モニタの前でえび満月でも食べながらイノシシの居場所を探る方法

公開日: : 狩猟よもやま話

イノシシ

猟師3年目のシーズンも終わりに近づきそれなりに経験も積んできて、カモキジの居場所はだいたいわかったし実際に獲れてもいる。

シカはまだ獲れてないけど、居場所や行動パターンはいろいろと先輩から教えてもらってちょっとずつわかってきた。巻き狩りにも参加して(何も貢献してないのに)肉もいただいたり。

となってくると、ハンターとして次に思い浮かぶのはイノシシです。M870を手にした時点での目標のひとつは「単独忍び猟でシシをしとめられるようになりたい!」でした。

まだ一人でシカも獲れてないのにシシとな? なんて言われそうですが、練習しないと上達しない! 「もう少しうまくなってから練習した方が・・・」なんて言ってたらいつまでたっても獲れないですからね!

なんて言っても、猪猟ビギナーの僕はまず「どういったところにシシはいるのか」ってところから知らないといけません。

「暗くてじめっとしている場所によくいる」「水場で見かけることが多い」といったミクロな情報は先輩方から聞いていますが、マクロ的な存在情報となると聞いたことがありません。

そこで「奈良県 猪 被害」とかで検索してみたところ、おあつらえ向きのページがヒットしました。

農林・林業集落アンケートによるイノシシ生息状況・被害状況(平成24年度)(pdf注意)

奈良県におけるイノシシの分布を13の項目にわけて市町村の地区ごとにアンケートをとった結果を表したデータですが、平成24年度、2年前ですね。現状ではこれが最新版である模様。

  1. 平成24年度農業・林業集落アンケート調査によるイノシシの分布
  2. イノシシの農業被害の大きさ
  3. イノシシの林業被害の大きさ
  4. イノシシの農業被害の増減
  5. イノシシの林業被害の増減
  6. イノシシの農地・集落周辺への出没動向
  7. イノシシの農業被害意識の動向
  8. イノシシの山林・奥地森林での出没動向
  9. イノシシの林業被害意識の動向
  10. イノシシの被害対策 侵入防止柵(防護柵)の効果(農業)
  11. イノシシの被害対策 侵入防止柵(防護柵)の効果(林業)
  12. イノシシの被害対策 有害捕獲の効果(農業)
  13. イノシシの被害対策 有害捕獲の効果(林業)

このうちの6と8を参考にしてイノシシの多いエリアを割り出していこうと思います。

※今回挙げるエリアが可猟区かどうかはここでは調べていません、あしからず!

その前に、奈良県の地理を表した概要図を。僕の独断たっぷりで申し訳ないですが。

ざっくり奈良県

マピオンの地図をもとに僕が40秒で支度した色分け地図です。
赤→市街地
黄→市街地~里山
青→里山~山林
黒→山林~ガチ山林
といったところ。では見ていきましょう。ざっくりいきます。

奈良県シシ分布

まずは前提、1の「平成24年度農業・林業集落アンケート調査によるイノシシの分布」地図です。赤がイノシシの存在が確認されているエリア、水色はいないエリア、黒がアンケートの回収がなかったエリア。です。

やはり左上の市街地にはほとんどいませんね。水色と黒ばっかりです。が、それ以外ではほとんどのエリアでイノシシの存在が確認されています。では次、6番の地図です。

奈良県里山のイノシシマップ

イノシシがよく目撃される農地が赤で示されています。南の方のガチ山林では水色の「あまり見ない」もけっこう多いですね。僕のイメージでも鹿=山 シシ=里です。では次、8番の地図。

奈良県山林のイノシシマップ

イノシシがよく目撃される山林が赤で示されています。こちらは若干ばらけましたが、やはりどちらかというと南の方が水色=あまり見ないが多いですかね。

と、この二つの地図を照らし合わせてみて、両方で赤なら、そこはイノシシがたくさん生息しているエリアである! と言えるんじゃないかと思います。4と5あたりも参考になりそうですが、シンプルにいきましょう。

結果はだいたいこうなりました。

奈良県でイノシシの多いエリア

黒丸が里でも山でもどっちでもシシの多いエリア、ということになる・・・はずです。奈良市の北らへん、県南西部、あとは和歌山&三重との県境あたりということになるでしょうか。

今回は僕の登録している奈良県で調べましたが、このたぐいのデータは多少の違いはあってもたいていの都道府県で収集していると思います。公表していなければ、担当課に直接聞いてみてもいいかもしれません。

今シーズンが終わったら、来シーズンへ向けてこのあたりのエリアを下見に行こうかと思います。先輩方に猟場を聞くのもいいですが、自力で探したいという気持ちも抑えられません。

しかしいい時代になりました、家にいながらにして猟場をある程度まで調べられるんですから。

有用性はどれほどかは行ってみないとわかりませんが、自力で1から始める状態であれば、めくらめっぽう歩いてまわるよりかはマシでしょう。もちろん実地へ出向いて足で探しもします。加えて農家の方の話も聞ければなおいいですね。

でもこうして地図とデータを突き合わせて猟場の新規開拓をしているときの楽しいこと! ワクワクが止まりません!

これもハンターの特権と言えるでしょう。ハンターでよかった! ^ ^

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Comment

  1. mimimi より:

     そのような資料が存在するとは、知りませんでした。すごいですね。
     
     三重県に単身赴任していた1年ほど前まで、岐阜県との県境に近い地域でシカやイノシシをよく見かけました。夜8時~9時前後ですが、車道脇をうりんこが歩いていたり、車に当てられたらしく、シカが道の真ん中に座り込んでいたり。。。
     
     その頃は銃の所持とか猟とか興味が無かったのですが、今から考えるともったいないことをしたかなぁと。夜なので、車にある大型のモンキーレンチか何かで襲いかかれば、肉にありつけたかなぁと。
     
     自分の県でも、そのような資料がないかどうか探してみます!
     (ハンター試験の合格発表は10日です)

    • spinicker より:

      鹿も猪も増えてるようなので里山~山林であればたいていの場所にいる感じですね、今は。資料はとりあえず奈良県とあとは兵庫県のものは確認できました。

      道ばたでまだ生きている動物に殴りかかるのは限りなく黒に近いグレーっぽいですね。やめておかれたのは正解だと思います。

      狩猟免許試験はまずまちがいなく受かっているでしょう! ^^

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