「哺乳類のフィールドサイン観察ガイド」書評!
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書評
ハンターになるまではそれほど意識しなかったことですが、ハンターになってから注意しながら猟場を歩いていると、じつに様々な動物の痕跡を見ることになります。
その「痕跡」と一口に言ってもこれまたいろいろありますが、足跡なんかもそのひとつ。たとえば、こんな感じで。
河原の湿った川砂に刻まれた、直径2,3センチの小さな足跡。短いながらもしっかりした5本の指が、ぱっと広がったような形。十中八九、イタチの足跡ですねこれ。
イタチもオスは狩猟鳥獣、識別できるようになっておいた方がいい足跡です(僕は撃つつもりはないですが)。
イタチに限らず、「これは○○の足跡だ!」というのが識別できればその動物の行動が割り出せますし、それがお目当ての獲物なら捕獲のチャンスも増えるわけです。ハンターたる者、動物の足跡を覚えておいて損はありません。
僕はこの本を手に猟場を歩くことで覚えました! ^ ^
この本はタイトルどおり、日本に住むおもな哺乳類の、足跡のみならず「フィールドサイン」がたくさん掲載されています。食痕とか糞、巣。その動物がそこにいる、そこにいたという証拠、それがフィールドサインです。
しかもそれのみではなく、対象の動物が主に使う獣道の特徴とか、巣穴周辺にある遺留物なんかも実際の写真つきで掲載されていて、特にハンターを対象とした書籍ではないようですが、十分に参考になる一冊です。
これはイノシシのページですが、この見開き2ページだけ見てもミミズ、どんぐり、サワガニ、オニグルミ、葛の根っこ、タケノコ、かぼちゃの食痕、それに地面を掘った痕が載っています。盛りだくさん! もちろん足跡もばっちり載ってます。
掲載されている動物の種類も豊富。狩猟獣はミンクを除いて全種が登場します(ヒグマはツキノワグマのところでちょっと触れているだけですが・・・)!
猟期にこれをやると時間を取られるので、僕は猟期外の猟場見回りの際にこの本を参考にしながら歩いています。見慣れないフィールドサインがあったら参照、同定。また見つけたら参照、同定。わかると楽しくなってきます。(・∀・)
この本のおかげで「おっ、これはヌートリアの糞! こっちは足跡! まだ新しいな、このあたりに住んでるんだな!」と、姿そのものは見なくても生息を突き止めたこともあります(残念ながら猟期に入るといなくなっていましたが)。買ってよかった本のひとつです。
個人的評価 ★★★★★★★★☆☆(8/10点)
いい本なんだけど、微妙に高いんですよねぇ。(;-_-)
専門書とまではいかないけどあんまり一般的な内容でもないので仕方ないのかな。気になった方はお求めになっても損はしない内容ではあると思います!
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