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チェンマイ行き夜行バスの乗客で日本人は僕たちだけだった。チケットはカオサンの日本人経営の旅行代理店で買ったので意外といえば意外だったが、基本的に日本人に遭遇するのが好きではないのでちょうどいい。席に着き、出発の時を待つ。これからおよそ10時間、車中の人となる。
原色のネオンに灯がともり、バンコクの街が艶めかしい夜化粧をまとい始めた頃。バスはのろのろと、まるで旅人たちをじらすかのようにゆっくりと動き出した。
最初の1時間ほどは渋滞につかまって思うように進まなかったものの、市街地を抜けるとあとは順調そのもの。このあたりに来ると民家すらないようで、窓の外にはどこまでともつかない闇が広がるばかり。バスは快調に飛ばした。
ところで、チェンマイには何があるのだろう。
「チェンマイってどんなとこ?」
僕のガイド本にはバンコクの情報だけしか載っていなかった。日本を発つ前に近辺の書店をかけずりまわって探したのだが全土編はどこへ行っても売り切れで、仕方なくバンコク編を買ったのだった。そんなわけでチェンマイについても詳しい知識はもちろんなく、まゆの話と、ちょっと見せてもらったガイド本でしか知らない。
「なんかねー、山のふもとにあって、トレッキングで少数民族の村とか行けるんだって。ゾウにも乗れるらしいよ。乗ったことある?」
あってたまるか。
山歩きと、動物のふれ合い・・・。笑うと歯が輝くような爽やかな人々が集まる街、という印象を受けた。引きオタには居心地の悪そうな街だが、ゾウに乗れるというのにはとりあえず興味があった。人は嫌いだが動物は大好きだ。動物は人間を蔑まない。裏切らない。ウソつかない。素晴らしき哉、動物たち。
過去の悲しい記憶を彼方へと追いやり、ゾウの背でジャングルの王者気分に酔いしれている自分を想像していた時。不意にバスが止まった。白い光が車内を満たす。まぶしい。どうやらガソリンスタンドに入ったらしい、ここでトイレ休憩、ということだろう。
併設された売店で水とビスケットを買っておくことにした。まゆ師匠によると「陸路の移動じゃ2、3時間の遅れなんかめずらしくないし、もっと遅れることだってあるよ」とのことだったので、万全を期することにする。
あれとこれと・・・ん? ソーセージ? いや、これは・・・ドリアンソーセージ?
シールにはドリアンの絵が貼ってあった。ドリアン。の、ソーセージ。妙なものを見つけてしまった。しかしなんといってもタイの食料。うまいにちがいない。買っておこう。精算を済ませると、再びバスに乗り込んだ。
快調だが快適とはいえない旅の再開だ。この狭い座席では大柄な欧米人旅行者はさぞかしつらいことだろう。あちこちからいびきが聞こえてくる。寝るしかないよな、確かに。
真っ暗ななか、時計を見るとすでに日付が変わっていた。まゆも眠そうだ。僕も寝たいところだったが、荷物が心配だ。起きたらありませんでした、では洒落にならない。
「寝ないの?」
じっと虚空を見つめる僕に気づいたのか、まゆが話しかけてきた。
「なんか眠くなくてね」
本当は荷物番をしていたのだが、そんなことはおくびにも出さずに答える。表に出さない、さりげない優しさ。これが日本男児、これこそが真の優しさ。欧米人に多いフェミニスト(笑)がアピールのために行う、これみよがしの優しさなどただの飾りだ。奴らにはそれがわからんのだろう。
一人で意気込んでいると、何を思ったかまゆは
「ふーん。じゃ、肩貸してね」
というなり僕の肩にちょこんと頭を乗せ、そのまますやすやと寝入ってしまった。
・・・・・・・・・・。
もしもし? なんですかこのシチュエーションは? もしかしてドッキリ? カメラどこ? メロメロなんですけど。あなたは僕の太陽ですか? ・・・はっ! 読めたぞ、ローンやな? またバカ高いローンを組ませるつもりやな! 今度はなんだ、英語教材か! でなくば羽布団? まさか浄水器とか!?
