ポスト猟友会たりうるか?「一般社団法人猟協」の今後に注目
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狩猟・射撃団体
大半の猟師はお世話になっているであろう狩猟団体、猟友会。僕もお世話になっています。
この猟友会、wikipediaによると設立は1929年(昭和4年)となっています。歴史ある団体です。
歴史ある≒古い。そのせいなのかそうでないのか、なんとも不可解な決まりごとがあったりするのも特徴。会費がトリプルで徴収されたり(大日本猟友会、都道府県猟友会、所属支部猟友会)なんてのはその筆頭。
うちはそういうのはないんですけど、所属支部によってはなんだかよくわからないしきたりだとか、あとよく聞くのは有害鳥獣駆除の手当(捕獲奨励金)支払いについて不可解な面があるだとか、既得権益(縄張り)であるとか。長く存続してるということは、その間のしがらみや何やらがそれだけ凝り固まって除去が難しくなっている、という負の面もあったりするのです。
それらに耐えかねた(特に若手)猟師の間では、猟友会からの離脱が時に話題になったりします。
そうなってくると、あったらいいなと思うのが、猟友会に代わる狩猟団体。しがらみがなくて、自由で、公平感があって、それでいてあれこれ面倒なことを代行してくれる団体。…こうして書くと我々もなかなかわがままだなとも思いますが、それが偽らざるところ。(´・ω・`)
が、世の狩猟ブームが後押ししてくれたのか、そんなわがままなハンターを支えてくれるかもしれない新たな狩猟団体が産声を上げたようです。
(記事内の画像は公式サイトより)
一般社団法人猟協とは?
理事長は以前このブログでも紹介した「猟師工房」の代表、原田氏。
関連記事:僕が首都圏在住の猟師予備軍なら埼玉の「猟師工房」の門を叩いてみる
どうやら新しい組織のようで、ウェブサイトも本日(2018年8月26日)現状では未だリンク先のないページなども多く、不明な点もぼちぼち。
そういった中で、活動方針などを示した「猟協とは」と「代表挨拶」二つのページにはこうあります。
猟協とは
「猟協って何ですか?他の狩猟団体とどう違うのですか?」
猟協は一般社団法人ですが、狩猟だけに特化することなく、
狩猟者や食肉加工など、広く狩猟関連のビジネスを行う団体や企業、
及び個人などが、国・地方自治体などとも協同し、
その事業によって日本の豊かな自然を守り後世に引き継ぐこと、
それを担う次世代の人材を育成する事を目的とした
相互扶助の理念を持った組織です。
事業活動については、社員総会という意志決定機関で、
組織の維持発展のための重要な課題について活動方針を決めて行きます。
その総会には、本会員全員に出席資格があり、
総会にかけられる各議案に対して議決権を行使できます。
この議決権は、誰もが平等で差がありません。
誰もが等しく一票を持ちます。
ここが、株主に支配される会社とは違う点です。
つまり、猟協は会員による全員経営で運営されているということです。
政治や思想、宗教、既得権益などにとらわれることなく、
広く門戸を開放し、公平、公正、透明な組織運営形態持つ団体です。
『100年後の日本の自然を豊かなものに』
一向に軽減しない鳥獣被害、後継者不足、度重なる銃砲による事故、鳥獣害防止総合対策交付金の不正受給と狩猟業界を取り巻く環境は決して健全とは言えない状況が続いています。
この状況を憂い、業界の健全化を図る為に一般社団法人猟協の発足を決意いたしました。次世代を担う猟師の育成、鳥獣害の名のもと年間113万頭の命を奪い数パーセントしか利活用されていない鳥獣達の利活用促進、伝統的な狩猟方法の技術継承などを進んで行い、また狩猟者以外の事業者方々とも力を合わせ、未来の日本の自然をより豊かなものにする為の架け橋となる組織を目指します。
一般社団法人 猟協
理事長 原田 祐介(東日本担当)
というもの。なるほど。
保険や登録の代行は?会費はいくら?
