猟銃を維持するための1年あたりのコストを確認してみた
公開日:
:
銃一般
前回は出猟一回あたりのコストを試算してみました。銃所持までの費用や維持するためのランニングコストを一切考慮しない、一度の出猟でいくらお金を使うのか、という点に特化して計算したものです。
それに対し、今回紹介するのは「猟銃(散弾銃)一挺を維持していくのに年間どれぐらいの経費がかかるのか」という点。
地域や状況によって多少の前後はあるでしょうが、おおむねこんな感じになるはずです。
散弾銃所持1年あたりのランニングコスト
1.標的射撃のみの場合
まずはシンプルに標的射撃目的オンリーでの所持許可を得た場合で考えてみましょう。
標的射撃といってもいくつかありますが、今回はクレー射撃としておきます。これに狩猟税やら猟友会費、出猟ごとの経費を加えると「銃猟するためのランニングコスト」となります。
- 経験者講習 3年ごとに3000円→年1000円
- 技能講習 3年ごとに15000円ぐらい→年5000円(※)
- 所持許可更新 3年ごとに7200円→年2400円
- 更新申請にかかる雑費(診断書、身分証明書発行等)3年ごとに5000円→年1666円
- 狩猟免許更新 3年ごとに2900円(正確には1種につき2900円)→年966円
- 射撃用火薬譲受票 1年ごとに2400円(※)
- 射撃練習(努力義務) 7500円(3ラウンド)×年3回=22500円(弾代・クレー代等込み)
- 雑費(備品購入等) 7000円
合計 42932円
交通費なんかは入れてないし例のごとくどんぶり勘定ではあるものの、こういった数字が出ました。
ただしこれはかなり低いめに見積もった数字です。この額で実銃所持も不可能じゃないけど、これじゃ「ただ単に散弾銃を所持しているだけ」って感じに近いかな。
練習は年に何度かは行っておかないと射撃技能維持向上の努力義務面で問題が出るので3ラウンドを3回としていますが、これでも担当官からクレームがつくようならもっと通う必要が出てきます。すると出費も増えます。
てか、年9Rってのはほんとに必要最低限レベルですけどね…。標的射撃目的で所持してる人であれば、それが目的なんだからもっともっと撃ちに行ってることでしょう。
国体の選手なんかだと年に万発とかです。皿割りはざっくり計算で一発あたり100円(クレー50円前後+装弾40~50円+α(射場の保険料とか入場料とか))ほどなので、万発だと射撃練習だけで100万円ですか。その他の経費が誤差レベルですな。(´・ω・`)
加えて大物猟もやる場合
次に狩猟にかかる1年あたりの経費を見ていきましょう。
まずは狩猟者登録時に支払う、狩猟税・猟友会費・ハンター保険の三点セット。「第1種狩猟者登録」を「居住地以外の都道府県」で「1県のみ」申請した場合、という前提です。
- 猟友会費 大日本猟友会費4800円+大阪府猟友会費5000円+支部会費3000円=12800円
- 狩猟税関係 狩猟税16500円+府県手数料1800円+他府県手数料1200円=19500円
- ハンター保険料 4000円
合計 36300円
ソースは去年upした「2017年度狩猟者登録開始!費用を過去とくらべてみた。」から。
猟友会に所属せず狩猟をすれば、トリプルで徴収される猟友会費は必要ありません。が、いろいろと手続き面で手間のかかることが増えます。会に所属しているとあれこれ代行してもらえます(狩猟者登録、ハンター保険、猟用装弾の無許可譲受票等)。逆に言えばメリットはそれぐらいとも言えますが。
では、晴れて各種申請・登録が済み、いよいよ猟期に入ったとしましょう。出猟ごとのコスト、僕が勝手に「出猟コスト」と命名した費用が必要です。
これは前回の「出猟一回あたりのコストを確認してみた」に詳しく記していますが、
- 交通費(ガス代) 1400円(往復140㎞走行・燃費14km/L・レギュラー140円で計算)
- 弾代 346円(1発346円・一出猟あたり1発撃ったと仮定)
- 昼食代 300円
- ハクキンカイロ燃料代 15円ぐらい?
合計 2061円
一回で2061円。交通費が大きいのでお住まいの環境によってかなり前後するはずです。
僕は毎週ほど出猟していますが、世のお父さん方だとそうはいかないだろうから、年10回の出猟とすると、20610円。
さて。数字が(大ざっぱではあるけど)出揃いました。上記の数字を足すと、「銃猟するための1年あたりのランニングコスト」は、
- 銃維持関連 42932円
- 猟友会&狩猟者登録関連 36300円
- 年10回の出猟コスト 20610円
合計 99842円
約10万円。積み立て等を視野に入れて、月の小遣いでまかなうとして考えると、一ヶ月あたりでは99842÷12≒8320円が必要。という結果になりました。
かなり少なめに見積もった数字で毎月8320円の経費。銃の入れ替えやパーツの新調なんかも考慮すると、実際にはこれよりもうちょっと欲しいところ。月10000円↑ぐらいはプールしておきたいですね。
世のお父さん方の平均的な小遣いってどんなもんなんでしょう。周囲では3~4万円って人が多かったように記憶していますが、実際どうなんだろう。
仮に3万円だとすると、毎月の小遣いのうち1/3を狩猟に充当しないと続けられないということになります。
では、この月10000円という金額。
今現在狩猟に頭のてっぺんまで浸かってる人は除外するとして、これから始めようとしている人にとって、高いのか安いのか。
正解は…やってみないとわかりません。
僕のようなずっぽりはまった人間には決して高くはない(安くもないけど)と思える額ですけどね。少なくともそれだけのお金を払ってでも猟をしたいと思えます。
でもやってみて合うかどうか、こればっかりはやってみないと何とも言えません。面白そうだなと思って始めたことが面白くなかったり、またその逆だったってこともいっぱいあります。
これから銃猟やってみたいという方は、最低限必要な「興味」はすでにお持ちであるわけです。あとは「これぐらいはかかるんだな」ってことを念頭に置いて、いつの日か、生安課のドアをノックしてみてください。
目安としては、ハンターには狩猟以外に「釣り(海遊び川遊び)」「バイク」「サバゲー」「登山」といった趣味を持っている人も多いので、そういった趣味がある方は、狩猟を始めても続く可能性が高いと思われます!(・∀・)
関連記事
-
実力やいかに。替え銃身で口径が変更できる空気銃、FXインパクト!
