狩りバカ日誌 2018年3月11日(散弾銃・流し猟&グループ猟)

公開日: : 最終更新日:2018/03/21 狩りバカ日誌2017

晴れ 14℃0℃

狩りバカ日誌2018年3月11日

グループ猟最終日の今日。朝一番は林道流し猟からスタートする。

去りゆく猟期を惜しんでの前夜の酒盛りは、副作用として少々の頭痛を置いていったが、そんなものに負けている場合ではない。準備をととのえると猟友のジムニーの助手席に乗りこんだ。

巻き狩りで入っている山よりさらに高度の高いエリアの林道に向かうことにした。

鹿師匠によると、数年前まではよくシカの姿を見たけど最近はあまり見なくなった…が、今期から再びぼちぼちと戻ってきつつあるようだ、とのこと。シカの居場所も状況によって少しずつ変わってくるらしい。

といったことを話には聞いていたけど実際に自分の目ではまだ見ていないので、来期への布石がてら入ってみよう。

四駆Lowの軽い駆動音を響かせ、ジムニーはゆるゆると林道を行く。運転席と助手席から、四つの目を光らせながら。

運転しながら獲物を発見するのは、水場で浮いているカモ猟ならともかく、林床を監視する大物猟となるとなかなか難しい。

まず、エンジン音で獲物の発する音が消えてしまう。次に、ルーフやピラー等が死角になる。最後に、山奥で脱輪などすると大変なのでやはり運転第一になり、集中力のいくらかしか獲物発見には回せない。

が、流し猟にはそれを補って余りある機動力がある。同じ時間であれば、見て回れる範囲は忍び猟とは比較にならないほど広い。車から近い獲物を撃つことになるので、回収や運搬が楽になるのもメリットだ。

林道とはいっても公道にはちがいないので射撃には留意する必要があるものの、シカの流し猟は効率だけを考えればこれに勝るものはない。面白みには欠けるけれども。

林道へ分け入って数百メートル。運転席側の斜面をサーチしていた猟友がつぶやいた。

「…シカの背中が見えた気がする」

その数秒後。

「やっぱり! おる! おる!」

小さくも力強いささやき声に、山側の斜面に目をこらす。まだ薄暗い林の中で、正面をさらし、こちらをじっと見つめている二頭のシルエットがかろうじて確認できた。猟友はよくこれを発見できたものだ!

運転席側はシカたちから丸見えなので、少し戻ってもらい、死角を利用して助手席側から僕がこっそりと出て林へ進入する。

狩りバカ日誌2018年3月11日

すぐ目の前にあった杉の木の後ろに隠れつつレスト、60mほど先でたたずむシカの胸にSD-33の赤いドットを照準する。

シカたちは車に気を取られているようで、僕には気づいていない。余裕をもって狙える。薬室には一発しか入れてないけど、これはもらったやろ!

ズドーン!

フェデラル製12番サボットスラッグをまともに食らったシカは一瞬驚いたように跳ね上がったが、蹄は地面をとらえることなく、そのまま横倒しに倒れた。即倒! 猟友と顔を見合わせ、サムズアップ! ( `・∀・)b

しかしここからひと波乱あった。即倒してこと切れているはずのメス鹿の姿がないのだ。

なんで? どこ行った? 実は当たってなかったとか?

いや、倒れたのは猟友も確認している。だからこそ目を離してすぐに回収に向かったわけだが…その間に立ち上がって走ったと考えるのが妥当か。そのへんを探してみよう。

狩りバカ日誌2018年3月11日

ふと目を落としたその先に、わりと新しいシカの足先を発見した。

…????? なんじゃこりゃ? なんでこんなとこに? まさかさっきのシカの足か? 足に当たって足先だけ残して逃げたとか???

いや、そんなわけはない。やや撃ち上げで足先なんか見えてなかった。これは関係ない。ただのものすごい偶然、のはずだ。

なぜか落ちていた足先から離れ、周囲を再捜索するもなかなか発見できず。

まさか…半矢で逃げられたか? まともに当たったように見えたのに。手応えはあったぞ。どこへ行った…!