モニターの前でしか経験したことのない状況。いざ三次元で直面するとどう反応していいやらまったくわからない。てゆーか、何が原因でこうなったんだ? ありうるのかこんなこと? 僕はすっかりうろたえてしまっていた。
そうこうしている間にも、地球とタイヤは休みなく回転を続ける。窓の外では白みはじめた東の空が深い緑に覆われた山々を照らしだし、チェンマイはもうすぐそこだった。
ターミナルに到着したバスは、眠そうな乗客たちを次々と吐き出し始めた。さすがは山間の北都。早朝のチェンマイには南国とは思えないひんやりとした空気が満ちていた。
「寒いね」
心底寒そうにまゆがつぶやく。無理もない。つい半日前までは真夏のようなバンコクにいたのだ。僕も早く宿で体を休めたかった。
バスの横には旅行会社が提携しているゲストハウスへの無料送迎トゥクトゥクが止まっていたが、まゆはありさから聞いたおすすめの宿に行きたいらしく、乗るのをしぶっている。しかし、歩いて行こうにもこのバスターミナルの位置は地図に載っているものとはまた別もののようで、どうも現在地がはっきりしない。最終的に、とりあえずは地図に載っているそのゲストハウスまで運んでもらい、そこを起点にしておすすめ宿を目指すことで意見が一致し、トゥクトゥクに乗り込んだ。
チェンマイの街が持つ雰囲気は、バンコクの煩雑なそれとは明らかに異なっていた。地理的、気候的、それに時間的な影響もあるのだろうが、どことなくシャキッとしていて、統一感というか清潔感というか、そういった街作りに対する努力が見て取れた。よく管理されている。それが第一印象だった。
いったんそう思ってしまうと、好感度は上昇の一途をたどることになる。肌寒さは「夜明けの清涼な大気」に変換され、時に美しいとすら思うほどの街並みにそぐわしいようにも感じられる。ザックを背に歩くことで体が温まってくると、徹夜明けの妙なハイテンションと相まって、その寒気を心地よくすら思うようになっていた。
地図を片手に、方向音痴のまゆをナビりながら歩くこと数十分。あけっぴろげな木造の、いかにもタイ風といったレストランが左手に見えてきた。
「あ、ここだ。着いたよ」
まゆはさっさと建物に入っていってしまった。まったく、誰のナビのおかげで着いたと思ってるんだ。しかし、確かに僕だけなら気づかなかったかもしれない。入り口に「GUESTHOUSE」とはあるものの、見た目は完全にレストランなのだ。ナイスまゆ。ひそかに礼を言って彼女に続いた。
チェックインの手続きをしていると、どこからともなく宿泊客らしき数人の男女が現れ、何やらドタバタし始めた。どうやらこの宿からトレッキングに行くことができるらしく、その準備をしているらしい。ロビー兼レストランで軽い食事をとりながらその様子をのんびりと眺めていたが、僕たちも明日行く予定なのを忘れていた。それをフロントに伝えると、思いもよらぬ答えが返ってきた。最小催行人数の関係で、明日出発のツアーはないとのこと。それどころか、次のツアーがいつ催行されるのか、確実な日程はまだわからないそうだ。一方で、今まさに出発しようとしているツアーであれば飛び入り参加OKだそうだ。てことはこれはある意味チャンスなわけか。うーむ。
まゆと相談する。バスで僕の肩を枕にぐっすり寝たまゆは、元気ハツラツで行く気満々だ。対する僕は一睡もしておらずフラフラ。できることならとっとと部屋へ直行してぶっ倒れたかったが、相手が悪かった。なぜなら彼女は僕の太陽だからだ。ネクラな日陰の住人が太陽に抵抗できるはずがない。なす術もなくまゆに押し切られ、僕たちもまた彼らといっしょにドタバタするはめになった。とほほ、徹夜で山登りとは・・・。
あわただしく準備を済ませて外へ出ると、荷物もろともピックアップの荷台に詰め込まれた。車は一路、始発点のドイ・インタノンのふもとへ。ドイとは「山」の意味で、日本風に言うとインタノン山、ということになる。ツアーは2泊3日で、それなりに本格的な山歩きもするらしい。日帰りの山登りですら2回ぐらいしか行ったことないのに大丈夫か? もうすでに眠いんですけど。
脳内にたれ込める暗雲を払いのけながら、荷台にいる人数を数えてみた。ガイドのロップを除くと、ツアー客は7人だった。
まず、日本人は僕とまゆ、そして鼻毛を風にたなびかせながらあくびをしているタカオという中年男性の3人。見るからに毛色のちがうこのオッチャン、まゆと話しているのを盗み聞きするとやはりただ者ではなかった。
推定年齢は50台半ば。紺のスラックスに白いTシャツのすそをはさみ、これから山歩きをするというのに足元はぺらぺらのビーチサンダルだ。トレッキングにビーサンとは恐れ入る。これで絵筆でも持っていれば山下清だ。
職業は農業で、若い頃に叶えられなかった海外一人旅の夢を叶えるために農閑期を利用してタイに来た、とのこと。流暢な東北弁をあやつるが、英語はまったくダメらしい。どうやって意思表示をしてきたのか不思議なところだが、五体満足でいるところを見るとそれでも旅はできるようだ。彼は「言葉さ関係ね、要はハートだべ」というようなことを言っていたが、それにしてもすさまじいバイタリティを持つ御仁である。
残りの4人がアイルランド人。若い男2、年配の男1、若い女1。どんな間柄かはわからない。日本人の感覚からすればイギリス(イングランド)人ということになるのだが、まゆが「イングランド?」と聞くと「ノー」と答えていた。彼らは厳密に使い分けているようだ。まゆはいろいろと話しかけていたが、英語のヘタな僕はネイティブと会話することなど考えただけでおそろしかったので終始彼らとは離れて歩き、話しかけられた時をのぞいてコミュニケーションをとることはほとんどなかった。
寂れた市場やらなかなかの滝などを車でめぐった後、タイの山岳民族の一派、モン族の村で降ろされた。ここからいよいよトレッキング開始だ。
山歩きなど何年ぶりだろう。高1の時に耐寒登山とかで行ったな、確か。約十年ぶりか。
運動不足というかそれ以前の問題、外出不足だ。論外だ。傾斜路に入ると5分もしないうちに息が上がってしまった。朝はあれほど涼しかった気温も午後に入るとみるみる上昇し、噴き出す汗の量はハンパではない。ちょうどいい長さの木ぎれを拾って杖がわりにし、体を引きずるようにして歩く。暑い。しんどい。足が動かない。そして眠い。
ふと前を見ると、ロップは山刀で木やつるを刈りながら鼻歌まじりで急勾配の獣道をスタスタと歩いている。くそう、どんな鍛え方してるんだ。荒い息をつきながら彼の軽やかな動きを見やっていたが、そのすぐ後ろを同じように歩いている人影に気づいて愕然となった。
あ、あれは山下清! もとい、タカオのオッチャンだ! なんであんなタフなんだ、あのオヤジは? それもビーサンで!
