意外な歴史の事実。江戸時代の農民は武士より多く鉄砲を持っていた!?
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最終更新日:2016/04/23
暮らしよもやま話

自分自身が銃猟をするようになり、また狩猟に関するブログなど開設していると、銃の所持にまつわるいろんな話を見たり聞いたり体験したりするようになります。
そういったいろんな話の中には「日本の銃許可制度は厳しい!」という声もあったりして、
「まぁ確かにそうだな、もうちょっと手続きが簡単だったらなぁ (´・ω・`)」
とも思う反面、これぐらいでいいんじゃないかと思うこともあります。
僕自身が銃を所持している身ですが、もし仮に明日、隣の空き室に銃を所持している人が越してくるとなったら、
「おいおい大丈夫か、まともな人間なんだろうなそいつは。(´・ω・`)」
なんてふうに多少は考えてしまうところもありますし。銃に縁のない暮らしをしている人からするともっとそうなんでしょう。厳しめぐらいでいいのかもしれません。面倒だけど。(-_-)
農村には城より大量の鉄砲があった!?

日本の治安が良好である原因の一つに「豊臣秀吉の刀狩り以来の銃器の所持・使用の規制」が挙げられる、と僕が受検した当時の猟銃等取扱読本にあります。
しかしつい最近、本当にそうだったのか? と思わせるような江戸時代の農村における鉄砲事情について偶然目にすることがあり、驚いている次第です。
以前にも紹介した、長野県車山高原のリゾートイン「レアメモリー」さんが制作されたシカの生態についてのwebページを読んでいたときのこと。おもしろい表記がありました。
17世紀後半期、農村は急速に耕地を拡大させました。そのため、害獣駆除用の「農具」としての鉄砲が大量に普及しました。「鉄砲改め」は繰り返し行われたようですが、「農具としての鉄砲」は、むしろ増加しています。
ほうほう。昔の人も獣害には悩まされていたのか・・・って、え? 農村の鉄砲って増えてたのか。僕の知ってる歴史とちがう。(´・ω・`)
江戸時代は基本的に農村のことは農村で管理していました。実務は全部、庄屋を始めとする豪農・地主が会合を開いて決めていました。銃の管理も、最終的な文書としての届け出は幕府や藩にしましたが、領主側が農村に立ち入ってまでの検分は滅多にしなかったようです。江戸時代を通して百姓たちは、武士よりも多く鉄砲を保持し続けました。
(゚o゚)
しかも武士は城内に大事に保管するだけで、殆ど使うことがなかったのに対し、百姓たちは実際に野鳥やクマ・イノシシ・シカ・オオカミなどを駆除していました。猟銃が数多く村に保持されながら、鉄砲相互不使用原則があって、百姓も領主も一揆で鉄砲を使うことを自制していました。19世紀に入ると、状況は一変しますが、それでも領主側が、鉄砲不使用の原則を逸脱した事例は殆どなかったようです。
ほほー。一揆といえば竹やりのイメージだけど、その醸造に鉄砲相互不使用原則が一役買ってた、と。
一揆を決行するってことはかなり追い詰められて食うや食わずやって状況なんだろうに、そんな時でも最後まで人には向けなかったんだな、昔の農村の人。しまいにゃ向けたみたいだけど。(´・ω・`)
しかし、一見ハートウォーミングなこのお話。はたして正確な情報なのか?
という点を自分なりに調べてみたところ、「百姓一揆における鉄砲相互不使用原則の崩壊」という論文記事を発見。また、中京大学の教授が公表している「幕末瀬戸内農村における鉄砲売買の実態と特質」というレポートにも行き当たりました。
これらによると、たしかに農村には多くの銃が存在していたようです。「隠し鉄砲」の存在と、何より幕末にあったという銃所持の規制緩和(というか奨励?)が在村鉄砲数を底上げしていた様子。
上記レポートによると、元治元年(1864年)のとある村には、

