カラスと農家と猟師と知性。あなたはカラスを撃つ?撃たない?

公開日: : 狩猟よもやま話

ごみとカラス

唐突ですが、僕は普段クジラ肉を食べない人間です。

なんか昔からあまり好きじゃないんですよねぇ。小学校の頃の給食で出てきた「クジラのノルウェー煮」があまりおいしくなかったのに原因の一端があるような気がします。ちくわばっかり食べてクジラは残してました。orz

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日本人には昔からなじみの深いクジラ肉ですが、(調査)捕鯨に関してはおもに西洋各国から日本は非難を受けがち。おいおいそんなんアリか、って方法も使って、あの手この手で妨害してくるようです。

捕鯨反対派の言い分のひとつに

「クジラは知性が高い。主体的に遊びに興じるほどかしこい。よって捕獲は禁止するべきである」

というのがあると聞いたことがあります。じゃあ賢くない生き物ならいいのかよなんだそのガバガバ理論。

といった反感を抱いていましたが、こういう動画を見てなんか複雑な気分になりました。

一羽のカラスが雪の積もった屋根の上で何か円盤のようなものに乗って滑り下り、止まると円盤をくわえて上まで戻っては再度滑る。まるでスノーボードを楽しんでいるような映像。

こちらはどこかの研究用施設でしょうか、まっすぐな針金では用をなさないことに気づいたカラスが針金を器用に曲げて釣り針のように形成、見事に筒の中からバケットを取り出す映像。エサかなんか入ってるんでしょうね。

こちらは有名、殻の固い野生のクルミを車に踏ませて中身をゲットするカラス。

・・・やっぱりかしこい。かわいい。orz

頭脳

実を言うと、昔からカラスってどちらかというと好きな方の部類に入る鳥なんですよねぇ。頭丸くてつるっとしてるし、かしこいし。(´・ω・`)

ご存じのように、カラスは狩猟鳥。猟友会からも、猟場を歩いているときに話をする農家の方からもできるだけ撃つように頼まれる鳥です。

そういう側面もあって、今までは猟場で撃てるシチュエーションであれば撃ってきました。特にうまくもまずくもなかったからもう食べるつもりはないけど、それがハンターの務めだと思っていたからです。

撃ちたいか撃ちたくないかで言えば撃ちたくないけど、撃つべきか撃たないべきかで言えば撃つべきである、と。

なので何も考えず、好き嫌いは横に置いて、機械的に事務的に引き金を引いてきました。

でも、やっぱり。こういうの見ると撃ちにくくなってしまいます。理屈じゃなくて感情の問題。

なんのことはない、僕の理論も捕鯨反対派の一意見のようにガバガバ理論だったわけです。orz

カラスと農家

カラスを撃とうという気が薄れてきた理由はもうひとつあります。というか、こちらの方が大きい。

廃棄作物

果樹園内のあちこちに転がっている、出荷にいたらなかった果物。これによって動物には「農地=食べ物が豊富でイージー」という知識がつき、ますます誘引の原因となります。

イノシシにおける非意図的な餌づけと被害問題仲谷淳(中央農業総合研究センター)

こちらのページに非常に興味深く、わかりやすいデータが掲載されています。こういった野生動物にとって手軽に食べられる作物のある場所はある意味ボーナスステージみたいなものです。

猟場を歩いていると、こういう光景をまま見かけるんですよねぇ。自分たちで原因を放置しておきながら困ったら「殺してくれ」と。

はっはっは。やなこった。( ゚д゚)

農家には農家の思惑があって簡単な問題でないのは理解できます。

売り物にならなかったものにそれ以上手間ひまかけてられんのでしょう。自分でみかん山を維持するシミュレーションをちょっと頭の中でやってみただけで素人ながらにうんざりする作業です、確かに。orz

人間、誰だって楽したいものです。僕だってそうです。(´・ω・`)

けど同じように、猟師には猟師の思惑だってあるわけで。

確かに猟師は獲物を撃つけど、撃ちたくないものは撃ちたくない。獣たちは農家サイドからすれば憎いのだろうけど、こちらからすると別に憎いとまではいかない。自助努力にも乏しいように見える。
撃ってくれと言う前にすべきことがあるんじゃないッスか? こっちだってメリットのとぼしいことはしたくないッスよ?

