苦労の多い有害鳥獣駆除。盛夏の猟場を歩いてみた。
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最終更新日:2016/10/18
狩猟よもやま話
来年からはもしかすると有害鳥獣駆除のメンバーに入るかもしれない。受けるか受けないかはまだ決めてないものの、そうなれば猟期外、夏場なんかにも出動することがあるだろう。
ということで、盆休みを利用してシシの猟場を見てまわることにしました。まぁ、だいたい想像はついてるんですけどね。(´・_・`)
真夏の里山。風景は素晴らしい。「菊次郎の夏」のテーマが聞こえてきそうな。
しかし、有害鳥獣駆除の現実はそう甘くはありません。orz
集落から猟場へ入ったあたりの道。右手は草に埋もれて見えにくいですがガードレールがあり、その外側もよくシシが走る場所だと聞いたのですが、この草勢ではシシが走ったとしても姿などまったく確認できなさそう。
冬場は枯れススキが多少残っているぐらいなので見通しはそこそこ良好なのですが、この時期の草むらは高さも密度も冬場とは段違いです。(x_x)
さらに山の奥へと入っていきます。強まる蝉時雨の雨足。
このへんはまだましだったものの、もう少し奥へ入ったあたりは左右から道の中央あたりまで草がグワッとせり出していて先が確認できず、写真を撮っている余裕がありませんでした。路肩なんかまったくどうなってるかわからない。
こんなところで道を踏み外して立ち往生なんてことになったら・・・。携帯も圏外だし、単騎なので誰かを呼ぶこともできません。あ、そういや無線持ってくるのも忘れてる。orz
ここもシシがよく横切って山の方へ逃げていく場所で、冬には獣道がよく見えていたポイントなのですが・・・今はまったく見えません。撃てる場所が非常に限られてきそう。
そして夏場はなんといっても虫!
上の画像はウシアブ。刺します。二酸化炭素か熱源、またはその両方に反応するらしく、こいつのいるところで車を止めると非常に短時間、5秒か10秒もすればすぐに車にたかってきます。アシナガバチよりサイズも大きくてわりとビビリます。
他にもヤマビルであったり、
マダニなんかも超活発に暮らしています。こないだ北海道で23年ぶりにマダニが媒介する脳炎の発症報告があったばかり。マダニは重症熱性血小板減少症候群(SFTS)も引き起こすし、ハンターのブラックリストに載っている害虫です。ヤマビルなんかは何も媒介しないようですが。
マムシのいる猟場も多いでしょう。
待ち場でじっと待ってる時ならともかく、待ちを切られて急いで移動してる時なんかは足元の注意も散漫になっています。そんな状況で一匹のマムシを発見できるかと言われれば僕は自信がありません。
この時期に山に入るなら、虫除けスプレーなんかに加えて
こういったポイズンリムーバー(注入された毒液を吸い出す道具)もあると安心ですね。
この時期はこいつもいるんだった!! うわあああああ!!! ((( ;゚Д゚)))
銃猟で有害に参加するにはそこそこの経験や推薦が必要だと聞いたことがありますが、さもありなん。
見通しがとても悪かったり、熱中症になるほどの暑さだったり、吸血・不快昆虫のおかげで平常心を保つのが猟期の狩猟より格段にむずかしそう。初心者でなくてもタフなシチュエーションです。
どうせなら自分の趣味が世のため人のためになればなおいい、と普段から考えてはいますが、それだけでこのハードなミッションを乗り越えるのはきびしいですねぇ。
ただ、有害に参加すると装薬銃の所持許可更新時の技能講習が免除されたり、その都道府県での狩猟税が減免されたりといったこともあるので、メリットデメリットをよく吟味したうえで考えていきたいと思います。狩猟税高い。(´・ω・`)
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Comment
暑いさなか、ご苦労様でした。
コチラ尾道市因島地区での、グループの有害駆除は、7月-8月は夏休みです。数人で行くか、ワナでの駆除が主流です。7月8月は、ウリ坊が独り歩きを始めるので、箱ワナに良く掛かります。
アブには困りますね。蚊は蚊よけスプレーで多少防げますが、アブは笹や小枝を持って振り回し追い払わないと刺されます。
暑さ対策には、ペットボトルの飲料水を凍らせて、懐に2本ぐらい入れておきます。体温が上がって来たと感じたら、わきの下に挟んで体温を下げます。日陰でも湿度が高いと、動かない状態でも熱中症になります。
ペットボトルの氷が解ける、1時間から2時間で山から下り、車でクーラーをガンガンに掛けて休息をとりましょう。猟犬も1時間ぐらいしか、体力が続きません。
イノシシに走られたら、水場で待っていると、ひょっこりイノシシが水を飲みに来ることがあります。
まあ、夏場はワナ猟がお勧めです。
