「ひろってうれしい 知ってたのしい どんぐりノート」書評!
公開日:
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最終更新日:2015/10/13
書評
秋という季節はいろんな言葉で修飾される季節。「読書の秋」だとか「スポーツの秋」だとか。「天高くspinicker肥ゆる秋」とも言いますね。( ´)3(` )
僕などはたいていの果物が好きなので、秋になると流通する果物の種類が増えるのもありがたいところ。そんなことから「実りの秋」なんてうれしい言葉もあるぐらいです。
実るといえば、これぐらいの時期になると、道ばたに転がっているのを見かけだすのが「どんぐり」。
どんぐりはいろんな狩猟鳥獣のごちそうになります。たとえば、シシの脂の乗り具合はその年のどんぐりの出来次第だとか言われるほど。イベリコ豚みたいなものですね。しとめた鴨のそのうからどんぐりが出てくることも多いです。
このようにどんぐりは猟師にとっても大いに関係のある木の実ですが、単にそれだけではなく、なんと種類によっては人間でもおいしく食べれるのだとか!
ということで、どんぐりの種類を見分けられるようになるべく、古本屋で見かけて即手に取ったのがこの「ひろってうれしい 知ってたのしい どんぐりノート(文化出版局)」という本。
どんぐりの種類のみわけ方がバッチリ載ってます。
この本の特徴はまずイラストの質の高さ。どんぐり類は超精密なスケッチで、まめ知識やコラムのコーナーはとても親しみやすくかわいらしいイラストで紹介されています。このイラストが男の僕から見ても超かわいい! (●´ω`●)
実だけではなく、木そのものを見つけやすくするために葉の写真を中央に大きく配置、それだけでなく、幹表皮の画像や枝の張り方、鋸歯(葉っぱのふちのギザギザ)などの特徴も併せて書いてくれている親切さ。
特徴その2。作者のどんぐり愛がよく表れている、コラムとまめ知識の豊富さ。
どんぐりを使った毛糸の染色方法であるとか、どんぐりの成るウバメガシで炭を作って売り出したのが備後屋長右衛門、その炭が今でいうところの備長炭だとか。いろいろと勉強になります。
どんぐりをよりおいしく食べるための調理法もしっかりと用意されています。どんぐりを食べるときのネックとなるアクの抜き方はもちろん、どんぐりだんご、どんぐりチップス、どんぐりどうふ・・・。どれもこれも気になる! (^q^)
※レシピは一部画像処理をしています。
と、この本のおかげで、うちの近所に生えていたこの木はアラカシらしいとわかりました。食べておいしいのはスダジイとマテバシイというシイの実(厳密にはどんぐりとは言わないそうですが)だそうなのでちょっと残念。(´・_・`)
個人的評価 ★★★★★★★★★☆(9/10点)
持ち運びしにくい大きさと表紙の固さ(ハードカバーです)が厄介ですが、内容はイラストの味もあって大人から子供まで楽しめる造りになっています。
ページ数の少なさ(全25P)から本当は8点をつけようかとも思ったのですが、内容そのものが乏しいわけではないし、どんぐりレシピもおいしそうだったのでこの点数。個人的には古本で安く買えたのも大きいです。やっぱりちょっと採点甘めかな???
でも新品もそれほど高いわけではなく(1,300円)、どんぐりを食べてみたいけど見分け方がわからない、なんて方にはおすすめできる一冊です。
さて、この本を持って、近くにスダジイかマテバシイが生えてないか探しに行くかな。(・∀・)
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Comment
質高く、かつ暖かいイメージのイラストの絵柄に何か懐かしさを感じます(^_^)
姪っ子の誕生日プレゼント、やっぱり百科辞典にしようかなぁ…
本当は自分が欲しいだけなのか!?なKI(椋鳩十全集も欲し…いや、読ませてあげたい)
KIさんのコメントで昔うちにあった各10冊セットの世界の童話集と日本の童話集を思い出しました。内容までは忘れましたがタイトルだけなぜか覚えてます。「忠義なヨハンネス」「三匹のヤギのガラガラドン」「鉢かつぎ」・・・。
子供の頃読んだ、家にあった本というのはいくつになっても覚えているものです。子供に質の高い本のプレゼントはいい考えだと思います。あとは必殺「自分へのご褒美☆」として、椋鳩十を。(・∀・)
コレはすばらしい、是非購入したい一冊ですね!
アラカシは生け垣によく使われますね。私の家も、生け垣の一部に植えています。
子供の頃から「ドングリは食べられないけどシイの実は食べられる。。。」と聞いていました。同じ仲間なんですね。
おお。まさにこの本にもそんなことが書いてました。生け垣につかわれると大きく育つことができないのでどんぐりの成り方はよくない、とか。
僕は「どんぐりを食べると耳が聞こえなくなる」と母に言われてました。聞いた話では、たしかにどんぐりのタンニンは有害で、野生の動物でも一度に大量に食べると死に至るとか。にちょっとずつ食べて体を慣らしていく必要があるそうです。