狩猟やジビエを通じて、人生の血肉を得たり得なかったりするwebサイト。貧乏がなんだ!
さて、ここまで読んで「・・・ハンターやってみようかな」と思った方へ。
僕の体験から、始める前に知っておきたかったけど実際やってみないとわからない、というようなことをいくつか書いておこうかと思います。今思い返してみると、始める前にこれを知っていたらもうちょっと出費減らせたかなぁ、遠回りしなくて済んだのになぁというようなことです。ご参考までに!
(内容はあくまで僕の主観です、あしからず)
僕が始めた頃からすでに、FX社製エアライフルの評判はすばらしいものでした。 欲しかったけど、なんせFXの銃は高い! ということで、結局購入したのはレインストームで定評のあるエバニクス社のAR6というエアライフル。
AR6そのものは(当時は)ネットで調べてみてもほぼ無名といってもいい銃でしたが、あの評判のいいレインストームを作ってる会社なんだから、この銃も大丈夫なんだろう。レインより安いしいい買い物だ! と、当初は思っていたのですが・・・。
今(2013年現在)使っているレインⅡは、50m先の十円玉に向けて10発撃てば8発前後は当たる精度ですが、AR6は『50m先のA4用紙のどまんなかを狙っても10発に2~3発は紙のどこにも当たらない』という体たらくでした。言うなれば、直径21cmの的のどこにも当たらないということです。AR6ったら!
(左がAR6グルーピング画像(イメージ)、右がレインストームⅡグルーピング画像。ともにA4用紙)
先輩方の銃にくらべると精度の低さは明らかでした。先輩方の銃はサイクロン、レインストーム、S410、FX2000、エースハンターなどなど、定評のある銃ばかり。やはりいい物はいいんだな、としみじみ思いました。特に銃なんかは(空気銃であっても)許可の問題で、買い換えるのもそう簡単にはいかないもの。最初の一丁は慎重に選びましょう!
僕は結局、新品で買ったAR6を3ヶ月で処分しました。orz
ハイパワー銃に関しては「当たらない」という話をよく聞きます。AR6もそうでした。出力が高いとコントロールが難しくなるようです、機構的に。なんかこの世の物理法則的にそうなってるんでしょうね。球の速いピッチャーがノーコンだったり、車なんかでもスピードを出すと曲がる止まるが難しくなったり。
狩猟用エアライフルに関していうと、18gr程度の弾で命中精度を求めると、だいたい30~40ft/lbあたりが許容範囲の上限のようです(なんかエアの吐出量をコンピュータで制御する銃とかもあって、そういうのはまた別かもしれません)。
あとは、パワーがあると発射音も必然的に大きくなります。一度に吐出するエアの量が増えるわけですから。使っているのが静かな銃で、かつターゲットにこちらの存在が気づかれていない場合だと、群れの中の一羽に撃ちかけても、他の仲間は気付かずにそのまま泳いでいたり、飛び立ったとしても、何が起こっているかわからないために、ほんの10mほどのところに着水して再度狙える、というようなこともあります。が、やかましい銃だとこうはいきません。
あと、通報される回数が減ります。エアライフル猟の主な猟場は里山。山中ですることが多い大物猟とはちがい、周囲にある程度人家が点在するなかで猟を行うことが多いので、エアライフルとはいえあまり大きい音がすると、地域の方に通報されることがあったりします。そう、僕のように!(←2回職務質問された)
銃と狩猟免許をゲットしてから実際に狩りに出るまでの間は「よし、射撃練習をがんばって獲物を獲れるようにしよう!」と、そればっかりを考えていました。まぁ実際それもまちがってはいないのですが、銃猟において射撃の技術とおなじかそれ以上に重要な技術の存在にこのときはまだ気づいていませんでした。今では、エアライフル猟師に求められるスキルはこんな感じじゃないかなと思っています。
狩りのスタイルが待ち伏せか渉猟かで2と3は前後するかもしれませんが、1については変わらないと思います(待ち伏せするにしても、獲物のつき場を把握している必要がある)。勉強・勉強の毎日です!