僕も同じことを考えてました。この状況で銃猟にこだわることもないだろう、と。効率と負担を考慮すれば夏場は罠がよさそうですね。あの緑の地獄の中を歩き回る気にはなれません・・・。( ̄∇ ̄;)
ここ数日の暑さは、これから毎年続くのでしょうね。シシシカが増殖するのは、夏場の駆除出動が年々減ってる事が最大原因です。春に生まれたウリ坊を可哀そうでも捕獲しないと、2年後には4頭増加です。ヤル気満々がここに居るのですが、当地では80過ぎのジジイ5人が講習免除と税金逃れに駆除員資格を離しません。農林課の若い職員も分かってるのですが、田舎の悪い処です。
温暖化で冬の寒さがやわらいで冬を越すのも簡単になってるそうだし、耕作放棄地が増えて活動範囲も拡大してるし、害獣が増殖する原因はいっぱいありますね。人間おされっぱなし。
有害鳥獣駆除のシステムはうまくいってるところとそうでないところがあるようですね。聖域だらけの印象。
SFTS、怖いですね。厚生労働省によると、患者報告に至っていない県でも、マダニや野生動物からSFTSウィルスが検出されていて、患者発生する可能性が十分にあると言うことです。以前、ブログでご紹介いただきましたような、十分な対策が必要ですね。
ちなみに当県や近隣県では、患者はいなくてもマダニから同ウィルスが検出されていて、その他、ダニが媒介する疾患が報告されています。怖いですね。
毒ヘビ、中枢側を軽く縛って、すぐに救急隊に電話することをお勧めします。自分で病院に連れて行っても、血清を在庫していない病院では対応しきれません。あらかじめ救急隊に電話して毒ヘビの可能性を伝えておくと、対応出来る病院を探してくれます。
神経毒とリンパ毒とで縛る、縛らないという論議がありましたが、どちらも軽く縛ると良いという医学的根拠がでました。
でも、すぐに救急隊と合流出来る地区なのか、山奥で時間がかかるのか?で対応も変わりますね。救急対応ノートを作って、猟場によって救急車に来てもらえるような場所、目標物、座標を記録しておくと良いと思います。
なるほど。自分で足しばって手近な病院へ行こうと思ってましたが、血清がない可能性もあるのか。頭になかった。救急車呼ぶ時に伝えるのが一番よさそうですね。いいことを聞いた、ありがとうございます。(・∀・)
しかし真夏の猟場は思ってた以上にハードでした。あの中へ入っていこうとは思えない・・・orz
車で入れる所なら、まだ獲物を出すのは楽ですね。
今、山はムシムシパラダイスですね。
私は、猟場の下見がてらに、バイクで山に行きました。父は、その道を行けば隣町まで行けるとと言っていたのですが、倒木や、道が崩れてたりで、えらい目に合いました。(もう少しで、カブを崖下に落とす所でした。)
うちの田舎では、有害をしようと思ったら、地元の猟友会の分会に入らないといけません。
昨日も師匠と話をしてましたが、お金の問題があるので、いろいろと難しいですね。
偉いさん経由で、町の有害に関する規定の改定してもらえる様にお願いはしていますが、どうなるか分かりません。
山の中の道路は昨日と今日でぜんぜん状況がちがったりしますね。路肩が崩れてたり、木が倒れてたりで。無理は禁物です。
有害がうまく機能していないのはハンター側の問題も大きいようです。今ある制度を一度全部白紙に戻して、一から作り直してもいいんじゃないかと思います。状況が昔とはぜんぜんちがうし。
こんにちは。
レインストームをお持ちですので、カラスの有害があれば面白いと思います。私も今年分会の移籍をしまして、カラスの有害を始めることができそうです。銃はもちろん、レインストームです(笑)
鳥の有害は空気銃が最適ですね。レインなら静かだしお役に立てそうですが、鳥の有害で参加できそうなところがないのが玉に瑕です。orz
毒虫の中に分け入るくらいなら、素直に技能講習も受けますし狩猟税もお支払い致します。
数年前まで、部屋にムカデが訪れることがあったのですが、姿を目にしたとたん前進の毛が逆立つのを感じました。
でも、クモはそんなに嫌じゃないんですよね。
こちらの有害鳥獣駆除は、ほとんどカラスが相手です。
一度だけ参加したことがあるのですが、当たった瞬間ほぼ垂直に落下してクチバシが地面に刺さります。下にいて頭に当たると・・・間違いなく角が生えますね。
イノシシの有害はこの時期見通しも悪く、誤射の危険もあるので気をつけて下さい。
ムカデやゲジゲジも好きではないですが「嫌悪」レベルです。で、ジョロウグモやコガネグモ系はもう「恐怖」。僕が何をしたというんでしょうかね。切実に治したい・・・ (´;ω;`)
あ、最近ペットのエサとして飼い始めたので、ゴキブリは手で触れるようになりました。(・∀・)
カラスの有害もよく聞きますね。あとカワウ。狩猟鳥ではないアオサギも対象になるとか。カラスは比較的頭が大きいし、ボソもそうだけどブトはさらにくちばしごっついし、刺さるんでしょうね。(゚д゚;)