というのが猟師サイド、というか僕の思惑です。

さて、猟期はもう間近ですが、今期はカラスどうしましょうかね。撃とうか撃つまいか。

…あなたはカラスを撃ちますか、撃ちませんか?

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Comment

  1. 藤屋 より:

    私は撃ちます。農作物の被害を身近に見てるから、カラス撃ちの日を決めて出猟します。カラスもですがカワウも賢いと思います。サギを見張りに使ってるのをよく見ます。鮎シーズンには毎日でも食べたいのですが、年々高く成ってシズン中に2回食べれたら良いほいですね。猟期には我が家の家計を苦しめてるカワウを主体で狙いますが3年で5羽しかやっつけてません。

    • spinicker より:

      当地ではアオサギが多いのですが、やつらの警戒心はすごいですね。場合によっては100m以上先で飛ばれることも。それにともなって周囲の鳥も警戒するので、僕はアオサギを「空飛ぶ警報機」と名付けています。orz

      カワウもなかなかの困ったちゃんのようで。コロニーはたしかにすごいことになっています。撃とうか撃つまいか。今年はどうしようか。まぁ、現場で撃てる状況で出会ったときに考えます。( ̄∇ ̄;)

  2. ヒロポン より:

    いろいろな考え方が有りますね。
    ただ、狩猟をする野山は個人所有の場合が大半ですから駆除で所有者との関係を有効に保つ事も必要なのでは無いでしょうか?
    まあ、犬は撃ちたくありませんが、、

    • spinicker より:

      農家:有害鳥獣を撃ってもらう←→猟師:場所・機会を提供してもらう

      …という形がギブ↦テイクの基本形ではありますよね。そのへんに廃棄してる農家さんばっかりじゃないし、知り合い農家さんは感じのいい人ばっかりなんですが・・・。どうしてもモラルのない行為の方が印象に残ってしまいます。(;-_-)

  3. nb より:

    ふつう収穫物は家に持って帰って選果して初めて売りものになるならないが決まります。
    キズものでもそれはそれで加工用の売り先があったりするし。
    畑に大量に放置してるのは、もう明らかに熟れすぎてしまった、完全に収穫のタイミングを逸してしまったということです。
    持って帰るまでもないので枝から落とすだけという。
    儲けるためにやってる人ならわざわざ元手をかけたものを無駄にするような、そんな損なことはしない。

    じゃあどういう人が放置するのかと言えば、老齢で手が回らなくなった人。
    長年やってきたものを全部すっぱり片付けて更地にしてしまうのもなんだし、商売にならなくても身体を動かすためにやってる、とれる分だけとれればもうそれでいいやといったような人です。あるいは定年後の趣味程度にやってる人。
    つまり、ラクして儲けたいという考えで果実を放置して鳥獣を誘引している、その上で鉄砲うちを頼りにするというような、虫のいいというよりバカな人はさすがにそうそう居なかろうということです。

    まとめて書くと
    自分が儲けるためにやってる人=有害鳥獣駆除を歓迎=そもそも自衛している
    半リタイア状態の老人=鳥獣駆除も別にどうでもいい=手が回らない分は放置してる

    ハンター同様、後継者不足という大きな構図の中の一場面ということですね。

    • spinicker より:

      加工品にすらならないほどの傷物か何かだと思ってたのですが、それにしては大量に放置されてるので不思議に思ってましたが・・・そんな背景でしたか。

      でも隣近所の地所に普通に稼ぎたい農家があれば、そういう人は問題になりそうですね。離れ小島で一人でやってるならともかく、地続きのところだと誘引の影響は近くの土地にも及ぶわけだし。農業の闇を垣間見た気がします。勉強になりました。(´・ω・`)

  4. 北摂の猟師壱号 より:

    今のところ食わないし金にならないので撃ちません。

    • spinicker より:

      そうですよ(´・ω・)(・ω・`)ネー

      そこは人間のやることなんだし、なんらかの形でメリットがないとがんばれないですよねー。僕が聖人君子ならよかったのですが、残念ながら。(´・ω・`)

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