風乾にちょっとだけ工夫が必要。夏場の燻製づくり。
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最終更新日:2016/08/22
ジビエ・ワイルド料理
後日作る予定のジビエ料理の材料として、何度目かのイノシシベーコンづくり。夏場の燻製づくりは冬場よりやりにくいところがありますね、おもに気温の点で。
そこを含め、今回はちょっとspinicker流夏場の燻製づくりをおさらいしてみました。
まずはイノシシのバラ肉を用意します。前期のぶんはもう食いつくしていたのですが、班長さんのところへ今年度の狩猟者登録用紙を持っていった際に新たにもらってきたのでした。(・∀・)
これで250~300gぐらい。僕にかかればこれぐらいの量あっというまになくなります。( ´)3(` )
途中まではほとんど冬場と変わらないんですけどね、性格がざっくりしているので。
まずは味付け用ピックル液の準備。水を1リットル用意します。
そして塩を150gと、
きび砂糖70gを準備します。水1リットルに対し塩150g、砂糖70gというのが基本の数字。
ちなみに塩分濃度15%の食塩水というと「水850cc+塩150g」ですよね? 1リットルに塩150gだと13%ぐらいになると思うんだけどな、まあいいか。それでまちがってないらしいし。今度実験してみよう。(´・з・)
塩ときび砂糖に加えてスパイス類を追加して強火にかけます。僕はだいたいブラックペッパー、ローリエ、にんにく、たまねぎを使っています。
ふたをして5分ほど沸騰させたら火を止め、そのまま放置して室温まで冷まします。
十分に冷めたら手頃な容器にあけて肉を漬け込みます。今回は72時間漬けます。
漬け込みが終わったら、今度は塩抜き。このままでは塩辛くて食べれないので、浸透した塩分を脱塩する作業です。
水1リットルに塩10g、濃度1%の薄い食塩水に漬け、浸透圧を利用して塩抜きをします。今回は24時間。漬け込みもそうですが、このへんの時間は肉の大きさだとかで変わってきます。
ちなみに、塩抜きするぐらいなら最初からピックル液の塩分濃度を薄くして・・・というのはうまくいかないそうです。中まで染みこまなかったり、時間をかけて染みこませようとするとその間に素材が腐ってしまったり。
さて、問題はここから。風乾と呼ばれる工程。
本来なら、というか気温の低い時期なら
こんなふうに干物用のネットに入れて、風通しのいい涼しいところで陰干しにするのですが、夏場はそうはいきません。ほどよく水分が飛ぶ前に腐敗します。少なくとも僕の環境では。蒸し暑いです南河内。(;-“-)
なので、
塩抜き用水から上げた肉をキッチンペーパーで包み、水分を押し出すように軽くもんで物理的にある程度脱水してから・・・
これまたキッチンペーパーを敷いた皿にのせてラップをかけずに冷蔵庫で寝かせて乾燥をうながします。温度と湿度が低い冷蔵庫の環境を利用するわけです。
今回はたまにひっくり返しつつ様子を見ながら48時間乾かしました。
ただ、冷蔵庫で乾燥させるのであれば冷蔵庫の脱臭はあらかじめきっちりしておきましょう。不十分だとにおいが肉に移ってしまいます。。。orz
あと、料理する前に手を洗うのは当然ですが、燻製づくりで手洗いが不十分だと、工程の最初から最後までが数日単位になる関係上「雑菌が繁殖しまくる=腐敗する」という結果になることも。
数日の間、手間ひまかけた肉が腐ってしまうとガックリきます。手洗いはしっかりと!
さて、いよいよみんな大好き燻しの工程。この香ばしいスモークの香りがたまりません! (*゚∀゚)=3
僕はなんだかんだでさくらのスモークが一番好き。さくらのチップで30分前後いぶします。
火加減はすぐには反映されず煙の増減には多少のタイムラグがあるので、火力の調整はこまめに。
いい色に仕上がりました。香りも良好、うまそう!
しかし、このスモーカーもハンターになってすぐ買ったものだから、5年ぐらい使ってるわけか。なかなか年季が入ってきたな。( ̄∇ ̄;)
今回のものは写真を撮る前にラップして冷凍してしまったので、以前のものを。今回もこれと同じぐらいのお味でした!
ちなみに、燻製で酸味が強い場合、原因は水分がうまく抜けていないからか、または燻しすぎであることがおもな原因だとか。今までにも何度かありました、気をつけよう。
猟期が待ち遠しいのは確かですが、こうやってスモークの香りを楽しみつつジビエを味わいながら、ゆっくりと次のシーズンに思いを馳せることができるのもハンターの特権。
それほどお金をかけているわけではないですが、これはこれでぜいたくな時間だな、とあらためて思うのでありました。m(_ _)m
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Comment
桜チップはいいですね(・∀・)
塩加減に慣れてくるとソミュール液等は作らず
塩と調味料、ハーブを肉に直接塗し。ペーパーで包んでから新聞紙や灰(灰干し)など
吸水性の高いもので包んで匂いがつかない様にビニール袋へ入れ
冷蔵庫に叩き込み味付けと脱水を同時に行ったりします
まめに肉の上下を入れ替えたり新聞紙や灰を取り替えたり塩を足したりすれば下準備は36時間くらいで完了します
(結局出て行く水分と入っていく味のバランスが全てですので擦り込むのを塩分濃度の低い岩塩にし多めに用いたり砂糖を多めに使う等色々工夫できます)
で
風乾の代わりではありませんが、しばらく外気(太陽光)にさらして温度を常温に戻し燻製機へ・・・
こんな感じで燻製を大量生産していました
とは言え、時短等であまり作業作業してしまうとおよそ「楽しみ」からはかけ離れてしまいますので
お肉がしゃれにならない位大量にある時しかオススメできるものではありませんが(笑)
いろいろ試した結果さくらへと原点回帰しました。(^∇^;)
燻製沼もなかなか深いようで、ちょっと検索かけてもいろいろhitしますね。乾塩法も気になっています。なんか玄人っぽくてかっこいい! (・∀・)
鹿肉が大量に在庫があるので、鹿ジャーキーに近々挑戦してみようと考えています。なぜか今まで試してなかった。。。
>燻製沼
古民家の廃材を探したりハーブを育て始めた辺りから戻れない事に気づきましたが、
調味料はともかくとして、酒を燻す猛者がいることを聞いて自分はまだ片足すら突っ込んでいないのでは?
と思うことも(笑)
鹿ジャーキーレポート楽しみにしています。
酒燻したらどうなるんですかね。すごいお人だ。( ̄∇ ̄;)
鹿ジャーキーはもしかしたら乾塩法を試してみるかもしれません。(・∀・)