具体的な活動内容となると、先述のとおり、サイト自体がまだ作成途中ということもあってこれだけで全てを判断することは早計かと思われますが、猟友会を脱退したハンターの受け皿として見た場合、特に気になるのが
「猟友会のような各種代行体制はあるのか」
という点。次に会費。いくらなのか。このあたりでしょう。
それらについては「会員募集」のページに記載があります。
年会費には以下の項目を含みます。
- 免許に関する予備講習会、実地訓練講習料(当日の保険料含む)(一部地域を除きます)
- 狩猟者登録事務代行とりまとめ料(2019年度から実地予定)
- ハンター保険、あるいは網・罠による動産保険・施設賠償責任保険保険料
- 法人について、環境省の定める法令に基づく「認定事業者」に関する諸費用等については、上記には含まれません。
但し、当法人にて別途定める制度及び認定事業者のための保険があるので、特別会員は本法人事務局まで個別に相談してください。その他、食肉加工・流通・販売等を行う事業者の皆様についても本法人にて、各種保険制度等を用意しています。
☆,。・:*:♪・゜’☆(・∀・)☆,。・:*:♪・゜’☆
ハンター保険及び狩猟者登録事務代行アリ! 繰り返す、ハンター保険及び狩猟者登録事務代行アリ!! しかも年会費にはハンター保険料を含む!!!
ハンター保険の内容についてはこちら「会員特典」のページに掲載されてますぞ!
初年度には入会金として10000円がかかるものの、年会費は12000円。これはいいですねえ。
参考までに、僕の今年度のハンター保険料+猟友会費(大日本猟友会+大阪府猟友会+支部会費)は、ハンター保険料が4000円、会費が大日本4800円、大阪府が5000円、支部が3000円。総計で16800円。5000円近く安い計算になります。
ヘッヘッヘ、それだけじゃありやせんぜダンナ。「年会費に含むもの」の項目の下には「特典について」という項目が。
各会員については本規程適用時点で上記記載以外に以下の特典を得ます。
特典は定期的に見直すものとし、見直しの際は当法人HPにて詳細をリニューアルするものとします。
- 食肉処理施設「かいたい君」の割引
- 取引事業者等の紹介(肉の流通・販売及びその他食品関連事業者等)
- 狩猟に関する各種情報の提供・専門学校等を通じた講習・各種体験イベント案内
- 会員作成の情報誌等の案内
- 狩猟エリアに関する情報・捕獲個体に関する検査に関する情報・解体処理及び食品衛生に関する情報提供及びアドバイス
- 耕作放棄地・周辺森林等に関する情報(準備中)
「本規程適用時点で」なので変更になる可能性はあるようですが、個人的には下二つが非常に気になるところ。これらの内容が実現するのであれば、一般社団法人猟協は猟友会に代わる存在としてハンターに重宝されていくかもしれません。耕作放棄地の把握とか簡単じゃなさそうだけど、方法はあるってことなのかな。
ただ…猟友会支部長にその権限がある狩猟用装弾の無許可譲受票発行まではしてもらえない様子。このあたりまで変えようとしたら法改正が必要になってきますからねえ。
ということは、ここは所轄署の署長におろしてもらうことになるのかな。この点は現状で猟友会に所属せずに狩猟してる人と同じってことか。
2018年8月26日時点では会費の振込先が副理事の個人口座であったり、フォームに個人情報を入力する必要があるのにSSL通信を採用していなかったり、会社概要のページですら用意されてなかったり。と、まだまだザツいところも目立ちますが、そういった点も含めて発展途上ということが言えるでしょう。
来年、再来年、数年後。どういった組織になっているのか、要チェックや! な団体です。(・∀・)
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Comment
各市町村が発行する有害駆除の許可は何とかしてほしいですよね。
その市町村に住んでその市町村の猟友会に所属していないと許可を与えない。よそ者を閉め出しているとしか言い様のない、許可条件ですよね。過疎地の有害鳥獣増えても困っているのに都会ハンターは有害駆除を手伝いたくても出来ない現状ですからね。