僕はもちろん、残りの5人もみな一様にへばっている。毎日田畑に出てるとああも健康になるのか。それに、したって、限度、って、ものが、ある、だろ、が。ゼエゼエ。
そんな調子で進むこと数時間。木々の拓けた一画で立ち止まると、ロップは荷物を降ろした。フゥグォハアアァ、やっと休憩か。と思ったが、それは半分正解、半分はずれだった。
「今日はここで宿泊になります」
は? 何言ってんだ?
7人の頭上に「?」が浮かんでいるのに気づいたのか、彼は続けた。
「このバンガローで寝ます」
そこには木と竹でテキトーに建てられた、震度2ぐらいで全壊しそうな荒屋があった。
「シャワーはあそこです」
あれは・・・日本では小さめの滝、と呼ぶのだが。
「トイレはむこうです」
えっ、どこどこ? まさかあの草むらのことじゃないよな?
「これから食事の用意をします」
説明を終えると、ロップは荷物から道具やら食材やらを取りだして用意を始めた。
・・・おい。文明のにおいがしないんですけど。
アイルランド人の一人などはヤレヤレ、といった感じで肩をすくめている。おおっ、映画とかでよく見るワンシーンだ。生ヤレヤレだ。などと喜んでいる場合ではないが仕方がない。後のことは後で考えるとして、今はこの徹夜トレックで疲れきった体をねぎらうのが先決だ。荷物からビニールシートを取り出して広げると、そのまま倒れるようにして横たわった。
火照った体をなでる山の冷気が夜が近いことを告げていた。日本の不摂生な生活でため込んだ不健康な物質が汗とともに溶けだし、かわりに森のすがすがしい空気が流れ込むのがわかる。細胞のすきまにまで染み入るようだ。
あおむけになる。見上げた空を、渡り鳥が列をなして横切った。その片隅では上弦の月がうっすらと遠慮がちに、藍ににじむように浮かんでいる。たきぎの燃えるパチパチという音とともに、熱せられた油の香ばしいにおいがただよってきた。体の力は自然と抜け、身も心も弛緩する。
なんて心地いいんだろう。
明日はゾウにも乗れるし、1600バーツを払った価値はあったなぁ、と思うと同時に、設備の貧弱さを嘆いていた己の見当ちがいっぷりに気づかされた。このトレッキングツアーの売りはお大名旅行のような快適さではないのだ。精進料理に大トロを求めていたさっきまでの僕。なんと愚かな。
「ごはんできたってー」
まゆの声に起きあがり、一行と火を囲んで夕食をとった。設備も食材も質素なものだったが、疲れた体と豊かな自然が最高の調味料になった。
山の夜は静かに、穏やかにふけてゆく。足りないものなど何もなかった。
翌朝。誰に起こされるまでもなく目がさめた。というか起きていた。とんでもなく寒かったからだ。三十分ほどうとうとしては寒くて目をさまし、1時間ほど起きてはまたうとうとする、それを一晩中くりかえしていたのだ。首からぶら下げていた方位磁石つき温度計によると、昨夜の最低気温、9度。本当に熱帯か、ここは? ツアー出発前に「長袖の服もあったほうがいいですよ」と言われていたので長袖のTシャツを持ってきていたが、そんなものでなんとかなる範囲ではなかった。ハッキリ言ってないと危険、いやあっても危険なレベルだ。寝床に入ってしばらくは「こんなに寒くて寝れるのか?」と不安に思っていたのだが、数時間後には「今寝てしまったらもう目がさめないんじゃないか?」という、より深刻な不安がわき上がってきたほどだ。まぁ、生きて朝を迎えられたのでよしとしよう。
「おはよう・・・」
眠そうな声とともに、まゆがバンガローから出てきた。見ればアイルランズも、あのタフな裸の大将ですら足下があやしい。無理もないがやはり眠れなかったようだ。
ふるえながらトーストとスクランブルエッグの朝食をとる。湯気を上げるコーヒーの温かさがありがたかった。こういう時は熱い風呂が一番だが、それが望めない以上は暖かいめしに限る。ひと口のコーヒーはじんわりと体に染みわたり、少し元気が出てきた。
今日のコースではまずエレファントキャンプにおもむき、タイ最高峰のドイ・インタノン山頂を経て、宿泊地であるカレン族のクンプイ村へ至る。よし、トレッキング二日目、いってみよう!
