野生鳥獣とノネコの関係―ハンターとしての猫
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最終更新日:2015/04/13
ねこ
今年の2月9日づけで、環境省からこんな発表がありました。以下に一文を抜粋します。
「希少種とノネコ・ノラネコシンポジウムの開催について(お知らせ)」
背景と目的
北海道の天売島、東京都の伊豆・小笠原諸島、鹿児島県の奄美大島・徳之島、沖縄県のやんばる地域等、希少種が生息する複数の地域において、ノネコ等による捕食などが希少種の生息に大きな影響を及ぼしています。
各地域においてネコの適正飼養のための条例を制定する等、ノネコ等を発生・増加させないための種々の取組がなされてきていますが、既に野外に生息するネコについては、捕獲後に順化、譲渡等をする場合に時間、経費、労力を要すること等から、対策が進展していない地域があります。
今回のシンポジウムでは、ノネコ等が希少種の生息に大きな影響を及ぼしている事例等を広く周知し、希少種保全におけるノネコ等の対策の必要性について共通の認識を深めます。さらに、今まで各地行われてきた取組の限界、課題等を踏まえ、多様な主体との連携・協力に留意しつつ、今後の取組などについて議論します。
ノネコとは、山野に生息する野生化した猫のこと。誰に飼われているわけでもない点では野良猫と同じですが、生息域が街中であるか山野であるか、餌付けをされているかどうかなどで識別する。となっていますが、実際のところ両者の線引きはかなりあいまい。そしてノネコは狩猟鳥獣に指定されています。
昨今、このノネコによる希少な野生鳥獣の襲撃、捕食が問題になりつつある。とのこと。本来、猫はハンター。それもきわめて優秀なハンターです。
こういった記事もあります。
「米国のネコ、数十億羽の鳥を毎年殺害」(AFP通信)
【1月30日 AFP】米国内のネコが毎年、最高37億羽の鳥と207億匹のネズミなどの小動物を殺しているとの研究が、29日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。
論文によると、鳥や小動物が死ぬ人為的な要因として、生息地の喪失や農薬、狩猟などを上回り、ネコがおそらく最大の要因だという。
研究を行ったのは、米スミソニアン保全生物学研究所(Smithsonian Conservation Biology Institute)のスコット・ロス(Scott Loss)氏率いるチーム。研究チームはネコの捕食行為についての既存の研究を分析した。
欧州と北米の温暖な地域では、屋外に出ることのできるネコは、1匹あたり毎年30~47羽の鳥、177~299匹の小型哺乳類を殺していることが過去の調査で分かっている。
「野良ネコとは違う。野生化した『野ネコ』の問題は深刻だった」(NAVERまとめ)
こちらの記事で登場する猫は厳密にはノネコではないものも含まれていますが、外に出ることのできる飼い猫もノネコ予備軍。まったくの無関係ではありません。
僕が参加している鹿のグループ猟で入る山にもノネコがいます。集落からかなり離れた山中、「なんでこんなところに猫が???」と思ってしまうような場所です。猟犬がそのノネコを追っているのをみたことがある人もいます。
こういった場所で生きる猫は何を食べているかと言えば・・・見たことはないけどどこにでもいるであろうノネズミ、足跡と糞だけは確認しているノウサギ、あとは何度か見たことのあるニホンリス、ヤマドリといったところなんでしょうね。
今挙げた動物は希少種というわけではないので現状ではそれほど問題にはなっていませんが、ノネコを敵視しているヤマドリ猟師は現状すでに存在します。上記のAFP通信の記事によると、猫の狩猟能力の高さは無視できないものであるようです。
ノネコが現状どれほど存在するのか、どれだけの野生鳥獣を捕食しているのか。国内では(希少種への影響をのぞくと)まだそれほど研究が進んでいない分野のようですが、気づいたときにはもう遅い。なんてこともないとは言えません。
近年増加が著しいシカ、イノシシもそうですが、それ以外でもカラスやカワウ、地域によってはアオサギなんかも有害鳥獣として駆除の対象となっているそうです。
僕も撃てる状況であればカワウやカラスを撃つようにしています。撃ちたいか撃ちたくないかでいえば撃ちたくないんですけどね・・・。しかしこれも自分の意志で銃と狩猟免許を取得した者のつとめと考えて、感情は横に置いて撃つようにしています。( -“-)
でもこれから先、もし有害鳥獣に「ノネコ」が指定されたとしたら。狩猟中に出会ってしまったりしたら。 ・・・撃てるかなぁ、撃てないだろうなぁ。猫すき。勝手なものです、我ながら。
まだどうなるか先の見えない事柄ではありますが、これからちょっと注意して見ていこうと思っています。猫を飼っていらっしゃる方は、完全室内飼いをお願いします。m(_ _)m
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