既得権益(報償金)が絡むとボランティアですら出来ない状況を打破してくれる団体にまで成長する事を期待します。
昔は地元市町村からの人手オンリーで事足りてたってことなんでしょうかね。今はハンターの数が当時とは比べものになりませんしねぇ。
あと、駆除報奨金を所属支部にまとめて支給とかもやめてほしいものです。役人サイドからすればそっちのが楽なのかもしれないけど後々分配でもめたりするし。一人一人に渡せば話は簡単なんだけど、面倒なんでしょうね。(´・ω・`)
興味深い団体ですね。とても気になります。
私が問題視してるのが、猟友会等の団体に所属しないとハンター保険に実質入れないという点。
ハンター保険には入れなければ狩猟者登録が出来ないですから(無保険で出来るほどの私財は持ってないので)。
私も調べてみます。
やはりせっかく戴く命ですから、なるべく無駄にしたくないというのが私の気持ち。
そういう点でも期待が出来そうな団体ですね。
この日曜日、第一種銃猟試験受験してきました。
距離の目測が自信ないのがちょっと気がかりです。
他は自分的には完璧な出来栄えだったんですが・・・。
保険や共済がなかったら貯金3000万円以上あることを証明、でしたっけ。3万円ならあるけどなぁ。( ̄∇ ̄*)ゞ
猟友会でなくてもたまに銃砲店とか射撃団体とかがハンター保険の加入窓口を持ってたりするけど、まれですね。
僕の時は事前講習を受けていたので、事前に正確な距離を教えてもらえました。けど、距離目測以外が完璧なら大丈夫でしょう!(・∀・)
良い感じですね!
私の関心事項は、会費の安さよりも保険の費用と、補償金額です。
私が最初に所属した地域では、保険料がバカみたいに高いくせに、保証上限が一億でした。次に所属した地域では、保険料が前回よりはるかに安かった上、保証上限が二億でした。
自転車事故で年寄りが死亡した裁判で、判決が9000万円台。働き盛りの若い人を巻き込んでしまった場合は、1億を超える賠償金も出てくる事でしょう。
費用全般が安価なのは嬉しいですが、補償金額が十分に高額な保険を斡旋して頂けると嬉しいですね!
こっちは数年前までは対人3億円で掛け金は1970~3560円。今は対人5億円で4000~6000円です。個人的には1970円の3億円で良かったんだけどなぁ。けどそちらの1億円ではちょっと不安ですねえ。(´・ω・`)
会費は大日本5,000円(うちの支部端数が嫌いなんですww)
県が5,000円と支部10,000円+総会費(猟期前の飲み会)5,000円です。
支部は保険込み、総会費は出欠関係なく取られます(笑)
ハンター保険あるから猟友会しか方法が無いんですよね
自動車保険の特約?の個人賠償で押し切った知人がいますが
「県に1か月間毎日電話したった!」そんな気力ないし・・・
というか、まさかの時に保険でないのが一番怖いし
ああ。4800円→5000円になってるんですね。半端なお釣り出なくて受け取る側からすると楽なんでしょうねw でも支部会費たけー! ( д) ゚ ゚ これは…僕なら脱退を考えるかも。orz
ハンター保険、以前は個人でも加入できたそうです。が、それ目当てで免許を取ったペーパーハンターからの不正請求が多かったとのことで、団体からでないと加入できなくなったと聞いています。銃砲店とか有志の射撃団体が猟友会に入らずに狩猟している人のためにハンター保険の加入を請け負ったりしている場合もありますよ。
総会費が!そうかいひが!
総会費負担金10,000円になってた~!!
ハンター保険のグループ
今年分はすでに締め切ってるグループがありますね
バタバタ移籍して変なトコでも困るし・・・
1年間真剣に考えよう
真面目に考えよう
総会費負担金というのがこちらにはないです。地域によってちがうんですね…(´・ω・`)
発足してまだ間もない団体なので、とりあえずは静観がよろしいかと。どう転ぶかわからないところがあります。
猟友会を脱退したハンターが笑顔で加入できる団体になってくれればいいですね。