狩猟ヒヤリハット体験その5 増殖する銃禁
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狩猟ヒヤリハット・事故

狩猟をする上で注意しないといけない点はいろいろありますが、その中でも上位にくるのが「許可されたエリアでのみ狩猟を行う」というもの。銃禁で銃猟はできないし、鳥獣保護区では銃猟も罠猟も網猟もぜんぶ禁止。となります。
他にも鳥獣捕獲禁止区域だとか特別保護地区だとか休猟区だとかいろいろあってこれらも狩猟ができない区域ではありますが、銃猟ハンターがまず留意するのは銃禁と保護区でしょう。
(これは地域にもよるかもしれません。奈良だと鳥獣捕獲禁止区域は3か所だけだし、休猟区は今のところ存在せずそれほど意識することがないので)

奈良県では鳥獣保護区が21か所あるのに対し、銃禁は倍以上の50か所。「なんでこんな広々とした野山が銃禁?」なんて思う場所もありますが、銃禁は銃禁なのであきらめましょう。(-_-)
ハンターなら誰でもそうだろうとは思いますが、自分が狩猟をしている場所近くの銃禁や保護区は頭に入ってます。猟期の始まる前、狩猟者登録証と同時にもらえるハンターマップと、後日紹介予定の「狩猟者必携」の指定概要で詳細な設定区域をチェックしているからです。
しかし。覚えたからといって油断してはいけません。銃禁は増えたり広がったりするのです!
銃禁の新設・拡大

