狩りバカ日誌 2017年2月12日(散弾銃・忍び猟)
公開日:
:
最終更新日:2018/01/08
狩りバカ日誌2016
曇り時々雪 3℃/-6℃
今日の猟場は通い慣れた奈良県某村。昨晩降り積もった雪を踏み分けてサンバーを走らせる。夜明けと同時に開始するつもりだったが、凍結路面の連続で15分ほど遅れてしまった。
廃屋となった家屋の横から続く道を上り、入山する。目に入るのは、林業が盛んであった頃には明かりの灯っていたであろう廃屋と、その前に積もった雪に刻まれたシカの足跡。
ただ移動するだけなら左の足跡のように一直線に歩けばいいのだが、廃屋をのぞきこむような形でぐるっと回っている小さな足跡がある。はしゃぐように跳ねた感じの歩き方とサイズからして、おそらく子ジカのものだろう。このへんではシカの勢いはますます盛んで、対する人間は減る一方だ。
集落からの道は雪の森へと続く。
これより先はどこから獲物が現れてもおかしくない。M870のカバーを外して臨戦態勢を取り、雪に残る無数の足跡を追って山を登る。
雪が深くなってきた。
このあたりのシカは集落空き地の草に依存しているようで、日中でも里の近くに潜んでいるらしく、山の上の方ではそれほど見かけない。これ以上登らない方がいいかな。
ここからは等高線沿い~やや下るような感じで低いところを意識しながら歩こう。自分より高いところにいる獲物をこっちが先に発見するのは難しい。
尾根の反対側へ移動しようと方向を転換すると…彼方の景色に何やら違和感が。今何か動いたような???
最近忍び猟時に持ち歩いている、以前の記事で紹介した単眼鏡で様子を確認する。
欲を言えば4倍よりもうちょっと倍率が欲しいところだけど、慣れないうちにあまり倍率を上げすぎると光量不足や視野の狭さ、手ブレなんかが気になってくる。当面は4倍で勝負だ。
クリアな視界に浮かび上がったのは、やっぱり! メス鹿一頭! いや、杉の影からもう一頭出てきた、二頭!
まだ二頭ともこちらには気づいていない。前足で雪を掘ったり口をくっちゃくっちゃしている様子がよく見える。距離は少なく見積もっても100mはあるだろう、裸眼ではここまでは確認できないはずだ。
単眼鏡のレンズ越しに様子をうかがっていると、前を歩く一頭がこちらをじっと見ていることに気づいた。何やら違和感を感じているようだ。こっち見んな。
…距離はあるが勝負してみるか?
…いや。この距離、しかも依託するものもない状況で、スムースボアのM870では撃ってもまともには当たらない。しかも射手は金欠で練習不足ときている。距離を詰めることを考えるべきだ。
遠距離にらめっこの体感時間が5分を超えた頃、シカはようやくこちらから視線を外し、ゆっくりと歩き始めた。下手に動けないので、こちらはその間ずっと単眼鏡を構えっぱなし。いい加減手が疲れた…。
シカは歩いているので時々杉の向こうに姿が隠れる。その瞬間を見計らって数歩距離を詰め、杉の影から出てきたら足を止める。にらめっこの次はエクストリームだるまさんが転んだが始まった。
この二頭は姉妹かなんかだろうか、そう感じる。
前を歩く個体は後ろの個体より一回り大きく、常に周囲を警戒していて手ごわい。こいつのおかげで下手に動けない。しっかりもののお姉さんという印象。
後ろのやつは警戒心にとぼしく、こいつとは一度も目が合わない。何度見てもたいていは地面を掘っている。マイペースな末っ子という感じだ。
体感15分ほどの後。こちらに気づいていないシカがこっちの方へ歩いてきた僥倖もあり、彼我の距離は30mほどにまで詰まった。千載一遇の大チャンス!
距離だけで考えるとまだもうちょっと詰められそうだが、これ以上歩かれるとその先はバックストップがない。勝負はここだ。手はすっかりかじかんでるし依託するものもないが、この距離なら大丈夫だろう!
ジャキン!
大きな金属音を響かせて装填と挙銃を同時に行う。その音でようやく人間の姿に気づいたシカが虚を突かれたようにこちらを凝視した。次の瞬間、脱兎のごとく走り出す…のを見送るほどこちらも間抜けではない。
バコーン!
