狩猟ヒヤリハットその13 鵜呑みにできない、ベテランのアドバイス
公開日:
:
狩猟ヒヤリハット・事故
猟期まで1ヶ月を切ったこの時期。いよいよハンターはじっとしていられなくなってきているであろうという、やきもきしながらも楽しみな季節です。
もう何年目かの経験があるというハンターでもそうなので、今期からデビューするというぴっかぴかの一年生ハンターさんなどは、それはもう居ても立ってもいられないかもしれませんね。僕もそうでした。(・∀・)
所属支部によっては猟期前の安全射撃会などもあって、今期デビューのあなたは周囲のベテランハンターからさぞかしかわいがられているかと思います。いろいろと助言なんかももらっていることでしょう。
一年目で経験がないから。ベテランだから。年長だから。
などなど、様々な理由で耳に入った言葉をそのまま聞き入れてしまいがちでしょうが、それらの助言に対して僕からも一つ助言をしておきたいと思います。
射撃や狩猟において、助言を鵜呑みにするのは危険な場合があります。
小さな親切大きなお世話、で済まないことも
先日、射場にてスコープのゼロイン調整をしていた際のこと。
ひととおり終了したので代金を支払い、帰路につく前にちょっと食堂で一服しようかと空席を探していると、どこかの猟友会支部とおぼしき一団の先客が談笑していました。
話題の中心はどうやらその中の一人の、今期からハンターになったという僕と同年代か若干若いかという女性のこと。ベテランハンターであろうお年を召した御仁が数名、彼女にいろいろとアドバイスしています。
すぐ後ろのテーブルだったので聞くとはなしに聞いていると、次のようなフレーズが聞こえてきました。
「シカやるんやったら9粒買っといたらええで」
周囲の論調もその意見に肯定的な返答をしたところでお開きとなり、彼らは去っていきました。
9粒といえばバックショットのこと。大粒散弾は有効ではあるものの粒が大きいだけに威力も高く射程も長く、その分事故の報告も多い、扱いの難しい装弾です。
所持・使用は現状では違法ではなく強制力もないものの、大日本猟友会からは大粒散弾(6・9・15粒)使用禁止の通達が出ていて、新人においそれと勧めていいような弾ではありません。
関連記事:バックショット(大粒散弾)禁止?日本猟用資材工業会の見解はこちら
せめて「バックショットはこれこれこういう事故になりやすいから気いつけや」といった一言があればまだマシなんだけどそれもなく、まだ猟場に立ったことのないハンターが前知識なく自分でバックショットの危険性に気づけるかというと、難しいでしょう。
ベテランからのアドバイスは、彼らの常識や来し方から発せられるものであって、悪気はなくともそれが今日の状況や経験の浅い初心者には適合しないことが少なくありません。中にはただのありがた迷惑にしかならない助言も含まれているのです。
幸い、僕は素晴らしい先輩方に恵まれています。無茶なアドバイスはほとんどありませんでした。しかし中には関連法令をまったくないがしろにしたり、特定の状況でしか通用しないようなことを万能薬であるかのように吹聴したりする困った人があるのも事実です。
これから始める方は、先輩からのアドバイスは、僕のものも含め、鵜呑みにせず一度自分の頭で考えてみることが大事だと言えます。
面と向かって指摘するのが難しいこともあります。そんな場合はとりあえず笑顔で流して、後でしっかり自分で確認。それが自分を守ることにもつながります。
検挙された後に「○○さんが大丈夫って言ってたから! (´;ω;`)」などという言い訳は通用しないのです。せっかくのライセンスを失わないためにも、慎重な判断をお願いします。m(_ _)m
関連記事
-
狩猟ヒヤリハット体験その5 増殖する銃禁
狩猟をする上で注意しないといけない点はいろいろありますが、その中でも上位にくるのが「許可され
-
銃猟ハンターと色覚異常。恵庭市誤射事故の背景と得るべき教訓
※今回の内容は、誰を擁護するものでも、逆に非難するものでも、そして何かを強制するものでもありません。
-
鳥猟ハンターがカモ類のメスを捕獲するときに注意するべきこと
ハンターが猟をするにあたって留意する点はいろいろありますが、特に銃猟ハンターには気をつけるべ
-
狩猟中の事故紹介その3 他損事故事例
狩猟事故紹介シリーズ、最終回は自分以外の人間に危害を加えてしまう「他損事故」の事例、日猟会報
