クロスボウ(ボウガン)の威力とは。狩猟用空気銃と比較した資料はこちら。

少し前にクロスボウが猟銃のような所持許可制となりました。まだ記憶に新しいところですね。
そもそもなぜ所持許可制に移行したのか。これもまた、猟銃のような殺傷事件が続いたから。2020年6月宝塚市での一件では、クロスボウによって三人が死亡、一人が重傷といった重大な結果となってしまいました。
クロスボウの威力は相当なものだ。というのは報道をみているとわかるんですが、猟銃、とくに狩猟用空気銃の所持者としてはひとつの疑問がわいてくるのですよ。どっちが上なのか、と。
まあどっちが上であろうが下であろうが、猟にボウガンやクロスボウ含む弓矢は法律上使えないので気にしても仕方ないのだけど、気になるものは仕方ない。探求心は原動力。
てことで、ざっと調べてみました。
比較対象は一般的な5.5mm口径PCP空気銃(相当)
今回おもに参考にしたのはこちらのページです。
猟銃所持者にはためになることがいっぱい掲載されていますよ。後でぜんぶ目を通しておいてくださいね。でも、今回は空気銃とクロスボウの威力比較に主眼を置いて見ていきましょう。

まずは数字から。右端の「J」という値。ジュール。上から三番目の、我々になじみの深い「狩猟用プリチャージ空気銃」の数値を見てみると、44.1Jとなっています。
この約40Jという数字。空気銃の威力をあらわすのによく使われる「ft/lb(フィートポンド)」に変換すると、だいたい30ft/lbとなるのです。

30ft/lbといえば…。そう。5.5mm口径のプレチャージ空気銃の標準的な出力です。今はもうちょっと強い40ぐらいのも多いのかな。
一昔前、サイクロンやレインストームあたりから22口径空気銃には30ft/lbって数字が定着してきました。このへんの強さが16や18グレインのペレット使った時に威力と精度の兼ね合いがうまいこといくんでしょうね。
そこを基準にして比べてみると、ああ、競技用拳銃は倍ちょっと。なるほど、競技用エアライフルは2割ぐらいの威力なんだな。と読み取れます。

https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/hoan/crossbow/index.htmlより
ちなみに、所持が禁止されるクロスボウとは、威力が6Jを超えるもの。“市販されているクロスボウは基本的に規制対象”ということだそうなので、先の表でいうと一番下の一番威力の低いピストルクロスボウ(50ポンド)というものでも矢の威力は6.5Jなのでやはりアウトです。
では、数字の次は視覚にて威力を調べます。なんかディスカバリーとかナショジオとかで銃弾よく撃ち込まれてるゼラチンありますね。あれ。2mの距離からの発射です。


表のオレンジ色の欄の「侵徹量(cm)」というのがゼラチンの中を進んだ距離。
こうしてみると、ひとつのゼラチンに撃ち込まれている弾と矢はほぼほぼ同じような威力があるようです。競技用拳銃とリカーブクロスボウ。狩猟用空気銃と競技用クロスボウ。競技用エアライフルとピストルクロスボウ。矢は飛翔速度は遅いけど、重量で威力を稼いでいるのでしょう。
クロスボウのポンドという数字は矢の重さではなく、弦を引くのに必要な力。175ポンド≒79kgもの膂力が必要なリカーブクロスボウは、僕の使っていたレインストームなど一般的なプリチャージ式5.5mm空気銃より、侵徹量でもJでも、3~4割ほど上回っているようです。
競技用クロスボウとではやや狩猟用プリチャージ式空気銃の方が上。競技用エアライフルやピストルクロスボウよりはまあまあ強い。という結果になりました。
正式に人体を模した硬さの弾道ゼラチンなのか(たぶんそうだろうけど)とか、矢も弾も重さが不明とか、そもそもクロスボウは詳しくないんでたとえばリカーブクロスボウがクロスボウ類の中でどんな立ち位置なのか知らないなどなど、不明な点もあるのでおおよそでしかわからないけど、おおよそではわかりますね。僕などはそれこそ実験銃と同等の威力のレインストームを7年ほど使っていたので、イメージしやすいものでした。
僕の中ではクロスボウといえばウォーキングデッドのダリル。かっこいいですね。
かっこいいけど、やはり銃同様、取り扱いに慎重を期するもの。威力も遜色ないと実験の結果でも出ています。銃もクロスボウも、正規の手続きを踏んで正しく所有、安全に運用していきたいものです。
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Comment
30Jぐらい出る竹弓は放置ってゆうガバガバさに日本味を感じます。
弓道に対する忖度なんでしょうが(笑)
勿論竹弓はそれ自体が長いので、ボウガンほど小回りも利かず隠密性に欠けるあたり、犯罪には使いにくいのでしょう。
ただ
そう考えた場合、ヤフオクで落とせるモンゴル弓、トルコ弓やコンパウンドボウはコンパクトなので取り回しも楽な上に、高威力なのでそれこそ許可が必要なんじゃないかとは常々考えています。
まあ
結局のところペン一本で人を殺傷せしめられる以上、規制したところであまり意味の無い事だとは思いますが。
道具がひとりでに動くわけじゃないので結局のところはそれを操る人間次第。ってのは言われ続けてることだけど、やはり0にはならないですね。
ボウガンは携帯性はともかく、公安の方では静音性も問題視してたんじゃないかとちらっと聞いたことがあります。同様の理由で大口径空気銃も現状より規制が強化されるとか噂がありましたが、こちらは今のところ未実施ですね。