答えます。担任の先生に、「お父さんが仕事ばせんと、肉ば食べれんとぞ」と言われ、しのぶくんは考えを変えます。「お父さんの仕事はすごかとやね」と言うしのぶくんを見て、坂本さんはもう少しこの仕事を続けようと決心します。そんなある日、坂本さんが勤める食肉センターに、女の子と一頭の牛がやってきて――。
何年か前に、小学校の授業で育てた豚を出荷、精肉されて帰ってきた豚肉を育てた子供たちに見せる…といったニュースだか番組だかがあったような気がしますが、それと似たような感じ。
あれはちょっとやりすぎな気もしたけど、こういった形での絵本であれば、子供向けとしてアリかなとも思います。
僕はこういったドキュメンタリー系は真実のみを淡々と載せてもらいたいタイプで、それについての判断はこっちでやる。という考えなので、これはなんかタイトルからしてちょっと説教臭いというか押しつけ気味な気がしないでもないけど…
相手が子供なら行きすぎない形でならそれもやむを得ないか。
命と狩猟と食肉。自分のなかでは答えが出ているので僕自身はとくに迷うことはないです。狩猟雪姫で言ってたことに近いなぁ僕の答えも。こういう点は僕のような感覚派の方がスパッと分けて考えられそうな気が。
狩猟に興味はあるけど抵抗もある。という方の背中を、今回紹介した本を通じて、そっと押すことができたのであれば幸いです。
まぁでも、押した先が狩猟沼でどっぷり首まで浸かることになるかもしれませんが、その場合は運が悪かったとあきらめてください!(・∀・)
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Comment
狩猟雪姫、見ていません。あれって、最後に死ぬんですか?
私も罠猟前は解体出来るかどうか不安がありましたが、精神的には全く問題ありませんでした。臭気も全く問題ありませんでしたが、敵は体力不足と知識技術不足でした。。。
orz
解体が不安で猟を始められない人は、猟友会に相談して誰かに付いていくと良いかもしれませんね。その不安が問題ないことに気づくと思います。
シカは簡単だけどシシは難しい、というか手間かかりますね。脂のいいところ残そうとすると。シカは脂ほとんど関係ないし一人でもそう難しくないけど、シシは一人だときびしいでしょうね。体力的にも。やっぱり最初はベテランに教わるのがよさげ。
>あれって、最後に死ぬんですか?
もし再放送があるとネタバレになるので言いません! 再放送があったらぜひ見てみてください。( *´艸`)
こんにちは。
何かの命を戴いて自分は生き延びている、というのを忘れた人間ばかりになりましたね。
宗教によっても捉え方が違うので難しいところはありますが、
日本生まれ、日本育ちであり日本人の私の感覚では、
戴く命に感謝をすることが何よりも大切なことだと思っています。
これは動物に限らず、野菜や果物に関してもです。
果物は命を摂る事はありませんが。
狩猟に嫌悪感を持つ人々は、狩猟をしない自分も何かの命を食らってる、ということを忘れています。
それで狩猟に対して「可哀想」等の批判をする。
他人が殺してくれた命(家畜)なら良いのか?と、何時も思います。
しょせん人間など他の命を戴かなければ生きていけない存在なので、
自分が生きていくための殺生は、必要不可欠なものとして受け入れなさい。
それが私の本音です。
釣りで獲物を捌くのは、最初はやはり抵抗がありました。
しかし自分の命の一部
になると思うと、不思議と抵抗感は薄らぎました。
無駄に殺してる訳ではありませんから。
そんな私はこの晩夏に狩猟免許試験に挑みます。
鴨の名前が覚えられません(笑)
またしても長文&乱筆乱文失礼しました。
狩猟しない人も市販の肉は食べている。ベジタリアンも野菜を食べている。ヴィーガンも歩けば虫を踏む。結局はどこで線を引くかのちがいであって、人それぞれ自分の基準に従って生きているというだけのことだと思っています。そりゃAさんの腺はBさんにとっては正しくないだろうけど、それを認めるのが多様性ってものであるわけで。あっち系の人は自由だとか多様性だとかを口にしますが、それなら狩猟も肉食も認めるべきですね。というのが僕の考えです。
いよいよハンターデビューへの登竜門ですね。猟友会の事前講習さえ受けていればまず大丈夫ですよ。健闘を祈ります!(・∀・)