マニュアルどおりにゃいかないぜ!猟場でみる動物たちの「意外な」行動

公開日: : 狩猟よもやま話

三種の神器

我々ハンターは、山に入ったり獲物を追ったりする前に、対象の動物についての知識を勉強することがよくあります。どういう動物なのか。どういう環境を好むのか。どんな生態なのか。

そして本を閉じる頃には学習の成果をある程度頭に刻み込み、それをベースに居そうな場所を探索にかける。というのが大多数のハンターが通る過程ではないかと。

しかし、動物たちは時として、そうして情報を詰め込む初心者ハンターをあざ笑うかのように、ともすればそんなのとは真逆の「まさか! なんで!?」というような行動をとって我々の度肝を抜くことが少なからずあるのです。

そう、たとえばこんな具合で!

狩猟鳥獣の意外な行動:四つ足編

Yahoo!きっず図鑑より

知識→冬のシシは暖かい南向きの斜面に寝屋を作る

現実→寝屋が集合している南向きの斜面を見回って空振りをくらった後、尾根を越えて日当たりの悪い北側の斜面を下った戻ろうとしていると、障害物も何もないほんの10mかそこらからシシがダッシュで逃走。よく見ると寝屋がしつらえてあった!

まさかそんなところにいるとは思っていなかったので、おもいっくそ発見が遅れて反応できませんでした。ガッサガサ歩いてたのにあんな刃物が届きそうな距離まで近寄れたってことはたぶん寝てたんだろうなあ。

関連記事:狩りバカ日誌 2019年3月3日(散弾銃・単独忍び猟)

知識→シシは鼻がいい

現実→待ち撃ちをしてる猟友いわく「タバコ吸ってても来る時は来るし、地面に落としてしまったサンドイッチのすぐ横を通り過ぎたのを見た」

いろんな研究もあるし、鼻がいいのは間違いないとしても、人間がイメージする鼻の良さとはちょっと違うのかも? どんな匂いも鋭敏に瞬間的に必ず察知・対応する、というわけじゃなさそう。

知識→シシ(シカもか)は目が悪い。視力0.1程度である

現実→40mぐらい先を歩いていたシシに挙銃動作を見られて逃げられた。

自分の視力も0.1程度でして。眼鏡外して山中で数十m先のちょっとした動きなんかわからんだろう、とシシに向けて挙銃すると、その動きを気取られ逃げられた。先猟期にあった体験です。僕と同じ0.1は0.1でも、山中で妙な動きをするものにはやはり鋭いのかもしれません。

関連記事:猪の視力=0.1程度。彼らから人間はどう見えているのか?

集落内に現れたシカの群れ

知識→シカは俊足である

現実→上りだと意外なほどスピードが落ちる場合がある。

上へ上へと逃げていくシカに矢をかけたところ、ものっそいのろのろと逃げて行ったことがありました。当たったかと現場に行ってみると、血痕も毛の一筋すらもない。
その代わり、その場所の地質が礫質で、何度も足を滑らせた痕跡がたくさん残っていました。単に傾斜と足場の悪さで苦労していただけだったようです。そういった地勢まで頭に入っていてスピードの低下が予測できていれば、焦らずに獲れていたかも。

知識→シカのオスは大人になると単独orオスだけの群れ、それ以外はメスと子供で群れを作る

現実→巻き狩りで待っているといずれも成体のメス2とオス1が走ってきたことがある。1月のことなので繁殖期でもない。

この時以外にもこんな形の群れを一度見たことがあります。まあ、この時はもしかしたら個体オスと群れメスがたまたま同じ方向に逃げてきただけかもしれませんけどね。。。

関連記事:射獲動画つき狩りバカ日誌 2018年12月2日

あとは他にも「待ち場にカモシカが来たので無線で報告していると、その途中で同じルートでシカが来た」ってこともありました。当然、シカはその声を聞いて遠ざかっていったので撃てず。山ではいろいろと面白いことが起こります!

関連記事:心に残る狩猟シーン4 主役は遅れてやってくる

狩猟鳥獣の意外な行動:鳥編

知識→陸ガモは潜水しない

現実→敵から逃れようとする時はわりと頻繁に潜る。致命傷を負いながら20秒ほども潜ったカルガモもいた(それ以外に平時でも普通に潜るやつもいるらしい)

僕は陸ガモはまったく潜らないと信じていたので、潜ったのを初めて見た時には目が点になりました。それも上記の瀕死のカルガモだったもので。
しかし潜れるのなら、なぜみんな潜らんのでしょうかね。その方が水中の餌ももっと食べれて生存競争に有利になりそうだけど…

知識→カモは同種で群れを作る

現実→きれいに分かれてるわけじゃなくてフツーに混群してる

混群は珍しくもなんともないですねえ。コガモの群れに一羽だけキンクロとか。何度見たことか。
そういうのならコガモもキンクロもどっちも狩猟鳥だからいいけど、コガモの群れにトモエガモのメスが一羽入ってても間近ならともかく、鉄砲の距離だとまず判別は無理です。確信がなければ撃たない!( ゚Д゚)

知識→ハトは人間が近寄っても逃げない

現実→山里のハトは50m以内に近寄るのも難しい場合がある

高いとこに止まってるやつはボーっとしてるのも少なくないけど、地面にいるやつはおおむね鋭い印象。なんにせよ狙われることが多いのか、街中のハトどもとはえらい違いです。

そのほかだと、意外というか不意を突かれただけですが、堤防をカモ探して川の方を向いて歩いてると、すぐ後ろからキジが飛んだりとか。矢をかけたキジ・カモがひっくり返ったので決まったと確信して近寄ると復活して逃げられたとか。ですかね。

これらにはベテランハンターからすると常識とも思えるような内容もあることでしょう。しかしまだ装薬銃六年目の僕にとってはこれらの経験が宝物。いずれ血となり肉となり、立派なベテランハンターに成長する…予定です。(;´∀`)

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