血の味解消!ジビエ鴨をおいしく食べるための処理法(ただし我流)!
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最終更新日:2017/08/09
ジビエ・ワイルド料理
初めて大ガモをしとめた時のことは今でもありありと思い出せます。20発に1発ぐらいしかまっすぐに飛んでくれないAR-6でしたが、幸運なことにカルを前にしてその5%が発動してくれた結果でした。うれしくて嬉しくて、文字通りガッツポーズをしたものです。(*゚∀゚)=3
しとめはしたものの、なんせカルガモは初めて、その数週間前にコガモを獲ったのが初のカモ。回収にも手間取り、1時間近くはかかったかと思います。
なんとかかんとか手元に納めたあとは、同じくハンターだった父から「しとめたらすぐに腸を抜いておけ」と言われていたので、腸抜きツールを排泄口から突っ込んでグルグル回して腸抜きを試みました。が、これがうまくいかないのなんの。orz
腸を引っぱり出すだけで10分か15分はかかったと思います。しかも苦労して引きずり出した腸は途中でぶちっと切れ、今から思えば半分以上は腹腔内へ戻っていきました。
が、当時の自分はこれでおk! と満足して保冷剤を入れたクーラーバッグに後生大事に安置し、上機嫌で帰った記憶があります。脂のよく乗った個体でした。
そして家の庭(当時は実家にいました)で羽根をむしり、一番最初ということで塩こしょうのみの焼き肉にして、大いなる期待とともに口に入れました! さぞかしうまいんだろうなぁ、ぱくっ!
・・・・・・・・・・(´・ω・`)
う、う~ん? び、微妙? 食感はいいし脂の味は香ばしいんだけど、この・・・レバー? というか、血の味。。。これ、もうちょっとなんとかならんかな。(´・ω・`)
それからいろいろと試行錯誤がはじまりました。放血の徹底はもちろん、羽根のむしり方については豊和精機のロウむしりを試してみたり、腸だけでなく内臓全部出すようにしてみたり、etcetc…
しかし、何をどうしてみても血の味、レバー味は消えず・・・。加えて、ハトもヒヨも、カモ以外の鳥も場合によっては血の味がすることに気づきました(カモほどひどくはないですが)。
僕はレバーが苦手です。ということは、鴨=苦手。狩りを始めるときにあこがれた「おいしいカモ鍋」は夢に終わるのか、ジビエの鴨ってこんなものなのか・・・orz
と、半ばあきらめかけていたハンター2年目。所属サークルの先輩猟師さんと、父といっしょに猟をしていたという父の友人から、ほぼ同時期に同じようなアドバイスをもらいました。
『速攻で冷やせ』
これが放血と同じぐらい大切なことだそうです。放血は徹底していましたが、冷却はそこまで意識していませんでした。クーラーに入れて帰ればいいんじゃね? ぐらいに考えていたのです。が、それでは不十分なのでした!
現在、鴨を仕留めたらこうしています。
- 速やかに回収する
- 手近な木にタイラップで逆さ吊りにする
- 頸動脈を切って放血
- 排泄口すぐ上をメス刃カッターで内臓が見えるように切開する
- 腸の排泄口直前のところをつまみ、そのままちぎり取る
- 肺以外の内臓をすべて出す(肺は面倒&味に悪さしないので)
- 腹腔内をきれいな水で洗浄
- 内臓の代わりにブロックアイスを詰め込む。(ここまで理想は30分以内)
鳥類は人間なんかより体温が高く(42℃ぐらいあるとか)、血液の劣化が始まるのが早いらしいです。あの味は劣化した血の味であるようです。それを防ぐためにまずは血をできるだけ排出。そして氷を詰めることで、残った血が鳥の高い体温で劣化する前に体の内側から急速冷却する。という意図です。
これを実行するようになってから、仕留めた鴨は血の味がほとんど気にならないぐらいになりました(0ではないですが)。まずいと評判のハシビロですらおいしく食べれるレベルです! こうしてみると、最初の獲物の処理法がいかに悪かったかよくわかります・・・。
特に3と8、この二つが肝要。このどちらか、あるいは両方が不十分だと濃厚な血の味コースがほぼ確定なようです(3は当たりどころによっては省略します。頸動脈貫通の場合とか)。
4と5はちょっと文字だけではわかりにくいかと思うので、画像をば。
これが4の状態です。僕の右手親指の下あたりに排泄口があります。で、その奥に排泄口につながる、人間で言う直腸があります。このへんをぐっとつまみ、そのままちぎって体外に出すと排泄物で腹腔内を汚さずに済みます。
