狩りバカ日誌 2020年1月12日(散弾銃・単独忍び猟)
公開日:
:
最終更新日:2020/02/06
狩りバカ日誌2019
晴れ 9℃/2℃
四か月の猟期もほぼ半ば。今期は好天に恵まれることが多いのはありがたいけど、どうも気温が高くて雪もほぼ積もらず、こうなるとなんか気合が乗らないというか、猟期っぽくないというか。出猟するけど。

気合が乗らないといえば、何があったかはわからないが、昨期の神シシ猟場が今期はさっぱりダメだというのも大きい。半ばを過ぎてもいまだに新規猟場の開拓ばかり、それも空振りというかイマイチなとこばかりにたどり着いて、こんな感じで忍び猟には適さない山ばかりが目の前に現れる。今期はまだ三度以上入った山がほぼないんじゃないか。

それでも、獣道をたどって広葉樹林帯と表示されているエリアへ地図をもとに入ってみると、雑木、急斜面、深い藪。
シシ猟隊で修業していた頃の待ちはこういう場所ばかりだった。こんな地勢には確かにシシは多いことを僕は知っている。けど忍び猟だと、シシに気づかれる前にこちらが気づくのが至難なのだ。
結論、この山も難しい。次はまた別の山に入らねばならない。猟場難民だ。
しかし効率ばかりを追い求めていると、この行程が単なる作業になってしまう。好猟場は宝物みたいなものだから、「宝探し」をしているようなイメージで時間をかけて楽しめばそれでいいのだ。(・∀・)
この山は午前で切り上げて昼からは別のところへ行ってみるか、と下山。ゆるやかな大尾根を下っていた時。右の小尾根のてっぺんから、見覚えのある二つの突起が突き出ている。記憶のデータベースと照合してみる。あれはシカの耳であるとの結論に到達した。

その直後、挙銃する暇もないほど短い時間が過ぎる前に、まず一頭、その直後からもう一頭のメスジカが姿を現した! 距離は近い、30mもないだろう。
小尾根からこちらへ出てくるとほぼ同時に、何やら違和感を感じたものか、二頭ともこちらを凝視して動く気配がない。バレてはないが疑われている…!
このまま木化けしていても、素直に警戒を解いてまた歩き出すとは限らない。目は疎いと言われているシカだが、こっちは完ぺきに化けているつもりでも、凝視モードに入るとちょっとのほころびでも見破られ、走って行ってしまう。その時に今のように銃を抱いたままの態勢だと非常に不利だ。ちょっとずつでも装填・挙銃の姿勢に持って行かないと…
こっちは完ぺきにやったつもりだが、今回は獣の能力が上回った。薬室を開けた時の小さな金属音が聞こえたのだろう。そのあたりで前の一頭がダッシュで逃走、もう一頭もそれを追う形で姿を消し、何もない空間に銃を向けるハンターがただ一人残された。
だがこちらも八度目の猟期を迎えた、ぼちぼち中堅に差し掛かろうとしている猟師。過去には猟場で色んな経験をしている。「ターゲットに目を奪われるあまりに、その周囲にも何頭(何羽)かいるのを見落としていた」というのもそのうちの一つだ。今回はそのことが脳裏をよぎった。シカたちの登ってきた小尾根の先には、後続がまだ何頭かいるかもしれない。

いつもならすぐに動いてしまうところだが、その可能性に賭け、迎撃態勢を整えたまましばらく待機してみる。
はたして、その読みは数十秒後に報われることになる。 小尾根の向こうにもう一頭、メスジカのシルエットが浮かび上がった。二頭の走り去った方向を見ているのだろう。首から先と腰から後ろは木の陰で見えないが、バイタルは丸見え。
”待”ってたぜェ!! この”瞬間”(とき)をよォ!!
左前脚の付け根にスコープのドットを合わせて静かに引き金を絞る。轟音とほぼ同時に斜面を転げ落ちた。

45キロほどのこのへんでは平均的なサイズだった。

左前足の付け根、ほぼ狙い通りの場所に当たっている。立射とはいえ静的だし20mかそこらだろうし、さすがにこの状況では外さない。

解体を終えて下山する。
僕はこの、忍び歩く必要がなくなってお気に入りの音楽をガンガン流しながらミートバッグを担いで下りる時間が大好きだ。緊張からの解放感、作戦がうまくいった達成感、森を歩く爽快感、味への期待感。いろんな感情が祝福してくれる。ハンターにしか味わえないのがこの時間だ。
次回はシカもいいけど、ぜひともシシをしとめてこの時間を味わいたいものだ。
【本日の猟果(忍び猟)】
- 発砲 1
- 捕獲 1(シカ♀ 20~25mぐらい立射・バイタルショット)
- 時間 11:00ごろ
- 地勢 東向き・雑木林と針葉樹林の境界
- 装弾 レッドバードスラッグ弾(ターゲットロード#12)
関連記事
-
-
狩りバカ日誌 2019年12月15日(散弾銃・単独忍び猟)
晴れ 10℃/3℃ 昨期の順調さからは一変、今期は不調の続く大物猟。遠征先でシシの痕跡を見てい
-
-
狩りバカ日誌 2019年11月2日(散弾銃・単独忍び猟)
晴れ 20℃/8℃ 今年で八度目となる初日の夜明け。八年目ともなるともう慣れたといえば慣れた。
-
-
狩りバカ日誌 2019年11月21日(散弾銃・単独忍び猟)
晴れ 10℃/-4℃ 猟場からシシの痕跡が激減した原因の調査は今日も続く。
-
-
狩りバカ日誌 2019年11月18日(散弾銃・単独忍び猟)
晴れ 14℃/4℃ 15日をもって、本拠地奈良県の猟期も開幕。いよいよ気合が入ってきた
-
-
狩りバカ日誌 2020年2月20,21日(散弾銃・待ち伏せ猟)
2月20日 晴れ 13℃/4℃ 昨秋の台風の影響に加え、このところのコロナウイルス禍の影
-
-
狩りバカ日誌 2020年1月3日(散弾銃・単独忍び猟)
曇り時々雪 5℃/0℃ 近場(車で1時間前後)での理想の猟場探しは今日も続く。今回入るのも初め
-
-
狩りバカ日誌 2019年11月9,10日(散弾銃・単独忍び猟)
晴れ 18℃/6℃ 11月9日 先週の初出猟では、昨期に山ほどシシの痕跡があった