相談できる誰かがいればいいのですが、周囲に空気銃で狩猟をしてる人がいるわけでもない場合は、僕もそうでしたがネットで知識を収集することになると思います。しかし、これまた僕のように嘘を嘘と見抜けない人間がネットの世界を徘徊していると、いろいろとろくでもない目に遭ったりもします・・・。
絶対的な情報量の少ないマイナーな趣味だという点もそうですが、それと同じぐらい厄介なのが"ウソをつくつもりはないが結果的にウソになっている情報"です。特に「装薬銃は昔から扱ってるけど、空気銃やエアライフルはここ数年で扱い始めたばっかり」という銃砲店によく見られるように思います。だますつもりはないのかもしれませんが、どうもよくわかっていないようなのです。僕もそうでしたが、そういった店で銃を買ってしまうと、同梱されるべき部品が入ってなかったり、調整が不十分なまま出荷されたりといった無知ゆえのトラブルに悩まされることになります。
商品の値段だけで決めるのではなく、集めた情報をしっかりと吟味し、狩猟用空気銃に詳しい銃砲店を選ぶことが重要。メールでもいただければ、僕の知っている限りの情報ならお渡しできます!
(装薬銃については詳しく知りませんが、歴史が長い以上、エアライフルのような不便さはないかと)
これはその3と重複するところもありますが、猟期に入るまで下見もなにもせず、猟期に入ってから車であちこち走り回ったところで、よほどその狩り場について熟知していれば別ですが、そうでない限りはそう簡単に獲物を見つけたりはできないはずです。まず獲物を見つけなければ始まりません。カモならよくついている川やつきそうな池を調べ、近くに鳥屋を設営するのもいいでしょう。キジはなわばり意識が強いので、一度どこかで見かければ、死んだりしない限りはその周辺で暮らし続けます。
僕の場合は新緑~初秋は避け(下草が盛況な季節は、冬場の猟期と状況がちがいすぎるため。あと、コガネグモがこわいのでorz)、双眼鏡とレンジファインダーを持って下見に出ています。
ここまでに書いてきたことすべてを一度に解決できる可能性のある行動、それがエアライフル射撃サークルへの入会です。僕の所属しているところには、銃の知識がすごい人、近郷近在の猟場を知り尽くしている人、オリンピックにでも出るつもりかというほど立射の腕がたしかな人、そして僕のような未熟者。いろいろな人が集まってワイワイやっています。
思い起こせば、初めて射撃場でエアライフルを発砲した日。A4用紙のどこにも当たってくれないAR6を前に、原因すらわからずただただ困っていた時に声をかけてくれたのが、その団体のベテランシューターさんでした。ここに入会していなければ今ごろはどうなっていたことやら・・・。右も左もわからず、ひょっとしたらもう銃を手放していたかもしれません。
もし手近にそういった団体があれば、ぜひ入会をおすすめします!
狩猟用の装薬銃・空気銃を取得するには所轄の警察署の生活安全課へ申請する必要がある、というのはふれましたが、その際に担当の警察官がつきます。この人が窓口になって各都道府県の公安委員会、または担当官さん自身が申請者(あなたのことです)についての個人情報のあれこれを調査することになります。
これは知り合いのハンターに聞いた話ですが、彼は面談の際、趣味に「草野球」と答えたそうです。僕と同じです。で、数ヶ月ののち、またなんらかの用事で彼の担当官さんと話をしていた時、こんなことを言われたそうです。
『そういえば、××ドリームス(←彼の所属している草野球のチーム名)は調子がいいそうですね』
半年ほど前に所属リーグで準優勝していたこともあって、彼は「いやいや、ちょっと前の話ですけどね」と謙遜して帰ってきたそうですが、車に乗りこんだあたりでふと気づいたそうです。
そういや、野球してるとは言ったけど所属チームの名前なんか一言も言ってない・・・!
優秀な日本の公安が本気を出せば、「草野球をやっている」という手がかりだけで、一市民が所属する草野球のチーム名とその成績まで調べられるようです。どんなつながりをどうやって辿ったのか、見当がつきません! 他にもどこかのサイトで、所持許可申請にあたって『自分のことが詳細に記された書類を見た』なんて記述を見た記憶があります。どうやら、彼らにへたなウソをついても心証を悪くするだけのようです。
ハンターをこころざし、猟銃や空気銃を取得しようとしているアナタには、やましいところなど何もないはず。正直にいきましょう!