この時に深く切りすぎると腸まで切れて内容物が漏れ出てしまうので、僕はメス刃のカッター(手に持っているのがそうです)を使っています。メス刃だけあって角度が絶妙で、柔らかいものを薄く浅く切るには最適です。
あとはクーラーですかね。猟期は冬場なんだし、それほど保冷力は気にしなくていいだろうと考えて、最初のうちはクーラーバッグを使っていました。
が、天気のいい日の車内ってのは冬場でもそれなりに気温が上がります。それを考慮してバッグではなくボックスのクーラーにしました。35Lのものを買ったんだけど、鳥猟オンリーで使うにはちょっと大きかったかな。一日で定数まで獲ることもないしな。(´・ω・`)
ここに保冷剤を入れます。小袋入りのゲル状のものじゃなくて、ロゴスとかのブロック型のものです。肉が直に触れると凍ってしまうので、ホムセンで買ってきた100円ぐらいの人工芝を適当に切って保冷剤の上に敷き、ほどよく冷えるようにしています。氷と洗浄用の水もここに入ります。
せっかくの命、自分の手を血で汚して獲ってきたジビエ。できることならおいしく食べたい。これが唯一の解決法ではないでしょうが、僕の現状でのやり方がこれです。血の味ガモにお悩みの方の一助になれば幸いです。m(_ _)m
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Comment
はじめまして。
大変に参考になります。
私も今年から放血を徹底するようにして、レバ臭いのは減った気がします。
しかし、冷却は考えてませんでした。
参考にさせていただきます。
あと、先日鴨鍋のレシピも参考にさせて頂き大変美味しく頂きました。
ありがとうございます。
ヽ(^。^)ノ
こちらこそありがとうございます。(・∀・)
やっぱりおいしく食べれないと猟欲も続きませんからね。
しとめてすぐ体の中から冷やすとかなりましになると思いますよ!
レシピもお役に立ったようでうれしいです。
カモ肉はひとくせあるんで濃い味付けが合うみたいです!
勉強になりました。
ありがとうございます。
アナルは引きちぎるんですね。なにげにそこら辺はカッターで苦労していました。
アナル・・・というか、その直前の部分って感じですね。
腹を切って手を突っ込んで、排泄口直前の、人間でいう直腸をちょっとしごいて直腸より先の内容物を排泄口から出してから、ぐっとつまんでねじ切ってます。
で、つまんだまま体外に引きずり出して腸の中身が漏れるのを最小限にとどめてます。
カッターでもいいと思いますが、切るところの前後をおさえておかないと中身が漏れてしまうかと。
・・・うーん、うまく説明できませんね。申し訳ないです。orz
通りすがりですが気になった点が何点か有ったのでレスさせて頂きます。
内臓内をきれいな水で洗浄と有りますがこれは行けません。
動物の肉に水を付けると雑菌が急激に増えてしまいます(本職の方の衛生管理でも肉を水で洗うのは禁止です)。血が気になるのであればキッチンペーパー(出来れば専用のシートでくるんで水分だけを吸収★キッチンペーパーだと肉汁も吸ってしまい味が落ちます)
それをふまえると、腹腔内に小売りを直接入れるのもアウトです。
氷を入れた袋をキッチンペーパー等にくるんで挿入して下さい。
追伸 冷却材は獲物の上に置いた方が良く冷えるのでクーラーボックスの中に棚を作って保冷剤を上下に入れて冷やすよう工夫してみて下さい。
内臓の摘出がもっと丁寧にできればいいのですが、腹腔内の汚れが気になるので水を使っています。水を使わないというのは上級者向けですね。いずれはそうできるよう目標にしたいです。
冷気は低いところに集まるのでクーラーボックスの棚は有効そうですね。これはすぐできそうなので検討します!
[…] 頃、こちらのブログをよく参考にさせてもらいました。「血の味解消!ジビエ鴨をおいしく食べるための処理法(ただし我流)!」の記事は、鴨の血の風味が苦手な人は是非読んで試し […]
こんにちは
当リンクを教えていただき非常にありがとうございます。糧になりました。暇があったら毛を毟る方法等も教えてくだされば助かります。
お湯をかけてムシったんですが、いかんせん不器用なもんで毛抜だけで40分掛かりました。
効率の良い方法があれば教えてくださいませんか?
豊和精機さんで紹介されているロウを使った羽むしりは確かに楽に早くむしれました。https://blogs.yahoo.co.jp/howagunex/27431470.html
ただ、においがきついのと、熱いロウに漬けることで火が通ってしまいそうなので、今はもうこの方法は使ってません。時間をかけて手でむしっています。丁寧にやるとやはり1時間ぐらいかかりますね。