-
無事に終猟するために。狩猟中の滑落死亡事故のブログから学ぶこと
一般的に猟期は11月15日~2月15日ということになっていて、昨日で終猟という地域も少なくな
-
ガサドン・暴発だけじゃない。動画で学ぶノーオレンジ狩猟の危険性。
本邦で毎年のように起こる、猟銃による人身事故。昨期にもありましたね。(-_-) 記憶に
-
狩猟ヒヤリハットその9 その道路、危険につき。コンクリ林道の特質性
狩猟にはさまざまな危険がつきもの。そのあたりは理解しているつもりだし実際に何度か痛い目にも遭
-
狩猟ヒヤリハット体験その6 ハンターと餌付け民
以前にも言った記憶がありますが、たいていの場合、ハンターというものは動物が好きな人種です。動
-
狩猟中の負傷ワースト5(2017年度まで)を挙げていこうと思う。
その昔、「傷は男の勲章」なんて言葉がありました。もしかしたら今でもあるのかもしれませんが。
-
誤射注意。僕が狩猟鳥に加えて非狩猟鳥も覚えようと思った理由はこれ
僕は散弾銃(M870)で大物猟もやりますが、同じぐらいかそれ以上に好きなのが空気銃(レインス
Comment
そのアドバイスは、ひどいですねぇ。。。装薬をしない私でさえ、大粒使用禁止令は聞いたことがあります。その人達は、猟友会の通達を特に真剣に受け止めず、「自分たちは今まで安全に使ってきたし、何の問題も無い」というスタンスで使用を続けているんでしょうね。
自分たちで使うのは勝手ですけど、通達が出ているのを知らないはずはありません。それを素人に勧めるって、悪意さえ感じますね。その人達、普段から違法行為さえ平気でしていると疑われても、仕方ない存在でしょう。
でもまぁ、9粒を真に受けて銃砲店へ行けば、銃砲店の方がちゃんと教えてくれるでしょう。その連中が信用出来ないと学ぶはずですから大丈夫だと祈ってます。。。
長く生きてきた人は「自分は今まで大丈夫だった=問題ない」って考えの人が多いんでしょうね。悪気はない、と思いたいんですけどね。某射場で的紙貼り替え中のサイレンが回ってるのにぶっ放そうとした御仁も見たことありますよ…。(´・ω・`)
どの趣味でもそうですが、いい加減な人はいます。
自分で考える。大事なことです。
学校教育のせいなのか、社会構造のせいなのか分かりませんが、
最近は自分で考えない人が多くなった気がします。
仕事でも何でもマニュアルで、マニュアルから逸れてはいけないとなれば、
当然考えないことが日常になります。
考える癖を無くしてしまうと、まったく困った人間が出来上がります。
私はピカピカの一年生ですが、大粒弾の使用を控えるようという話は知っています。
仰るように購入の際には銃砲店火薬店から助言があると思いますが、
信用出来ないジイ様達だと思ってくれるといいですね。
自分で考えなくても検索かければ正解にたどりつける今の世の中も影響してるのかもしれませんね。便利さも行きすぎると何かと問題があるような気がします。
銃砲店も在庫が捌ければいい、なんて考えずきっちり言ってほしいところです。
大粒散弾はだめって何年か前から言われてますよねぇ…
僕も一種は今年からなんですが、
師匠に「そういや師匠はどこで大物の弾買ってます?いい所あるなら教えてほしいです」
と聞いたとき「ん~拘りはないなぁ~都度って感じ…あ!お前!バラ玉はあかんぞ!スラッグだけやぞ使うのは!」
「人生棒に振っても良いなら好きにしたらええけどな、昔な、なんで?っていうくらい狙いと違うとこ行くし当たらへんで悩んだ結果怖くなったわ。上下でスラッグ痛いし辛いのは分るけど、一発必中の根性で集中して行けよ。わしはもうライフル一本やからあれやけど」
という会話になりましたよ(゜-゜)
射撃場では
「バックショットはな、フルチョークで撃つもんなんや。それを平筒で撃つから訳わからんところ飛ぶねん。あれはショットコロンとパターンをグッと締めて10数センチの散弾の塊を獲物に当てるためのものや」
との話も聞きましたね(^_^;)
造詣の深い方の話なのでほんとなんでしょうけど、禁止令が出ている以上スラッグオンリーで行きますが(^^)v
僕が装薬銃一年目の頃はまだそこまで問題は大きくなかったので、9粒を勧められることは普通にありました。
ただ、なんとなく威力に乏しいような気がした(距離と当たり所次第では十分効くそうですけど)ので手を出さずじまいになりました。
真球型なので跳弾事故も多いようです…