新設された銃禁
上の画像は平成27年度の奈良県ハンターマップ。黄色の矢印「グ」と青の矢印「ゲ」の銃禁はそれぞれ平成25年と26年に新規に制定されたエリア。
なので、たとえば平成24年度のハンターマップを見て銃禁エリアを覚え、それ以降目を通すことなく出猟していたら、この2か所が新規に追加されていることに気づかないでしょう。
「ゲ」のエリアは行ったことないですが「グ」の近辺は南河内から遠くないこともあって、ハンター初年度に下見に訪れたことがあります。水が抜かれた池の近くでキジをみかけました。
僕がハンターになった頃には銃禁ではなかったこの場所ですが、もうここでは撃てなくなったわけです。
拡大された銃禁
銃禁一覧を見れば、新設された銃禁がある場合、末尾に去年までなかった新たな数字なり記号なり(都道府県によってちがうかも)が追加されているのですぐに気づく可能性が高いですが、ちょっと気をつけたいのが「既存銃禁エリアの拡大」。
上の画像で言うと銃禁エリア「ノ」の赤丸あたり、東半分ぐらい。このへんは平成25年か26年までは銃禁ではありませんでした。新たに追加されたわけではなく面積を広げた形になるので、銃禁一覧だけを見ていては見落とす可能性が大です。
余談ですが、この拡大されたエリアにはアオクビがよくつく野池が知る限り2つほどあって、この通知を見た当時は目の前が真っ暗になりました。orz
でも気づけただけよかったのかもしれません。もし気づかずここで銃猟をしていたら・・・。考えただけでゾッとします。
あれこれ言ってきましたが、これらは猟期開始前に手元に届く資料に目を通しておけばすぐ気づくことばかり。班長さんや支部長さんによっては「気ぃつけや、銃禁増えてるで」と教えてくれるかもしれません。うちはそうでした。(・∀・)
なのでそこまで神経質になる必要はありませんが、少なくとも猟期前に一度は熟読し、その後も必要に応じてすぐ参照できるように手元に置いておきましょう。
あなたの都道府県でも、いつもの猟場が今年から銃禁になるかも!? m9(`・ω・´)
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Comment
ハンターマップを見て困るのが、境界線が分からない事です。
岐阜県などはネットでしっかりとした電子地図が公開されていますが、当地域では、かなりおおざっぱな紙の地図です。裏面には境界が文章で書かれていますが、表現が古風で分かりづらく、しかも市道を番号で指定しています。
市道番号が記載された地図など無く、役所に問い合わせたところ、総務にあるから見に来いと。やる気ナッシングな市役所です。ハンターマップを作っている部署に問い合わせると、「市販されている住宅地図に載っていると思いますよ~」。
んなわきゃ、ねぇだろ!!嘘つくな!!!
他府県では市道番号の入った地図をネットで公開しているところもありますね。地図を誤認して、いつの間にか境界線を越えてしまって、、、とかありそうで、怖いです。
狩猟者必携については次かその次で書く予定でしたw ハンターマップだけでは細かいとこまではわかりませんよね。僕もおおよそで覚えていたりバッチリ覚えていたりまちまちですが、おおよそで覚えている場合は安全マージンを広くとって対応しています。
思っていたより近場で猟をされているのですね。和歌山も、24号線沿いは、禁猟区、銃禁が多いです。
この記事を読んで、私も、見直してみました。自分に関係無いところは、よく見て無かったのですが、以外と禁猟区が多くて、びっくりしました。
私の猟場と言っても、今の所罠だけですが、村の中に2haだけ禁猟区があります。小中学校があるので、理由は分かるのですが、文言に、自然とのふれあいの場又は鳥獣の観察等を通じた環境教育の場の確保に努める。とあります。(全校生徒合わせて、中学生3人のみです。)
ですがこの辺は、どこでも大自然。運が良ければ、どこでもキジ、鹿を見る事が出来ます。
全校生徒3名の学校・・・となると、牧歌的な環境をイメージします。でもキジも少なくないってことはまるっきりの山ということでもなさそうですね。
ちなみに僕もさっき和歌山のハンターマップを見てみました。たしかに鳥獣保護区多いですね。98か所とは。(; ・`д・´)
鳴き声はよく聞きます。キジも鹿も。地元の人は、でっかいヤマドリが田んぼを荒らしてたと言ってました。耕作放棄地がいたるところにあるので、そこに生息しているのかもしれません。元うちの田んぼも、山に還ろうとしています。
私は新年度のハンターマップを貰ったら、先年度のマップと見比べるのを楽しみ?にして1,2時間暇を潰します。当地はこの3年は変化無いですネ。ある所のある猟友会では会長と副会長が所持の取り消しを今年度食らったらしいです。銃を持ってない猟友会の会長と副会長なんて・・。人家密集半径200m以内10軒以上発砲禁止。他人ごとでは無いですネ。
ハンターマップは見てるだけでなんかちょっとワクワクします。昔から地図見るの好きなもので。(・∀・)
あの半径200mルールも「周囲半径約二〇〇メートル以内に人家が約一〇軒」で、なんか玉虫色なところがあって不気味です。せめて空気銃ではもうちょっと規制をマイルドにして欲しいという気もします、個人的には。(´・з・)
実家の畑や田んぼがが猪に荒らされてとても頭に来ています。
がしかし、禁猟地区で手が出せず鉄柵と電気柵をやってます。
夜に出てきていた猪が最近だと昼間も出るようになってきていて…
まだ、狩猟免許は取得したませんが、一度禁猟地区や銃禁になってしまった所は今後もずっとそのままなのでしょうか?
シシは農作物の食害だけでなく、あぜや石垣なんかを破壊して歩く、生体ブルドーザーみたいな奴らだと聞いています。お察しします。
僕の寡聞の範囲内ですが、一度設定された銃禁や保護区が指定解除されたというのは聞いたことがありません。いちおう指定の期限は○年○月○日まで、となっているのですが、その日がくる前に再度設定され直して結局以前と同じ、というパターンがほとんどであるようです。こちらから打って出ることができないのは厳しいですね。
尾道市旧因島市地区では、鳥獣保護区でも、有害駆除という事で、ワナによるイノシシの捕獲が認められています。また、その地区でくくりワナにイノシシが掛かった場合は、銃による止めさしが認められています。
鳥獣保護区の農家の方より、被害届が出され、市長が有害駆除の指示書を発行しています。
また、銃猟禁止地区でくくりワナでイノシシを捕獲した場合、銃での止めさしが認められており、銃で止めさしをした人に、有害駆除の報奨金が支払われます。
柔軟な対応ですね。聖域があるうちは効果的な駆除は難しいはずなので、本気で数を減らしたければそういった対応が必要だと思います!