装薬銃を取得してから出番が減りつつある空気銃。鳥撃ちならこいつに限るんだけど、なんせターゲッ
-
実銃を持つことのデメリットについてちょっと語る。
今猟期で5年目になるので、僕がハンターを志したのは今から7年ぐらい前、実際に動き出したのが6
-
【朗報】エースハンター、近江屋でまだまだぜんぜん余裕で修理可能だった!!
残念なことに近江屋さんは廃業されたとのことです。今後、シャープチバ製空気銃の修理については山梨県の「
-
暴発のおそれあり!ミロクの散弾銃(MSS-20,A-BOLT)にリコール発生!
ここんとこずっとkenshiやなんやらで狩猟オフシーズンを満喫してるんですが、何かひとつ重大
-
梅雨時の除湿防錆。ガンロッカーに除湿剤を設置する際に注意すること
梅雨まっさかりのこの時期。我らが南河内でもうっとおしい日が続いています。外出する機会が減って
-
エースハンターのシャープチバが廃業?空気銃取得予定の方はご注意!
画像は豊和精機ウェブサイトより[/caption] 国内の空気銃製造メーカーの雄であるシャープ
-
ここでもエースハンターの修理が!山梨の銃砲店「SAWA Enterprise」
画像は豊和精機ウェブサイトより[/caption] とあるところから少し前にお話を聞いて
-
9年目猟師が30口径(7.62mm)空気銃を1シーズン運用した感想を語る。
延長戦のないところでは、令和二年度の猟期も終わり。当地でもシカ・シシ以外の狩猟はまた来期以降
-
独断と偏見でゆるーく紹介する、狩猟用空気銃インプレッション
抜けるような秋晴れ。今日の南河内はすばらしい陽気でした。 そんな行楽日和の日に僕は
-
狩猟用空気銃の口径。4.5mm・5.5mm ・6.35mmのどれがいいの?
狩猟用空気銃の口径は大きく分けると三つ。4.5mm(177口径)、5.5mm(22口径)、6
Comment
正直申しますと、この世界に入ってから貯金は出来なくなりました。
自分は、練習会を主催していますので、自分主催の練習会だけで8回。
猟友会の大会もほぼ参加してますので、約10回。
お世話になってる方の大会にも参加してますので、約6回程度。
外部団体にも入ってますので、練習会も入れて6回程度。(別途会費が必要)
あとは自主練で10回程度。
今年は、許可の4000発と火薬1kg程度は使ってしまいそうな感じです。
これ以上の趣味は無いと思っていますので楽しんでますが…。
( д) ゚ ゚
ものすごい頻度ですね…。僕はある程度870の使い方に慣れてきた時点で射場にはあまり寄らなくなりました。慣れるまではぼちぼち通ったんですけどね。。。
皿割りはストレス解消にいいのでもうちょっと足を運べるようにしたいです。世の中ゼニや。(´・ω・`)
趣味と割り切れば、月一万円はどの趣味でも出ていくでしょう。
安い方ではないかな?
まぁ0円でやれる趣味もなくは無いですが、月一万円は趣味としては妥当なところと思います。
設備投資を除外すると極端な話、
「フェラーリに乗ってドライブが趣味」
という人は、ガソリン代のみのコストとなる。
免許の更新や税金、保険も入れたって初期投資がでかすぎる。
趣味の年間コストを考えるとは如何に難しいかという事だね。
所ジョージさんの言葉
「無駄なことにお金を使って楽しむ事が遊び」
的を射ている(๑˃̵ᴗ˂̵)
狩猟は趣味なのだろうか?
僕などは狩猟車がファーストカーなので日常生活にも使ってるし、厳密に分けるのは無理です。性格的にも大ざっぱなので、この数字は「少なくともこれぐらいは使う」って額ですかね。猟場のどまんなかに住んでいて出猟の燃料費が0に近いとかでない限り、あの数字を下回るってことはなさそう。
僕の場合狩猟は「実益を兼ねた趣味」と言えるかな。それなりにお金はかかってるけど、やめるつもりもないです。たぶん生涯続けていくかと。(・∀・)
[…] ▶猟銃を維持するための1年あたりのコストを確認してみた|吾輩はプアである […]
[…] 合計 99842円 猟銃を維持するための1年あたりのコストを確認してみた|吾輩はプアである。 […]