エレファントキャンプまでは意外と近く、1時間ほどで着いた。しばらく休憩し、ゾウの登場を待つ。おっ、来た来た。って、デカいなおい!
間近で見るゾウは想像をはるかに超えるでかさだった。動物園などの遠目ではそう思ったことはなかったが、そうか、生ゾウはこんなにデカいのか! でも目やさしー! 鼻長ぇ! うわっ、早く乗りたい! ちびっ子のアイドルは当年とって25になる僕まで虜にした。
背中には二人乗りの鞍がついていた。あれに座るのか。途中で合流した日本人看護士4人パーティーと4頭のゾウに分乗すると、ゾウ使いの青年の先導でゾウたちはのっそりと歩き始めた。
しかし・・・なんで僕は首にまたがってるんだ?
そう。女性と高齢者が優先されたため、鞍が満員だったのだ。ヤロウで20代の僕が座るところは首しかなかった。つかまるところなどどこにもない。ただひたすらゾウの頭にしがみつき、揺れに耐えるのみ。しかもこの揺れ、坂を下る時のひどさはただごとではない。地上3メートルの高さでマイルドなロデオをやっているようなものだ。くそっ、なんで僕がこんな目に・・・うおっ、落ちる! ゾ、ゾウ使いさん、僕、健康なのは見た目だけで中身はめっちゃ不健康なんですよ。これ清、アンタ野人でしょうが! 笑ってないで代わりやが・・・ってください! しかもこのゾウめ、おまえの毛は針金か! どんだけ剛毛やったら気済むねん! いたい痛い、足に刺さってる刺さってる!
日本広しといえども、ゾウロデオを体験したことのある人間はそうはいないだろう。インタノン山登山口に着き、ゾウから下りる頃には僕はくたくたに疲れていた。どうやらゾウという生き物は見るにとどめておいた方が幸せなようだ。あぁ疲れた。
中途合流の4人とはここでお別れ。彼女らを見送ると、一息つく間もなく今度はタイ最高峰への山登りだ。木の根っこにつまづいたり、ぬかるみに足をとられたり、丸太の橋をファイト一発な感じで渡ったりしながら、ひたすら登る、登る、登る。3時間ほどののち、ようやく頂上にたどり着いた。
思い思いの場所にへたりこんでいると、緑の包みが手渡された。これは・・・バナナの葉か?お? 弁当?
バナナの葉のなかにはカオパットがくるまれていた。粋な演出だ。が、タイに来た当初、食当たりを警戒するあまりコンビニフードしか食べれなかった頃の僕なら、やはりこれも食べれなかったことだろう。もぐもぐ、こんなにうまいのに。
さて、山の頂上に来て景色を楽しまないというのは吉野家へ行って牛丼を注文しないようなものだな。デブならではの食事スピードであっというまにカオパットを平らげると、見晴らしのよさそうな場所を見つけて歩み寄り、眼下の眺望に目をやった。
さすがは熱帯、眺めも日本の山とはひと味ちがう。上から見るとよくわかるが、生い茂る木々の密度がハンパじゃない。これぞ密林。どこまでいっても緑、緑、緑。枯れ木の茶色や枯れ葉の黄色がどこにもない、緑以外の色彩がどこにも見あたらない、そんな感じだ。まるで大地に緑色の絨毯が敷き詰められたようだ。こんなの一生に何度もお目にかかれないだろう。先の行程が楽しみになってきた。
山頂から歩いて1時間ほど。本日の宿泊地であるクンプイ村は非常にこぢんまりとしていて、村というよりは集落のような場所だった。山の斜面を利用して建てられた家々はそのほとんどが高床式で、昨日訪れたモン族の村とは少し趣がちがっている。休耕中の田んぼで草をはむ牛の間を鶏や豚がとことこと歩き、子供たちがタイヤを転がして遊んでいる。なんとものどかだ。
荷物を置いた後、近くの川へ。昨日一昨日と風呂に入っていなかったので水浴びをするのだ。日本では1週間ほど風呂に入らないのはザラだったが、なんせ今はまゆが近くにいるのだ、そんなわけにはいかない。
昨日ほどではないが、陽のかげりつつある山はやはり寒い。ふるえながら水浴びを済ませ、村に戻って夕食をとると、広場に集合した。
たき火を囲む食後のひと時。「タイという国をもっと知ってください」と、まずはロップがタイの習慣を話し始めた。しかし、長い長い英語なので当然わからない。まゆに聞こう。
「なんて?」
「男の人は一生に一度お寺に入って修行する習慣があるんだって」