姉に照準を合わせた状態で矢が放たれ、姉妹はそのまま走っていった。バックストップがないので二の矢はかけられない。
が、当たっているはずだ。手はかじかんでいたしブレてもいたが、手応えはあった。手足と脊髄は外したようだが、胴体のどこかには当たっているに違いない。
現場まで足を運んで血痕をさぐる。あった。雪のおかげで一目瞭然だ。これなら追跡もたやすい。
始めのうちは雪を蹴立てて勢いよく走っていたようで血痕も飛沫程度だったが、100mほどで足が鈍り、乱れ、血痕も粒が大きくなってきた。もうすぐのはずだ。
そして、斜面の杉の木の下に大きな血だまりを発見した。足を滑らせてこの木にぶつかって止まり、立ち上がろうとしてさらに滑落したようだ。
被弾したシカはそこから15mほど下でこときれていた。
あとは解体して肉を持ち帰ったらミッションコンプリートだ。超うまくいった忍び猟である! ( •̀∀•́ )✧
反対側からは腸がはみ出していた。この状態で150mほど走ったのだ。シカは矢強い。
しかし、もうあと10㎝か15㎝ほど前だったら横隔膜より前だったのになぁ。惜しい。まぁ僕の腕にしたら上出来か。(´・ω・`)
解体作業中にトラブルでメガネが壊れ、結局は近くで同じように忍び猟をしていた鹿師匠の助力をあおぐことにした。これさえなければ満点に近い猟だったのだが。orz
さて、あとは銃と装備と肉を抱えてこの雪の斜面を下りなければ。これがなかなか大変である。獲物をゲットしたからといっても最後まで気は抜けないのが狩猟だ。
ちなみにこのシカの背身は今まで見てきた中で一番うまそうだった。現在絶賛熟成中である。賞味が楽しみだ! (・∀・)
【本日の猟果(忍び猟)】
発砲 1
捕獲 1(シカ♀)
関連記事
-
狩りバカ日誌 2017年2月4日(散弾銃・忍び猟)
晴れ 12℃/2℃ 今日入るのは、獲物の痕跡はいたるところにあるけどなぜか姿はまだ一度
-
狩りバカ日誌 2016年11月18日(空気銃・流し猟)
曇りのち晴れ 18℃/-1℃ 何の変哲もないサバゲー用ジャケット。しかしこれは僕に
-
狩りバカ日誌 2017年1月21日(空気銃・五目猟)
晴れ時々曇り 6℃/-2℃ 骨折して以来、久々の鳥猟。ここのところ大物猟ばっかりだった
-
狩りバカ日誌 2017年1月9日(散弾銃・シカ巻き狩り)
曇りのち雨 9℃/2℃ 天候の崩れが心配ではあるものの、本日も出猟。銃と装備一式をサン
-
狩りバカ日誌 2016年12月4日(空気銃・流し猟)
晴れのち雨 15℃/1℃ 先週の猟ではしとめたアオクビを回収するさなかに肋骨を骨折して
-
狩りバカ日誌 2017年1月29日(散弾銃・シカ巻き狩り)
曇りのち雨 12℃/-6℃ 今日もいつもの手順でいつものグループ猟。 …となるは
-
狩りバカ日誌 2017年2月19日(散弾銃・忍び猟)
晴れ 7℃/-2℃ 入山してすぐにシシの牙かけのような痕跡を発見するも、その後しば
-
狩りバカ日誌 2017年2月11日(空気銃・カモ猟)
晴れのち雪 3℃/-3℃ 今日は2月11日。今期の鳥猟は今日で最後になるだろう。有終の
-
狩りバカ日誌 2017年2月26日(散弾銃・忍び猟&流し猟)
曇り 9℃/-2℃ 猟期は深まりつつあるが、よく考えてみれば今猟期の大物の猟果はまだ2月12日
-
狩りバカ日誌 2016年11月27日(空気銃・流し猟)
雨 12℃/4℃ 今日はM870で大物猟へ行く予定だったが、天気が悪いということで、家
Comment
忍び成功、おめでとうございます。(^o^)
足跡見ると鹿の濃い山みたいですね。
この猟場の鹿は麓の餌場に付いていて、山の上には少ないと言っておられますが、此方も同じく低い所に多い様です。
人間の生活圏を餌場にしている鹿は、山奥には戻らない傾向が有るのでしょうか?
同日は、大雪に阻まれ山に入れずコーヒー飲みながら作戦会議後、解散でした。(^o^;)
残り1ヶ月、安全に気をつけて頑張りましょうp(^^)q
ありがとうございます!(・∀・)
ここは鹿ばっかりですねー。シシがついている場所もちょっとだけあるのですが、見かけるのは鹿がほとんどです。あとはカモシカかな。
人里がないところはともかく、里があるところなら里の近くにいることが多いようです。
それでも何を食べてるかは不思議なんですけどね。野菜なんかは囲いがしてあるし、雑草で食べれるのが人間が思うより多いということかな。
滋賀だと雪は大変でしょうね。こっちではあまり積もらないのでたまに積もるとうれしくて仕方ないです。(^∇^;)ゞ
おおお!おめでとうございます。
よく考えると(いや、よく考えなくても)腸が出つつ走れるって結構すごいですよね。人間だとかなりスプラッティな・・・想像してしまった Σ(◦A◦)
調理編楽しみにしています。
ありがとうございます。足の骨とか脊椎だとか、構造上ここが破壊されると走れなくなるという場所に当たれば即倒したり足が鈍ったりするんですけど、腹だとこれぐらい走ります。心臓ぶち抜いても10秒ぐらいは走りますからね。
実食は猟期終わってからかなぁ。猟期中は獲る方に気が向いているもので。(^∇^;)ゞ