283戸の農家に82挺の鉄砲があったそうです。確かに多いな。
後半では幕末期の鉄砲売買に関するデータが載っていて、一挺がだいたい2~3両、今の貨幣価値でざっくり換算すると5~10万円ほど? で取引されていた事実も確認できます。非常におもしろいデータでした!
他にも、書籍では
こういったものがあったりで、先祖が暮らしていた頃の農村では、現代人が考えるよりは銃が暮らしに根付いていたもよう。意外や意外。
先祖といえば、血は争えないもので、父親が僕が生まれる前にハンターをやっていたことを知ることなく、僕もまた気づけばハンターになってました。
もしかしたらspinicker家の祖先は、昔の農村で鳥獣の駆除をしていた人なのかもしれません。8割は農民だったわけだからおそらくご先祖様も農民だろうし。
が、残念ながら僕が子孫を残す可能性は著しく低いので、このハンターの血統もどうやら当代限りで途絶えることになる公算が大です。はっはっは。がんばって単為生殖してみようかな。orz
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Comment
私は、近所の人に、警察が私の事云々とお願いしたら、よく分からないので、嫌ですと言われた事があります。
近所付き合いて大切と思い知らされた案件でした。
今日、OHAの講義でもありましたが、江戸時代ぐらいの人は、高い石垣を積んで獣害を防いだそうです。戦後の雌鹿捕獲禁止と、猿の非狩猟獣化で今の獣害被害があるそうです。やっぱ、適度に間引かないといけないなと思いました。
本日は、テレビ局の取材が入ってました。それだけ注目されてるという事なんでしょうが、カメラマンが行ったり来たり。集中出来ませんでした。
OHA始まりましたか。石垣といえば、山の中でなんでこんなとこに石垣があるんだってとこがありますが、もしかするとそういう時代の名残だったのかも。なるほど。(゚o゚)
狩猟ブームもそれはそれでいいことですけど、一過性のもので終わってしまうとやはり先は長くないはずなので、なんとか継続して周囲の耳目を集め続けていけるようにしたいものです。今はまだ「物珍しい」で注目してもらえてるけど、目新しさがなくなってきた時にどうするか考えておかないと。芸能人の有名どころが何人か本腰入れて銃猟やってくれないかなー。
注意してみるかもしれませんが、最近狩猟をテーマにした番組をちらほらと見るような気がします。所さんの笑ってコラえてでも、和歌山県清水町で鹿を仕留めて、みんなで焼いて食べてましたね。石塚さんは、まいう〜と言いながら食べてましたが。
ドイツでは、自然への関心のために狩猟免許を取る人が多いらしいです。残念ながら、日本ではこんな関心はないですよね。
狩猟番組が増えてくれるのはありがたいことです。まず露出しないと話にならないわけですし。第二段階として若者に影響力のある芸能人にハンターになってもらえれば・・・!
ヨーロッパの方ではジビエは高級肉扱いだそうですね。文化のちがいを感じます。日本では現状色物扱いですが、いつまでも色物のままだといずれ飽きられてしまうのがこわいところ。何かないかな。(´・ω・`)
5~10万円ですか。。。でも当時は現金収入は少なくて自給率が高かったでしょうから、価値としてはもっと高いのでしょうか?
それより気になるのは火薬です。トイレを掘り起こして土を採取して、、、って結構大変だったという話を聞いたことがあります。
でも、タダでさえ精度の悪い火縄銃。弾は自分で鋳造して重さなどが均一では無く、火薬も燃焼速度がまちまちで、、、当たらずに大変だったでしょうね。
現在の貨幣価値にバッチリ合うように変換するのはなかなかむずかしいようで、1両の値打ちも資料によってけっこうばらつきがありまして、5~10万ってのもまぁ僕の見解が多分に含まれています。でもこんなもんじゃないかなぁ。(´・ω・`)
マズルローダーはやっぱり当たらなさそうですね。槍衾みたいに数を用意して弾幕を張るのが一番だったのかな。