日本史上最悪の獣害「三毛別羆事件」のwikipediaが恐ろしすぎる件
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最終更新日:2018/01/19
狩猟よもやま話
今年の6月に秋田県で4名がツキノワグマに襲われて死亡、その一部が食害されていた。という事件があったのは記憶に新しいところだと思います。
僕もそれまでは
「ツキノワは臆病っていうし、よほどのことがない限りむこうから逃げていくだろ (・ω・ ) 」
ぐらいに考えていたので、その直前にクマの生息地である大台ヶ原の山上ヶ岳にこれといったクマ対策もなく単独で山行していたのを思い出し、変な汗が流れた次第です。
しかし、日本にはツキノワグマをさらに上回る大型の猛獣が生息しています。北海道のヒグマです。
我々日本のハンターにとってはある意味で究極の獲物ともいえるこの生物ですが、科学の進歩が今ほどではなかった昔はその恐ろしさは現在とはくらべものにならなかったことでしょう。
実際、過去にはヒグマ(と、人間の無知)が引き起こした凄惨な事件がいくつも発生していますが、少し前に話題になったのが中でも最悪の熊害と言われている「三毛別羆事件」に関するwikipediaの生々しさです。
三毛別羆事件
wikipediaへのリンクを貼る前に、まずはwebマンガ「人喰い熊 三毛別羆事件」の方を紹介しておきたいと思います。ビジュアル化されたことで想像力の入り込む余地が低下、恐怖感と絶望感はこちらの方がよほど薄いからです。(リンク切れ)
これをとりあえず読んで大丈夫だった、そしてさらに興味がわいた方はwikipedia版へどうぞ。
ことのあらましはこういう感じ。
三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)とは、1915年(大正4年)12月9日から12月14日にかけて、北海道苫前郡苫前村三毛別[注釈 1]六線沢[注釈 2]で発生した、クマの獣害(じゅうがい)としては記録的な被害を出した事件。六線沢熊害事件(ろくせんさわゆうがいじけん)、苫前羆事件(とままえひぐまじけん)、苫前三毛別事件(とままえさんけべつじけん)とも呼ばれる。
エゾヒグマが数度にわたり民家を襲い、開拓民7名が死亡、3名が重傷を負った。事件を受けて討伐隊が組織され、問題の熊が射殺されたことで事態は終息した。
時期は日露戦争終結から10年後、これを引き起こしたのがたった一頭のヒグマ。さんざん言われていることではあるけど…自然界において人間は食物連鎖の頂点にはいない、ということですね。
事件の経緯
事件の現場となった北海道三毛別六線沢は、日本海の沿岸から内陸へ30kmほど入った地区である。地名の「三毛別」は、アイヌ語で「川下へ流しだす川」を意味する「サンケ・ペツ」に由来する[注釈 3]。なお、六線沢の住民は東北などから移住してきた人々で、元々住んでいた人はいない。
池田家の騒動
1915年(大正4年)11月初旬のある夜明け前、六線沢の池田家に巨大なヒグマが姿を現した。飼い馬が驚いて暴れたため、その時の被害はわずかなものに留まった。村は開拓の端緒にかかったばかりの土地でもあり、このような野生動物の襲来は珍しいものではなかったが、主人である池田富蔵(いけだ とみぞう)はぬかるみに残った足跡の大きさに懸念を持った。
11月20日、ふたたびヒグマが現れた。馬への被害を避けようと、富蔵は在所と隣村から谷喜八 (たに きはち)と金子富蔵 (かねこ とみぞう)という2人のマタギを呼び、3人で待ち伏せることにした。
30日、三度現れたヒグマに撃ちかけたが、仕留めるには至らなかった。その夜、長男・富吉 (とみきち)や妻に留守を頼み、次男・亀次郎(かめじろう 当時18歳)を加えた4人で鬼鹿山方向へ続く足跡を追い血痕を確認したものの、地吹雪がひどくなりそれ以上の追撃を断念した。
谷たちは、件のヒグマは「穴持たず」という、何らかの理由により冬眠し損ねたクマであると語った。さらに足跡の巨大さから「このクマはあまりの巨体のため、自分の身に合う越冬穴を見つけられなかったのではないか」と推測し、「穴持たず」となったクマは非常に凶暴であることを付け加えた。
というプロローグから本編、12月9日の惨劇へ事態が移っていきます。
…ここまで書いてみて、自分の文章がものっそい臨場感をスポイルしていることに気づいてしまいました。orz
あんまり使いたくない言葉ですが、やっぱり「実際に読んでもらえればわかる」というのが正しいように思います。こればっかりはうまく説明できん。wikipedia版が秀逸すぎる。(´・ω・`)
ちょっと大げさにはなってるんだろうけど、装飾のない淡々とした文体にこちらの想像力が最大限にかき立てられます。出来のいいドキュメンタリー番組を文章化したような感じ。
―このヒグマは人間の肉の味を覚えた。―
のシンプルな一文に漂う最大級の不吉さ。編集した人、文才ありすぎるだろ。こわすぎるぞ。(´;ω;`)
僕が言葉を費やせば費やすほど安っぽくなっていくので、せめてイメージを補足する画像を貼っていくことにしましょう。
これと次の画像の二枚は同じくwikipediaの該当ページより。当時の開拓民はこういった小屋を建てて開拓に従事していたようです。
内部はこんな感じ。壁は木々の小枝かはたまた茅のようなものか。非常に質素なものです。寒くなかったのかな。(´・ω・`)
これならヒグマでなく僕でも本気出せば素手で穴開けて押し入ることができそう。
で、このヒグマのサイズですが、
はっはっは。ふざけんな。
体長2.7mとあるので、立ち上がったら3mは超えるだろうけど、盛ってない? 結構盛ってないこれ? マジでこんなにでかかったの? これじゃMr.オクレが10人いても勝てない。(´;ω;`)
事件を再現した現地の施設によると、こんなふうに襲いかかってきたそうです。
このクマぐらいでこの状況なら12番スラッグでなんとかなりそうだけど、上の画像のクマに脳内変換してみると…アカン(絶望)。
件のクマの爪もおそらくこれぐらいはあったのでしょうか。僕などは猪の牙でも恐いというのに。
1種銃猟免許を取得した以上、死ぬまでに一度はヒグマ撃ちに挑戦してみたかったのですが…。無理だなこれは。死ぬまでに一度、というか一度で死にそう。12cm30連装噴進砲の所持許可が下りたらトライしてみよう。(´・ω・`)
もちろんクマも恐ろしいんだけど、そういった目に見える脅威だけにとらわれていると、こないだのように獲物回収で転落して骨折なんてこともあるのが狩猟、そして自然。
クマだけにとらわれず、ちょっとした事故などにも気を配って猟師の道を歩みたいと思います。先週1週間出猟できなかっただけで超つらかった…!
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