説明は続く。
「なんて?」
「そうしないと半人前扱いされるんだって」
説明はさらに続く。
「なんて?」
「でもほとんどの人は一般社会に戻るんだって」
説明はまだ続く。
「なんて?」
「・・・ロップも昔修行に行って、とても厳しかったんだって」
説明はそれでもなお続く。
「なんて?」
「もう、あんまり話しかけられたら聞き取れないじゃない。後にしてよ」
怒られてしまった。おとなしく聞いていることにしよう。
よく聞いてみると、意外な発見があった。たまに理解できるところがあるのだ。わからないことの方がもちろん多いのだが、知っている単語がいくつか出てくれば話の筋はなんとなく理解できる。どうやらそれほど難しい表現技法は使われていないようだ。これはたぶんアレだ、助手席だとなかなか道を覚えられないけど自分で運転すると覚えやすい、ってやつだ。自分で会話せずまゆにまかせっきりだったからわからなかったんだな。なるほど、これなら一度の会話に時間はかかりそうだが、自分でなんとかしようと思えばなんとかなりそうだ。清が一人旅できる理由がなんとなくわかった。
ロップの話が終わり、だんらんタイムになった。温かいお茶とたき火、頭上には満天の星空。空気のきれいな山奥なだけあって、信じられないほどの光がまたたいている。そして、隣にはまゆ。ああ、来てよかった。左隣には清もいるが・・・空気の読めんおっさんだな、あっち行け。しっしっ。
やがてたき火も消え、就寝の時間となった。今日の宿舎はこの村の家。寒いのは相変わらずだが、疲れているのか昨日で慣れたのか、なんとか眠れそうだ。シュラフにもぐり込み、天井を見上げる。ヤシの葉か何かで葺いた木製ならぬ草製の屋根だ。
しかし本当に僕は数日前まで、日本の近畿の大阪の南河内の自宅(家族所有)の自室で引きこもっていたのだろうか。それは確かだ。まちがいない。だが、とても昔のことのように、もっと極端な言い方をすれば、まるでヒキなんかではなかったかのようにすら思える。それはたぶん、大波小波と押し寄せてくる体験したことのないような事態への対処に精一杯で、自分の性格や容姿などに思いをめぐらせている時間がほとんどなかったからだろう。ヒキであろうがなかろうがブサイクであろうがなかろうが、自分でなんとかしなければならなかったのだ。
それに加えて、初めての海外一人旅にもかかわらず、なんとかここまでやってこれたという事実から生まれた、生まれつつあるささやかな自信。これも大きいはずだ。カオサンにいた時、勇気を奮い起こして公園へ行ってからは特にそうだ。一朝一夕で治るものじゃないとは思う。でも、なんとかやれるもんだ。やれるんだから、こんなふうに考える時間がある時はやっぱり気にしてしまうけど、でもなるべく気にしないようにしよう。
タイに着いて二日目、カオサンの宿で引きこもっていた時はネガティブなことばっかり考えていた。毎度おなじみの僕だった。もしあの時宿から出なかったら、僕は今でもまだあの部屋にいたにちがいない。自信をもって言える、絶対にそうだと。
次の日。村を出発してしばらく歩き、少し大きな川に出た。ここからは竹で組んだいかだに乗って川を下ることになる。今日のお楽しみはこのバンブーラフティングだ。もちろん我々ツアー客は素人ばかり、でも操船は現地の船頭さんがやってくれるので安心。荷物をロップに預けると、ドキドキしながらいかだに乗り込んだ。
澄んだ空気と美しい緑のなか、いかだは静かに川を行く。座るわけにはいかないので流れの速いところは多少緊張したが、緩やかなところではボケーッと突っ立って周囲の大自然を見渡す余裕もあった。これは爽快だ。カヤックを趣味にする人の気持ちが少しわかるような気がする。
川には他にもいかだが出ていた。他のツアー客たちだ。みな濡れねずみになっている。川に落ちたのだろう。よほどどんくさいのだな、奴らは。
心のなかでせせら笑っていたその時、いかだが大きく揺れた。
あっ・・・ドボーン。
落ちた。
隣を見ればアイルランズの年配さんも落ちている。水深はひざ上程度でおぼれる心配はなかったが、気持ち悪いし何よりかっこ悪い。船頭は大笑いしてやがる。さてはてめぇのしわざか!