「あー。あったあった」

狩りバカ日誌2018年3月11日

猟友が発見してくれた。被弾場所から40mほどの距離のところで倒れていたのだ。

ということは、一旦倒れたけど起き上がって少し走ったということになる。即倒でもしばらくは観察せにゃいかんなぁ。ひとつ学んだ。

傷を確認する。弾は胸の正面から入り、背中の後ろの方から抜けていた。60m先からシカ成体の体をほぼ縦に貫通する12番サボット弾の威力。おそるべし。これでも立ち上がって走るんだなぁ。すごい。

狩りバカ日誌2018年3月11日

巻き狩りの開始時間が迫ってきているので、僕より仕事の達者な猟友を手伝う形で解体作業を進める。なんとか間に合いそうだ。僕だとこうはいかない。

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流し後の巻き狩りはハプニングの連続だった。

狩りバカ日誌2018年3月11日

まず、今年から猟に加わった若い猟犬が(ほぼ)単独でシカを止めた。

河原から上がってこないので確認に行くと、倒したシカに咬みついているところで、シカはすでに虫の息だった。ナイフで止めを入れる。血抜きとして死んだシカの心臓を刺したことはあるが、息のあるシカにナイフを入れるのは初めての経験になった。

シカの前足には、河原へ飛び下りた際にできたであろう骨折があった。普通に考えれば、当才ならともかく、おそらく二歳であろうこのシカにはよほど俊足の猟犬でない限り追いつけないはず。この骨折のために逃げ切ることができなかったのだろう。

狩りバカ日誌2018年3月11日

そしてもうひとつ。初めて獲物を倒して興奮していた猟犬に僕を含めた二人が咬まれてケガをした。

僕は厚いジャケットの上からだったのでこの程度で済んだ。が、この犬の親方であるもう一名は直接手を咬まれたので、僕の手持ちの救急キットで応急処置の後、病院へ行く羽目に。持っていてよかった。

いくら普段はおとなしくても、獲物に咬みついて興奮している猟犬を抑えるのは一筋縄ではいかない。ということを学んだ。今回は自分で倒したという意識があるのでなおさらだったことだろう。

来期に向けて、勉強になる、また記憶にも深く残る一日となった。


【本日の猟果(流し猟)】
発砲 1
捕獲 1(シカ♀・60m杉の木レスト)


【本日の猟果(グループ)】
発砲 0(うちspinicker 0)
捕獲 シカ♀1(うちspinicker 0)

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Comment

  1. 月光 より:

    鹿二頭おめでとうございます。
    猟犬に噛まれての怪我、お大事になさって下さい。
    猟犬の親方の怪我の具合は分かりませんが、そちらもお大事になさって下さい。

    • spinicker より:

      ありがとうございます!(・∀・)

      僕の方は問題ないです。もうほぼ癒えています。親方(といっても女性です)も包帯グルグルではありますが、後遺症等の大事には至りませんでした。それどころか「うちの犬は猟犬としてはおとなしすぎると思ってたので、これぐらいの方が頼もしい」と剛胆なことを言ってました。あの子もたいがいいい根性してる。。。(;・∀・)

    • 月光 より:

      それは豪胆!惚れてしまいそうですね(*≧∀≦*)

  2. monndou_n より:

    今期は、大量でしたね。おめでとうございます。
    やっぱり、紀州犬はきついですね。
    興奮して、飼い主まで噛みに行くとは。

    うちのチームの犬は、昨日もイノシシに首を刺されて、血だらけになってましたが、治療する間は、大人しくしてました。
    傷口を縫い終わってから、まだ手足を押さえてたのですが、早く離せとばかりに、手を噛まれてしまいました。(こっちは、たいした傷ではないです。)
    犬があっての巻狩りですから、お犬さま様ですね。

    • spinicker より:

      普段はただの犬っころなだけに、獲物にからんだ時の激しさはギャップ萌えどころじゃありませんでした。猟犬を甘く見てました。orz

      シシ猟は犬のケガが大変ですね。僕はもうケガする犬を見るのが耐えられそうにありません…。自分がケガした方がマシです。。。(´・ω・`)

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