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解体中から感じていた、この個体の鴨臭さ。うーん、ちょっと気になるなぁ。どう料理したものか。
そこで思い出したのが、ちょっと前に衝動買いしたままで押し入れの肥やしになっていた燻製機「スーパーいぶすくん」。よし、この鴨臭さをスモークの風味で上書きしよう!
材料(1人前)
ピックル液材料
ピックル液のレシピはいろいろありますが、塩分濃度は15%前後、糖分濃度は7%前後、スパイスはお好みで。というのが基本だそうです。今回、塩は肉の赤をより際立たせる、ミネラルたっぷりのヒマラヤ岩塩(ピンクソルト)と、甘みのやさしい三温糖を使用しました。スパイスはローリエ、にんにく、黒こしょうでいきます!
ピックル液材料をすべて鍋に入れ、15~20分ほど煮立たせます。にんにくはみじん切りにしてあります。
火から下ろし、十分にさましたピックル液をジップロックに移します。僕はこのとき、スパイス類もそのまま入れています。
コガモを漬け込み、3日ほど置きます。
これで下味はついたわけですが、このままだと塩辛くて食べれたもんじゃありません! ということで、「呼び塩」という技法で、肉にしみこんだ塩分をある程度抜いてしまいます。5%程度の食塩水を作り、その中にコガモを入れ、塩分濃度の差による浸透圧の作用で塩抜きをします。大きさにもよりますが、6~12時間ほど漬け置きます。
十分に塩分が抜けたら、次は乾物ネットに入れ、風通しのいい日陰で風乾させます。水分が残りすぎているとうまく燻煙できません。かといってあまりに乾燥しすぎてもパサパサになってしまうので、状態にもよりますが、これぐらいの大きさのものなら最大でも24時間ぐらいにしています。
しかし燻製は手間がかかる・・・。orz
コガモ肉をスーパーいぶすくん(←燻製器の名前)内に吊し、ウッドチップ皿に適量のウッドチップを入れます。あまり長時間燻煙すると苦みが出るので、20分前後がほどよいかと思われます。まずは勢いよく煙が出るまで強火にかけます。
画像ではわかりにくいですが、もうもうと煙が立ち上っています。ラベルに「屋外用」とか書かれていることに気づきましたが、見なかったことにします。換気扇が仕事をしているので問題ありません。(たぶん)
この状態になったら、弱火~中火に落とし、チップが燃え尽きるのを待ちます。
チップが燃え尽きたら肉を取り出します。二つ上の画像と見比べると、皿に入ったチップが黒く炭化しているのがわかります。この時点で、あたりにはものすごく香ばしいスモークフレーバーが立ちこめています。
中はほどよくしっとり、色合いは深みのあるワイン色。うむ、いい色。やはり赤みのある料理にヒマラヤピンク岩塩を使ったのは正解だったようです。そして何よりこの香り! 期待が持てます。では、いただきます!
-食後の感想-
いやはや、予想以上の味でした。
この個体は解体していた時からちょっと臭いがきつく、肉の状態も可もなく不可もなくといったところだったのですが、そういった状態の鴨肉にありがちな血の味が、燻製にすることでいい意味でのクセとして力強く舌の上で主張してきます。「ワイは鶏とちゃうでー、鴨やでー!」といった感じ。捕獲してから2週間ほどかけたのがよかったのかもしれません。
(冷蔵庫で10日間熟成、漬け込み3日、風乾半日)
淡泊な味ではないし人を選ぶかもしれませんが、僕にはスマッシュヒットの味でした。鴨すきのときにわかったことですが、鴨ガラはとてつもなくいいダシが出る。今回も、骨付きのままで熟成させたことで、骨から出たいいダシが肉に浸透したりしたのかも? うーん、解体中からイマイチ感をぷんぷん出していたあのコガモが、そうか、燻製にするとこうも化けるのか。スモークもものすごく香ばしかった。市販の燻製は完成→流通→陳列→購入→消費 なのに対して、こっちは完成→消費。風味ではこちらが圧倒的に有利なのです! 下ごしらえに手間暇がかかる調理法ですが、なるほど、これはやるだけの価値はありそうです。
狩猟鳥としてのコガモも、解体の手間は大型の鴨と変わらないくせに肉の量がなぁ。ということで、スコープに捉えても引き金を引くことは少なかったのですが、これだけおいしいとなると・・・。量的に多くはないけど、宅飲みのつまみとしてはちょうどいいぐらい。これからは積極的に狙おうかな。ごちそうさまでした!