そこへ一隻のいかだが通りがかった。
「ヘ~イ」
「ハ~イ」
「ハロォ~ウ」
「イイィィィヤッホーーーウ!」
朗らかに挨拶しながら、彼らはこちらへ向けて水を飛ばしてきた。ぶわっ!
すると船頭が待ってましたとばかりに反撃を始め、「早く、応戦しろ!」と身ぶりで合図する。なるほど、それでさっきの連中はずぶ濡れだったわけか。よっしゃ、戦闘開始じゃい!
壮絶な水かけ合戦が始まった。流れゆく先々で戦闘に巻き込まれては巻き込み、巻き込んでは巻き込まれ、水をかけられてはかけ、かけてはかけられ。甚大な被害を出しながらも、我が艦は次々に敵艦を攻撃した。大はしゃぎで弾幕を張るアイルランズ。援護する僕。可憐に後方支援するまゆ。集中砲火を浴びる清。みな死にもの狂いで戦った。敵の姿がなくなり手持ちぶさたになると、船頭艦長は退屈しのぎにこちらに水を飛ばしてきた。キャーキャー言いながら反撃する乗組員。もう敵も何もない。そうこうしているうちに敵艦が6時の方角に出現し、再び水しぶきが飛び交う。
連戦に次ぐ連戦、死闘に次ぐ死闘。それらのすべてを乗り越えて川下りの終点が見えてきた頃には誰もが川に落ちたのと変わらないくらい水びたしになっていたが、それでもクルーたちから笑顔が消えることはなかった。
「楽しかったね」
「あー、童心に返ったていうかなんていうか。疲れたけど」
「そういや落ちてたね。川に」
「ばれてた!」
これにてトレッキングツアーはめでたく終了。再びトラックの荷台に積み込まれ、宿へと戻る。山歩きの疲れと三日ぶりにありついた暖かいベッドは、あっというまに僕を夢の世界へと引きずり込んだ。
起きたのは夕方に近い時刻だった。あー、よく寝た。時間は短いけど熟睡できた。
ふらつく頭をおさえ、空きっ腹を満たそうとロビー食堂に行くと、何かを食べていた一人の日本人女性と目が合った。
「だいすけさんたちは今日帰ってきたんですか?」
誰だこの女は。なんで僕の名前を知ってんだ。
疑問が顔に出ていたのだろう。彼女は説明を始めた。
「え、いっしょのゾウに乗ったじゃないですか・・・」
そういえば、鞍に乗っていたのは確か中途合流の日本人看護師たち。
「ああ、あの看護婦さんの・・・」
「そうです!」
昔から人の顔や名前がなかなか覚えられない。思い出せたのは職業だけだったが、納得してもらえたようだし、まぁいいか。
彼女らは別のツアーに参加していて、あの後僕たちとは別のルートで帰ったらしい。川下りはなかったようで、その後のこちらルートの顛末を話すとしきりにうらやましがっていた。今はお仲間3人はどこかへ出かけているようだ。
「腹へった・・・」
僕の独り言を聞いた彼女が、なぜかいたずらっぽく微笑んだ。
「おなか空いてるんですか? じゃ、目つむってください。はい、あーん」
旅に出てからというもの、今までの人生にはなかったようなことが次々と起こる。はい、あーん? 我々非モテ系男子の夢じゃないかそいつは! イエス!
一も二もなく彼女の指示にしたがう。ポイッ。口に何かが飛び込んできた。サクサクサク・・・。これは小エビの唐揚げか。うん、なかなかいける。
「目あけていいですよ。フフッ」
含み笑いの混じる声に目を開ける。彼女は手に何かを持っていた。そしてその物体は、にわかには信じられない映像を網膜に映し出した。
そいつには、長い触覚があった。
そいつには、強靱な後ろ足があった。
そいつには、仮面ライダーのような顔があった。
そいつには、生前はいい音を奏でたであろう羽があった。
これコオロギやんけぇえぇえぇぁあqあwせdrftgyふじこlp;@!!!
彼女は目を白黒させる僕を見て笑っている。
「アハハハ」
あははは? アホかねキミは? なんの権限があって人に節足類を食わせてんだ? 笑って済むことか?
