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ロングロードホーム鑑賞前に。バグダードバーニングで見るイラク戦争

公開日: : 最終更新日:2017/11/08 暮らしよもやま話, ナショナルジオグラフィック

ロング・ロード・ホーム

最近ナショジオを見ていると、「ロング・ロード・ホーム」という新番組の番宣をよく目にします。

それは通常任務のはずだった ーアメリカ史上最悪の救出作戦

イラク戦争の重要な転機となった武力衝突事件「ブラックサンデー」。日本ではあまり知られていないその実際の出来事を、ナショジオが総力を挙げて克明に描いた全8話のドラマ・シリーズが、この『ロング・ロード・ホーム』だ。その時、イラクの最前線で何が起きていたのか。死の恐怖と直面した兵士たちは何を思い、どう行動したのか。見る者の胸を揺さぶる感動と緊迫の戦争ドラマ大作!

我々の耳目に入るイラク戦争の物語というのは、日本がアメリカの同盟国だということもあって、だいたいがこういう感じですね。アメリカ側の目線で見る物語です。

これはこれで面白そうだし興味もあるのですが、対するイラク側の視点でつづる物語というのは日本にはどうやらあまり入ってきていないのが気になります。自然、アメリカ側の主張とかイデオロギーばかりが頭に入ってきて、大いに偏っているのが現状。

僕などはあまのじゃくなので、なんか素直に受け取ることができません。こういう時には逆張りをしたくなってしまうのです。アメちゃんの言いたいことはなんとなくわかった、じゃあイラク側の言い分はどうなんだ、と。

ロングロードホームの番宣を見るとイラッとすることが多かったんだけど、おかげで思い出しました。イラク人の目からイラク戦争を見た物語、「バグダードバーニング(Baghdad Burning)」を。

バグダードバーニングとは?

イラク戦争とその後の混乱で地獄と化したイラクの首都・バグダッドに生きる、「リヴァーベンド」というハンドルネームのイラク人女性が、日々の苛烈な生活を記したブログ。
内容には告発に近いようなものもあったり、また筆者が女性だということなんかもあって、さすがに本名なんか出せなかったんでしょうね…

リヴァーベンドは、2003年8月17日に開設されたブログ『バグダード・バーニング』(『バグダッド炎上 リヴァーベンドの日記』)執筆者のハンドル(いわゆるペンネーム)である。ボランティアによる日本語のブログと出版では、リバーベンドと表記される。米国によるイラク戦争とイラク政策を強く批判している。

著者リヴァーベンドはブログの目的や性格などから、個人の特定を避けるため具体的な身分や氏名、年齢などの基本情報は伏せている。とはいうものの、ブログの記述から、バグダード北部在住のスンナ派に属する中産階級家庭で両親と兄弟とともに暮らす若い未婚女性で、イラク戦争前にはコンピュータ・プログラマとして生計を立てたと推定されている。また、英語慣用表現を駆使した文体から、西欧的教育で育ったとも推定されている。
戦争・政治・統治などイラク戦争下の被害、周りの人々の心情、人々の生活などを現地の宗教や習慣などについて外部の人にわかりやすい説明を織り込みつつ、ほぼリアルタイムで克明に描かれた証言として、読者からは少なからず評価を受けている。

スンナ派ムスリムであるが、決してスンナ派シャリーアに基づく神権政治は望んでおらず、シーア派やキリスト教徒との共存に基づく宗教多元主義のイラクを理想としているリベラルなムスリムである。そのためブログではたびたびシーア派、スンナ派などの原理主義者や過激派を厳しく批判している。またサッダーム政権は『米軍の占領よりはまし』としているが、肯定しているわけではない。

wikipediaより抜粋

文章を読んでいると、この人の頭の良さとユーモアがすぐにわかります。画像のほとんどない文字ばっかりのブログなのにいつのまにか読みふけっているのは、あちこちに散りばめられている皮肉たっぷりのユーモアによるところが大きい。翻訳者の腕もいいようです。

2003年の8月から2007年の10月、そして最後に2013年の4月。と、かなり長丁場なのでここではすべてに触れることはできませんが、衝撃的な記述ばかりです。「なぜ今日は路上のどこにも死体が転がってないのだろう?」とか。

それでも占領や混乱の度合いが浅い前半部ではイラクの風習やそれまでの日常についての説明であるとか、右側のメニューにはイラク料理のレシピ集があったり、そしてそのタイトルが「何か焦げてない?!(リバーベンドのレシピのページ日本語版)」だったりして、彼の地の生活に思いを馳せることもできるのですが。

廃墟

中ほどからは次第に絶望の色が濃くなってくるのか、登場する出来事も陰惨なものが増えてきます。アメリカがイラクに何をしたのか、そして何をしなかったのかの一端がわかる作品になっています。

ロングロードホームに出てくる「マフディ軍」も登場しますよ。彼らは米軍からも善良なイラク市民からも敵視されていたようです。

あのあたりは、宗教の派閥に加えて民族もいろいろ入り乱れていて、理解するのも一筋縄ではいかないようです。言葉にすると陳腐ですが、やはり難しい地域のようで。

終盤に、リバーベンドさんはイラクからシリアへ亡命したという記載があります。現状、シリアもああいった形なのでどうなったのか気になっていたのですが、僕が最後に訪問して以降に2013年の記事が追加されていて、どうやらシリアからも出国していた模様。
なんか、安心しました。今はどうなってるのかはわからないけど…

正義の反対は、また別の正義。ナショジオのロングロードホームもいいけど、たまには欧米と反対側からの視点で物事を見てみると世界が広がるものです。

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Comment

  1. ltchughes より:

    私もシリアを最後に訪問してからずいぶん経ちますので、あの国がどうなっているのか気になります。良いところだったのですが。

    物事の善悪は、みる者の視点によって変わりますから、難しいところですね。アメリカや国連が考える「良い国」が、彼らにとって本当によいとは限りませんし。

    • spinicker より:

      シリア行ったことあるのですか、うらやましい! ダマスカスは美しい街だったみたいですね。今はもうダメだろうけど…。(ヽ´ω`)

      昔の欧米列強、とくにイギリスの植民地支配のやり口がなんかもう鬼畜で、話を聞いただけでイラッと来ます。ヨーロッパへ行ってみたいという気が起こらない理由のひとつかもしれません(あと物価高いし)。

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