ガサドン・暴発だけじゃない。動画で学ぶノーオレンジ狩猟の危険性。
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最終更新日:2017/05/15
狩猟ヒヤリハット・事故
本邦で毎年のように起こる、猟銃による人身事故。昨期にもありましたね。(-_-)
記憶に新しいのは、兵庫県佐用町の事故。それと岩手県遠野市の事故。この二件はいずれも死亡事故、しかも若手が被害者で高齢者が加害者だった。というのが印象に残っている原因かもしれません。
あとは、この二件が日本における猟銃事故の典型例、ガサドンと暴発であったというのも印象深さの一因かも。佐用町の方がシシと間違われてのガサドン、遠野市の方が脱砲不履行の暴発でした。
※佐用町の件については、典型的なガサドンではなく、獲物めがけて発砲→獲物に命中後銃弾貫通→被害者に命中。が真相でプレスリリースは不正確であるという指摘が存在することも追記しておきます。
ガサドンでも暴発でもなさそうな誤射事故
一方で、ガサドンでも暴発でもなさそうな事故(未遂?)の動画を発見しました。
動画の説明によると
「七面鳥撃ちをしていた時、後ろに忍び寄った何者かが我々を通り越して撃った(shoots through us)」
というようなことが書いてあります。
結果、どうなったかというと、2分9秒あたりのこと。
フレーム内には迷彩オンリーでオレンジなしの猟装に身をまとった人物が三人入っています。
そのうちの一人、こちらから見て一番左にいる人物。一発の銃声とともに腰のあたりを銃弾がかすめ、三人はあわてて後方にいるであろう人物に注意を促しています。
おそらく直撃ではなく、迷彩用のイミテーション葉っぱを撃ち抜いたような感じではないかと思われますが、それでも危険であることには変わりなし。
形としてはこういうことだったんでしょう。
僕は銃器にも海外の狩猟事情にも詳しくはないんですけど、そう遠くないところから、おそらく小動物用の小口径ライフルでの射撃だったんじゃないかという気がしています。銃声の質、そして音と着弾がほぼ同時であることからそんな気がしました。
(動画に映っているハンター二名は遠射仕様の散弾銃ですが)
日本では狩猟用として許可されない小口径(5.9mm以下)ライフルも、海外では小型鳥獣類がターゲットの狩猟では広く用いられているということなので、今回、後ろから撃ってきた人物もそういった銃を使っていたものかと。
想像でしかありませんが、動画の二人も、その後ろの人も、どちらも同じ七面鳥を狙っていたんじゃないかと考えています。人を狙ったわけではなさそう。
ライフルならスコープを載せて運用しているはず。
僕もエアライフルには最大20倍のスコープをセットして運用しているのでわかりますが、遠くの物をはっきり見ようとして倍率を上げると、手前にある物はぼやけて輪郭がわからなくなります。
双眼鏡で遠くの山にピントを合わせた状態にしてから手元を見ようとしてもまともに見えないのと同じです。
加えて、獲物を獲りたい気持ちが強すぎると、さらに獲物以外への注意が散漫になります。
ということから、後ろの人物のスコープはこんな感じで見えていたものと考えます。
二人は動きにとぼしく、身につけているのは草木に似せた迷彩服、しかもスコープの被写界深度のせいで姿はぼんやりと映って草むらのように見え、極めつけは視線の先を歩くうまそうな七面鳥。お膳立てがそろっています。まさか人と人の間に射線を通したとは夢にも思っていなかったでしょう。(´・ω・`)
ここに鮮やかなオレンジの色彩が入っていれば…。後ろの人がどれぐらいの間スコープをのぞいていたかを知る由はないんですが、やはりどこかで気づいたんじゃないかという気がするのです。
まぁ、一連の状況についてはほとんど僕の想像というか脳内設定の産物であって、起きている毛利小五郎ばりのガバガバ推理じゃないかという意見もあるかもしれませんが、上記のように考えてもあまり違和感がないようにも思います。
僕も経験ありますが、山で見るこの色はやはりよく目立つのです。
すべての事故を防げるわけではなくても、やはり有用であることは実証済みのハンターオレンジ。どこかに着けて出猟するようにしたいものです。
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Comment
((゚□゚;))
怖い映像でした。
山や草原であんな格好されたら分かりませんね。
オレンジ色の重要性が良く解る動画でした。
勢子をしてると、待ちと合流する時が一番緊張します、そんな時に獲物が出たら…
明日の我が身を観てるみたいでドキドキもんでした。(((・・;)
オレンジと矢先の確認 大事です
(・д・ = ・д・)
僕は勢子の経験はないんですけど、大変そうですねあれは。体力勝負で。あとは…たしかに待ちのところへ行く時は注意が必要ですね。僕も待ちの移動で誰かの近くを通る場合はあらかじめ伝えてから動くようにしています!(・∀・)
これ、スコープ覗いてるとすごい分かります(^_^;)
僕の所属の猟友会総会で聞いた話では、佐用の事故の加害者は、スコープを乗っけた銃で猪を目視して発砲し、猪も当たって死んでいたそうです。
そこで、支部長が「スコープで獲物を見ると周りが見えなくなる、私も過去に猪をスコープに捉えたが、頭か尻か一瞬判断がつかず撃てなかった経験があります」と…
僕の猟場は谷間の休耕田での待ち撃ちなので、倍率も2.5~4位ですし飛んできて枝に留まったのを目視して撃つので比較的安全かな?16倍使うのは笠取ぐらいです(^_^;)
河川敷で撃つ人はより注意が必要ですね(・ω・;)
遠射できる空気銃増えてますし、スコープの倍率も凄いし…
佐用の誤射はそんな状況だったのですか…。報道では単にシシと間違われたようなニュアンスでしたね。わからないものです。ライフルでシシを抜いてその後ろの人に、ってことか…。
昨今は空気銃の性能アップがいちじるしいですね。装薬銃はもうシステム的に完成してるようなところもあるけど、空気銃はいろいろ進歩があって面白い。その分注意も必要になってきますけど。。。(´・_・`)
すごい偽装服です、足から頭まで。このまま韓半島戦闘服に使えそう?裏地は、雪原用白色ですか。たしょう変色必要だか?
ハンターオレンジの有用性がよくわかる動画です。でもハンターならともかく、山菜採りとかで山に入る人は自分の服の色とかは気にしてない人がほとんどなので、こちらとしても注意が必要です。(´・ω・`)