おそらく思いっきり不快な顔をしていたのだろう。僕の表情を見ると一転、彼女はバツの悪そうな面持ちで尋ねてきた。
「あの・・・。おいしくなかったですか?」
ごめんなさいと言う前に感想を聞いてくる神経もまた普通ではない。カチンと来たのは確かだが、味・・・? 最初はエビかと思ったほどだ。冷静に考えてみると、進んで食べたいとは思わないが、激怒しなければいけないほどまずかったわけでもない。
「・・・食えんこともない」
「でしょー? おいしいですよねぇ? 私よく食べてるんですけど、いつも変な目で見られちゃうんですよ。なんでかなぁ?」
いや、誰もうまいとは言ってないんですけど。あんたやっぱちょっとズレてるよ。しかし、やっぱりうまく話せないなぁ。今ももうちょっとで爆発するところだった。妥協点を見いだすのがヘタというか、感情を軟着陸させるのが不得手というか。でもそうか、こんな味がするのかコオロギは。少し興味がわくと、怒りはだんだんと収まっていった。
コオロギが折り重なって詰まっているビニール袋の横には、小さめの素揚げイモムシが入った袋もあった。うっ! まぁ、それは、その、個人の、自由かとは、思い、ますが・・・。はたしてレディーの間食として適切であるかどうか・・・。女子力低うございますよ? レディーどころか僕だって食べているところは見られたくない。
空気を読まず延々と続くゲテモノ講義にぐったりしているところへ、まゆが門から入ってきた。「あ、おはよう。もう夕方だけど・・・って、えぇっ? 何それ?」
嗚呼、よりによって一番見つかりたくなかった人に見つかってしまった。これで僕はえんがちょ一直線、虫食人のレッテルを貼られてしまう。と思ったのもつかの間、事態は意外な方向に展開した。
「うわぁ、なっつかしー。一つもらってもいい?」
・・・!?
持ち主の了承を得たまゆは嬉々としてコオロギを口に放り込み、パリカリとかみ砕き・・・ごくん。飲み込んだ。あぜんとして見つめる僕。その視線に気づいた彼女は、ちょっとだけ恥ずかしそうに言った。
「ほら、あたし家長野じゃない? 昔おばあちゃんのところでよくいなご食べてて、なつかしくて、つい」
なんてこった。まゆこそ真の虫食人だったのだ。二人はたちまちのうちに意気投合し、コオロギを肴に昆虫の風味について語り始めた。
僕はゲテモノはごめんだ。通りがかった従業員を呼び止めてハムサンドを注文すると、静かにそのテーブルを離れたのだった。
チェンマイの街にはトレッキング以外にも名物と言えるものがある。ナイトバザールと呼ばれる夜市がそれだ。チャン・クラン通りに毎夜立ち並ぶ多数の露店はチェンマイ観光の目玉の一つとなっている。
先ほど市内を偵察してきたまゆによると、通りには営業の準備をする露店がそこかしこにあったらしい。もうすぐ陽も沈む。今から行けばいい頃合だろう。
僕はサンドイッチで中途半端にふくらんだ腹を満たすため。まゆはチェンマイ名産品をゲットするため。それぞれの目的をたずさえ、チャン・クラン通りを目指した。
おおっ、これはすごい。
通りは人と露店と喧噪で満ちていた。チェンマイの人全員がこの一帯に集結しているのではないかと思うほどの賑わいだ。
数では露店も負けていない。路上にシートを敷いただけの店があるかと思えばワゴンに商品を積み上げている店もあり、テントを張って営業している店の横には各種食品の屋台も出ていて、売り物を抱えた行商人がそれらの合間を歩いている。通り両サイドの雑居ビルにはちょっと立派なテナントだってある。ありとあらゆる形式のショップがチャン・クラン通りとその周辺のいたるところに待ちかまえていた。なかでも特に多いのテント張りの露店が「バザール感」をより強く印象づけている。
商品はといえばこれまた多種多様で、日常品や民芸品はもちろん、おもちゃに家具に衣類に食品、挙げ句の果てには無邪気な子犬がしっぽを振るペット露店まで現れる始末。観光客向けのみやげ物も地元の人向けの生活用品も、売ってないものをさがす方が難しそうだ。これは歩きがいがある! さぁ、どこから見ようか。って、隣ではまゆが舌なめずりせんばかりの勢いで虫屋台をのぞき込んでいるが・・・気づかないふりをしよう。
異国の市場というのは本当に楽しいものだ。見たことあるものやないようなもの、そして時には用途すらわからない珍妙奇天烈なものに出くわすこともある。しげしげと観察しながら、この製品はどういった状況でどんなふうに使うのか、などと自分なりに想像を働かせ、納得してみたり不思議がってみたり、買わずとも見ているだけで飽きない。
商売人も陽気だ。こちらが日本人だとわかると「サムライ!」やら「アリガト!」やら、そしてなぜか「アジノモト!」などと叫ぶ者がいたりして、思わず吹いてしまう。なかには「コレバッタモノ、ヤスイ。ホンモノ、タカイ」と、自らの罪状を白状してまでも客の気を引こうとする強者もいて、彼らの底抜けの明るさと同時にたくましい商魂までもうかがい知ることができた。
気の向くままにあたりの店を冷やかしていると、腹がダイナミックに鳴りだした。そうだ、腹を満たしにきたんだっけ。この異国情緒にすっかり引き込まれて忘れていた。
近くにあった食堂へ飛び込み、カオソーイというやたらうまい汁ソバに舌鼓を打っていたちょうどその時。山岳民族の衣装に身を包んだ行商人が店内を訪れ、各テーブルを巡回し始めた。
彼女らの商品は肩から鈴なりにぶらさげているタイ風ポシェットのようだが、ここまでの露店で見てきたそれらがみな同じデザインの既製品であるのに対し、こちらのものは手作りの一点もののようで、そのディテールは「量産品とはちがうのだよ、量産品とは!」と主張せんばかりに繊細、かつ豪華だ。そういえば「山岳民族は工芸品を売って現金収入を得ている」とロップが言っていた。これもその一環なのだろう。
レベルの高い装飾にアンテナが反応したらしく、まゆが彼女らを呼び止めて商品を吟味し始めた。僕もついでにいくつかを手にとってみる。きれいに磨かれた貝殻や木の実などが縫いつけられていて、見れば見るほどいい味を出している。買おう。とりあえず値段を聞いてみた。
「・・・200バーツ」
少し考えるような仕草をし、売り子が答える。約600円。いい出来だし、そんなもんか。納得して財布を出そうとするとまゆがそれを制し、言った。
「高いよそれ。もっと安くならない?」
ね、値切ってる!
そんなイメージはありそうだが、大阪人のすべてが値切り上手なわけではない。もちろん陽気でもない。僕ほどのネクラもめずらしいだろうが、有名どころなら日本人メジャーリーガーの草分け的存在であるあの野茂も無口で無愛想だが大阪人だ。まぁそれはともあれ、僕も生粋の大阪人でありながらも交渉ごとは大の苦手なのだ。
途中から聞き取れなくなったが、交渉はしばらく続いた。そして。
「4つで240バーツにしてくれるって」
!? 4つで240バーツ? 1個60バーツだ! 600円が180円になった! なんてかけひき上手なんだ僕の太陽は!
「値札がついてないってことは定価がないってことだからね、交渉しなきゃ。今回は2人で4つ買うって言ったからかなり安くなったんだけどね。一度に何個か買うと安くしてくれることが多いよ」
売り子が去った後、まゆがそう教えてくれた。同じものを買うにしても交渉力の多寡で払う金額が変わってくるわけだ。今回の場合僕の能力(交渉力0)だとむこうの言い値200バーツ、まゆの能力(交渉力大)だと60バーツになるわけか。正札販売が普通の日本人から見るとなんとも異様だが、うっとうしく思うと同時に、それはそれでおもしろそうな気もする。なんかゲームみたいだ。
その後、もうしばらく通りをうろつくことにした。しかし先ほどの逸品を上回るほどのお値打ち感をみなぎらせているものには出会えず、適度に散策したところで南国縁日のそぞろ歩きは終了となった。
チェンマイの(バンコクに比べれば)すっきりとした街並みを見ていると、治安もなんとなくよさそうに思える。日没からそう時間の経たない街は暑くもなく寒くもなく、散歩するにもいい具合だ。そんなわけで宿まで歩いて戻ることにした。
とあるホテルの前を通りがかった時。中庭で何かの催しものをやっているのに気づいた。入場無料。寄らない理由はない。そのままなかに入り、空いていたテーブルに座った。
中央のステージでは、見目麗しい女性たちがきらびやかな衣装を身にまとい、宙をただようようなステップを踏みながら優雅に踊っていた。タイの民族舞踊らしい。
テーブルの上にはショーの演目表のようなものがある。なになに、ムエタイボクシング・・・ではないな。てことは・・・レディー、ボーイ、ショウ。え、レディーボーイ? ってことはオカマか! あれが? うそだろおい。でもこの表のなかで該当しそうなのはこれだけだ。この表がなかったら、というかあってもにわかには信じられない。そんじょそこらの女性よりよっぽどキレイだ。よく見るとなかにはターミネーターみたいな人もいるが・・・人の容姿に関して言える立場にないのでノーコメント。
わずかばかりの心づけを渡してホテルを出、さきほど見たショーについて語りながら宿へ戻った。
「タイのオカマさんってキレイだって聞いてたけど、ほんとだね」
「へえ、そんなに有名なん? 確かにまゆよりよっぽど・・・」
「私よりよっぽど、な ん で す っ て ?」
「・・・いえ、なんでもございません」
その後数日間チェンマイでだらだらと過ごしながら、ああでもないこうでもないと次の行き先を相談した結果、目的地は古代遺跡の街、スコータイに決定した。
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2章 うれしはずかし二人旅 | 1.かんちがい開始 | 2.ネアカの街 チェンマイ | 3.スコータイの仏 | 4.アユタヤの人 |
3章 お別れのち再出発 | 1.かんちがい終了 | 2.僕の深夜特急 | 3.変態inノンカイ | 4.動物三昧ナコンラチャシマ |
4章 引きこもり 日本へ帰る | 1.静けさの前の嵐 | 2.羽化 | あとがき |